2012年4月11日(水)、当センター事務所内会議室を主な会場として、日本学術振興会バンコク研究連絡センター新オフィス見学会を開催しました。
2010年12月7日の閣議決定「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」以来調整を続け、2012年3月17日にはオフィス移転を、3月19日からはいよいよJASSOとの共用を開始したことを記念して、東南アジアにおける当センターの今後の役割及び使命を確認し、あわせてタイ国内の関係機関等との一層の連携強化を図ることを目的に、田淵エルガJSPS国際事業部参事とともに、近隣の関係機関から駐在代表者をお招きしての開催です。
参加者は計9名で、機関英語名のアルファベット順に以下の通りです。
水元伸一(みずもと・しんいち) 宇宙航空研究開発機構(JAXA)タイ駐在員事務所・所長
長谷川哲雄(はせがわ・てつお) 在タイ日本大使館(JE)一等書記官
内田 裕(うちだ・ひろし) 国際交流基金(JF)バンコク日本文化センター・所長
田中章久(たなか・あきひさ) 国際協力機構(JICA)タイ事務所・次長
益田 浩(ますだ・ひろし) 日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所・所長
小林 知(こばやし・さとる) 京都大学(KU)東南アジア研究所バンコク連絡事務所・准教授
関 達治(せき・たつじ) 大阪大学(OU)バンコク教育研究センター・センター長
河井栄一(かわい・えいいち) 東京農工大学(TUAT)バンコク事務所・所長
川崎昭如(かわさき・あきゆき) 東京大学(UT)生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター・准教授
冒頭、当センター長より開会の挨拶をしたのち、長谷川一等書記官より祝辞の言葉をいただきました。総務省に勤務されていた頃に独立行政法人改革に携わった経験を例に出しながら、ハード(事務所など)の共用からソフト(事業など)の共用へと前進していくことで、共用がより一層意義あるものとなること、JSPSとJASSOだけでなく同じフロアに事務所を置くJFやJNTOも含めてそれを進めていく期待を述べていただきました。
JSPS本部の田淵参事からは「日本学術振興会バンコク研究連絡センター新オフィス開所にあたって」と題して、プレゼン資料を用いながらJSPS全体の概要、アジアとの交流の歴史、そして今後のアジア展開などを発表いただきました。
当センター長からは、PCとプロジェクターを使って当ホームページの内容を説明することでセンター紹介とし、この他、過去1年間の活動実績、例えば研修員の受入れや大学ポスターの作製など、資料にはなりづらい事柄について詳細な紹介を行いました。
参加いただいた方々は日頃からお付き合いのある方ではあるものの、改めてJSPSとバンコクセンターの取組みに触れていただき、その役割を認識いただく絶好の機会となりました。
その後、JASSOとの共用部分である閲覧室やろうか部分、JSPS執務室などを順に紹介し、一休みの後に参加者全員での意見交換となりました。関センター長より発議いただいたのは、海外における大学戦略の難しさ、特に大学間ネットワークの維持・ノウハウといったところをJSPSがケアしてはどうかという提案でした。これには、JSPSサンフランシスコ・センターが取り組んでいる「サンフランシスコ・ベイエリア大学間連携ネットワーク(Japanese University Network in the Bay Area略称JUNBA)」という先行例があり、関センター長もこれを引き合いに出されてのご発言でした。
この他、JSPS論文博士号取得希望者に対する支援事業に関する、国はもちろん自然科学系と人文・社会科学系における適性やニーズの違いなどが述べられ、この事業に対する潜在的なニーズの高さが確認されました。
また、アジア各国におけるJoint DegreeやDouble Degreeの進展具合から日本が取り残されつつある危機感から、欧米先進諸国がそれぞれの大使館に擁しているような科学技術アタッシェの必要性が訴えられたほか、タイ東南アジアについていえばこれまでの一方的に支援を行ってきた関係から、連携・協働、さらには何らかの支援提供を受ける方向へ、といった大胆な戦略策定を行う機能の必要性が訴えられました。
当センターとしては、まず具体的には、タイ国内の各大学訪問に際して事前にリクエスト・ペーパー(仮)の作成を依頼することで、タイ大学側のニーズや希望のほかに、実現可能なレベルの分野を探り当てていくという取り組みができるのではないかと考えています。
日本の機関が多いとされているバンコクにおいても、各機関より計10名を越える駐在員が一堂に会し、改めて議論を行う機会というのは多くありません。今回こうした時間を設けることで、様々な分野からの意見を聞くことができ、当センターとしてはまことに実り多い時間となりました。
今後とも関係各所との連携を深めながら、センター運営を行っていきたいと思います。