2017年10月27日・28日、今年の3月に設立されたJSPSインドネシア同窓会(JAAI)の第1回JSPSインドネシア同窓会(JAAI)シンポジウム及び同窓会総会がインドネシア・西ジャワ州のCibodas Botanical Gardenで開催され、当センターから山下センター長、古屋副センター長、斉藤国際協力員が出席しました。(設立記念シンポジウムの様子はこちら)
開会式では、シンポジウム責任者であるDr. Puspita Lisdiyanti、JSPSのインドネシアにおけるカウンターパートであるインドネシア科学院(LIPI)のDr. Siti Noermali yati Purnomo事務局長、インドネシア研究技術高等教育省科学技術高等教育資源総局(DG-RSTHE)のDr. Muhammad Dimyatiが挨拶を行いました。また、当センターが所管している地域の同窓会(タイ・バングラデシュ・フィリピン・ネパール)の中から参加したJSPSフィリピン同窓会(JAAP)会長のDr. Susan Gallardo及び山下センター長も引き続き挨拶を行いました。
フォトセッションを挟み、シンポジウムのテーマである「The Role of JAAI to Promote Food, Water, Energy, Human, and Environmental Security」に沿って、日本及びインドネシアの合計5名による基調講演が行われました。
ボゴール農業大学のDr. Drajat Martiantoは、Food Securityをテーマに「Current Status on Food and Nutrition Security in Indonesia: Challenges and Opportunities」と題して国際統計及び政府統計等、様々な統計を用いてインドネシアにおける食料状況について説明されました。
LIPIのDr. Anto Tri Sugiartoからは、Water Securityをテーマに「Sustainable Water Management in Small Island: One Island, One Plan, One Water」と題した講演がありました。講演では、インドネシアは多くの小さな島があり、その島々に対して水の供給量が不足していることから、LIPIと政府が解決に向け進めているプログラムについても説明がありました。
A-WINGインターナショナル株式会社の中村廣秀 代表取締役会長からは、Energy Securityをテーマとした講演がありました。中村社長は、国土の広く人口の多いインドネシアに強力な電力基盤を作るために日々尽力されており、その取り組みを交えながら日本の中小企業やベンチャー企業の持つ技術を用いて地産地消の電力システムを構築する必要があると説明されました。
京都大学東南アジア地域研究研究所の水野啓連携准教授には、Human Securityをテーマに「Development and Human Security in Asia: Japanese Experiences and Indonesian Challenges」と題して講演頂きました。講演では、戦後の日本の高度経済成長によって得た豊かさと引き換えに自殺率が増加したこと、公害が広がったこと等、失ったものに焦点を当て、インドネシアのこれからの発展に向けて日本の経験を参考にして欲しいと伝えていらっしゃいました。
LIPI生物学研究センターのProf. Dedy Darnaediは、Environmental Securityをテーマに「The Rules of Botanical Gardens and Sustainable Use of Biodiversity」と題して、LIPIが運営に関わるインドネシア国内の30のBotanical Gardenを紹介するとともに、植物多様性の研究教育、エコツーリズム、持続的な活用等、その役割について説明されました。
シンポジウムにはJAAI会員やJSPS事業経験者を中心に、民間企業等の一般参加者も含めて約120名の参加があり、それぞれの基調講演に対して会場から多くの質問があがる等、活発な意見交換が行われました。
その後のプレナリーセッションにおいても、シンポジウムのテーマに沿ってそれぞれの研究者から研究成果等の発表が行われました。
最後に、JSPSインドネシア同窓会(JAAI)会長のProf. Subyaktoから参加者及び関係者への感謝の言葉が述べられました。また、シンポジウム会場では、ポスターセッションも行われており、全21のポスターの中から選ばれたベストポスター賞の発表がある等、大きな盛り上がりの中、シンポジウムの幕を閉じました。
シンポジウムに続き、JAAI総会が行われ、JAAI会長のProf. Subyaktoから JAAIの活動内容について説明及び報告があり、今後の活動等について協議が行われました。
シンポジウム及び同窓会総会を通して、JAAIメンバー及び一般参加者の活発な交流が垣間見られ、今後もJAAIの発展が期待されるすばらしいシンポジウムとなりました。