2017年3月20日、在タイ日本国大使館で第10回在タイ大学連絡会(JUNThai)が開催されました。
前回の第9回JUNThaiの概要はこちらからご覧いただけます。
第1部では、以下2つの講演が行われました。
・「タイの科学技術教育振興について-その施策と活動-」
国立科学技術振興研究所(IPST)副所長 Asst. Prof. Dr. Pollakrit Kritmaitree
・「日タイ教育研究振興基金(REP財団)について」
大阪大学ASEANセンター長、REP財団理事長 望月 太郎教授
REP財団理事、元国際交流基金日本語パートナーズ調整員 本持 明彦氏
Asst. Prof. Dr. Pollakritは、宇都宮大学に留学された経験をお持ちで、今回のご講演ではIPSTの事業や活動内容等についてお話し頂きました。IPSTは、タイ教育省傘下にある独立行政法人で主に初等・中等教育段階の児童・生徒を対象として、STEM(科学、技術、工学、数学)教育の推進や教員のスキル・能力向上のための取組みをされています。また、学習の質を向上させるためのカリキュラムや教材の開発の他、大学や民間セクターとも連携しながら地方の学校を支援する活動もされています。
質疑応答では、タイの大学生は算数・理科などの理系科目の知識が不足しており、この課題に対する取組みは高等教育段階で行うのではなく、初等・中等教育段階で行うことが重要であるとの意見がありました。また、教員のスキル向上のためのどのような取組みを行っているかという質問に対し、IPSTでは教員研修センターで研修機会の提供を行っている他、他国のSTEM教育の現状を学ぶために大学の教員らに対し国外留学をサポートする資金援助も行っていることなどを紹介されました。また、IPSTの専門官でもある東京農工大学の安宅理恵先生からは、初等・中等教育段階で質の高い教育を提供している日本と協同できるよう、参加校に対し連携協力の依頼がありました。
続いて、望月教授及び本持理事が日タイ教育研究振興基金(JTREP財団)についてご講演されました。同財団は、年々盛んになっている日タイの学術交流、日本語学習者の増加、日系企業側からの日本語が話せる人材要請の増加等に伴い、日タイの研究者及び人材育成の支援を目的として、今年2月に設立されました。企業等からの寄付金を基金化して活動されており、今後の具体的な活動として、研究者等のタイ滞在時のビザ発給支援、タイでの事務所の代行業務や地方で活動する日本語教員への生活用品の無償貸出等を実施される予定です。また、財団設立前からタイ人学生への日本語教育の普及活動として、タマサート大学で日本語の授業を提供されており、現在189名の学生が受講しているそうです。
質疑応答では、タマサート大学での授業は単位として認定されるのかという質問があり、現在は無償で授業を提供しており単位認定はないものの、学内での評判も高く将来的な展開については検討したい旨の回答がありました。また、同財団の活動に関心を示している大学から、タイ人の学生が日本に留学する際の金銭的な支援等についても質問があがりました。
続いて、第2部の連絡会では、協議事項としてJUNThaiの次期幹事校の選出が行われ、電気通信大学及び東亜大学の2校が4月から1年間幹事校を担当することが承認されました。また、3月末で幹事校の任期を迎える京都大学の柴山守教授が挨拶をされ、JUNThaiへの加盟校の増加に伴う事務量の増加が現在懸念事項となっており、今後これを加盟校間で協力して解決していきたいと述べられました。
続いて、オブザーバー参加校として横浜国立大学、東京国際大学、信州大学の3校が紹介された他、名古屋大学から8月に開催予定のチュラロンコン大学との共催シンポジウムについて案内がありました。
また、山下センター長が大学との共催セミナーやシンポジウム等の情報提供を呼びかけ、これに加え、在タイ日本国大使館の寺島史朗一等書記官からも日タイ修好130周年の記念事業に対する大使館からの支援について案内がありました。
次回のJUNThaiは2017年6月19日(月)に開催予定です。