第3回JSPSフィリピン同窓会(JAAP)シンポジウムの開催

2015年7月27日、SMXコンベンションセンター(フィリピン・パサイ市)でJSPSフィリピン同窓会(JAAP)第3回シンポジウム“Disaster Resilience through Science and Technology”を開催しました。

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JSPSフィリピン同窓会 (JSPS Alumni Association of Philippines・JAAP)は元々フィリピン論博同窓会(PRF・JSPS論文博士号取得希望者に対する支援事業による支援を受けて博士号を取得したフィリピン人研究者)として2005年7月に発足し、2013年11月にJSPSの第14番目の公式同窓会として発足しました。

今回のシンポジウムはフィリピン科学技術省(Departent of Science and Technology: DOST)主催の科学技術広報イベント「科学技術週間(National Science and Technology Week)」の一環として行われました。JSPS及びJAAPでは当シンポジウムの開催に加え、開催期間を通じて会場ブース内でのパネル展示ならびに資料配布を行いました。

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シンポジウムでは、まずJaime C. Montoya同窓会会長が開会の挨拶を述べ、続いて樋口和憲JSPS人物交流課長、北川達生在フィリピン日本大使館参事官、Hon. Amelia Guevaraフィリピン科学技術省(DOST)次官が祝辞を述べました。

Montoya同窓会会長

Montoya同窓会会長

樋口人物交流課長

樋口人物交流課長

北川在フィリピン日本大使館参事官

北川在フィリピン日本大使館参事官

Guevara科学技術省次官

Guevara科学技術省次官

その後、論博プログラム修了者に対し、論博メダルの授与が行われました。タイ同窓会と同様に、今後はフィリピン同窓会でもシンポジウムの開催に合わせて論博メダル授与式を行う予定です。

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基調講演では、まず東北大学農学研究科沿岸生物生産システム学分野の木島明博教授に「The TEAMS (Tohoku Ecosystem-Associated Marine Science) Project: Restoring the Rich Ocean Through Science」を演題としてご講演いただきました。木島教授は、文部科学省の支援を受け、東京大学大気海洋研究所(AORI)、海洋研究開発機構(JAMSTEC)との連携のもと、東日本大震災の津波・地震、そして福島原発事故による海洋生態系への被害とその回復プロセスに関する調査を実施されています。今回の講演では、震災によって沿岸地域が受けた甚大な被害が紹介された後、3年の歳月を経て生態系がどのように回復してきたか、またそれに向けた研究者の取り組みについてお話しいただきました。フィリピンは日本と同じ島嶼国であり、地震・津波・火山といった日本と共通の自然災害の脅威にさらされています。特に東日本大震災の被害については人々の記憶にまだ新しいようで、講演終了後は、参加者から、放射線が海洋生態系に与えた影響や津波によって生態系が受けた被害について等、数多くの質問が寄せられました。

木島教授

木島教授

続いて、新潟大学医学部災害医療教育センターの高橋昌教授に「New Information Technology for Disaster Medicine Using Geographic Information System in Japan」を演題としてご講演いただきました。災害医療の現場においては、「防ぎえた災害死(Preventable Disaster Death: PDD)」 を減少させるため、リアルタイムで負傷者の情報管理を行うことが非常に重要であり、そのために開発されたエアータグシステム(Air Tag System)の仕組みと運用についてお話しいただきました。高橋教授は、ご自身も新潟大学災害医療支援チーム(Niigata University Disaster Medical Assistance Team: Niigata Univ. DMAT)の一員として、中越沖地震や東北大震災などの被災地での災害医療に携わって来られました。悲惨な災害現場においてひとつでも多くの命を救いたい、そのために自分ができることは何か、との教授の言葉にお話に多くの参加者が心を打たれた様子で、講演の最後にはスタンディングオベーションが起きました。

高橋教授

高橋教授

会場の様子

会場の様子