JSPSフィリピン同窓会(JAAP)がWEBINAR SERIES 2021(第6回)Web Lectureを開催

2021年6月26日、JSPSフィリピン同窓会(JAAP)がWeb Lectureを開催しました。このWeb Lectureは、WEBINAR SERIES 2021 “LIVING IN THE NEW NORMAL AND BEYOND”の第6回目で、日本学術振興会及びthe Central Luzon Research and Developmentとのパートナーシップのもと行われました。

はじめに、フィリピンDOST(Department of Science and Technology)のDr. Julius Caesar V. Sicat氏(CESO III, Regional Director)より歓迎挨拶が、JAAPのDr. Danilda Hufana-Duran会長より開会挨拶がありました。

Dr. Julius Caesar V. Sicat


Dr. Danilda Haufana-Duran

続いてDOSTのDr. Leah Buendia氏(Chair, Board of Judges Assistant Secretary)、JSPSバンコク研究連絡センターの大谷センター長から挨拶がありました。

Dr. Leah J. Buendia


Dr. Yoshio Otani

その後、講演が行われました。講演者及び講演タイトルは以下のとおりです。

(講演者)
Dr. Herb L. Fondevilla
Institute of Island Studies, Meiji University.

(講演タイトル)
Arts on Prescription: Pathways to Wellbeing and Dementia Care

講演において、Dr. Fondevilla氏は日本における認知症の状況に触れ、非薬理学的なアプローチとして芸術を用いた取組について紹介しました。
日本では、かつて”dementia”に対応する言葉として「痴呆」が使われていましたが、ネガティブな印象を減らすため、2004年に「認知症」への言い換えが始まりました。また海外においても、認知症患者を表す言葉としてPersons With Dementia (PWD)が使用されていましたが、認知症の症状とともに生きていく人という意味でPersons Living With Dementia (PLWD)も使用されるようになりました。
Dr. Fondevilla氏によれば、2002年時点で、日本における介助が必要な高齢者の47.5%に認知症の症状があり、その後20年で認知症の患者数は倍になると予想されていました。これを受け、厚生労働省は「オレンジプラン」という戦略を打ち出し、対応を進めています。その戦略の一つとして設立されたオレンジカフェでは、PLWDがボランティアの補助を受けながら、料理をしたり、工作をしたり、歌を歌ったり、音楽を演奏したりするなどのプログラムに参加しています。またオレンジカフェでは、PLWDが過去の記憶を絵に描き、それにまつわる子供時代や結婚生活、仕事のことなど、パーソナルなことを他者に語ることで、記憶が刺激されるという効果のあるMemories In the Makingプログラムも実施されています。

Dr. Herb L. Fondevilla


Presentation of Dr. Herb L. Fondevilla

しかし、PLWDのサポート状況には問題もあるとDr. Fondevilla氏は指摘しています。たとえば、PLWDの中には引っ込み思案なためにパーソナルなことを話せない人がいたり、オレンジカフェのボランティアが十分な訓練を受けないまま、PLWDに適切ではない接し方をしているなどの現状があり、今後の改善が必要だとDr. Fondevilla氏は述べていました。

このウェビナーには約160名の参加者があり、講演終了後はPLWDに最も効果のあるプログラムは何か、また、プログラムの効果を図る方法は何か、といったたくさんの質問が寄せられ、講演者は自身の知識と経験から明瞭に答えていました。

最後に、JAAP副会長のDr. Rowena Eguia氏から挨拶があり、盛会のうちにWeb Lectureは終了しました。