2017年6月19日、在タイ日本国大使館で第11回在タイ大学連絡会(JUNThai)が開催されました。
前回の第10回JUNThaiの概要はこちらからご覧いただけます。
第1部では、以下2つの講演が行われました。
・「将来の食糧問題-現在の食糧農業事情と将来の食糧安全保障の課題と展望-」
明治大学国際連携機構特任教授/アセアンセンター所長 小沼廣幸特任教授
・「元留学生から観た日本留学と提案」
JSR BST Elastomer Co.,Ltd. 社長補佐 Dr. Itti Rittaporn
明治大学アセアンセンター所長の小沼特任教授は、国際連合食糧農業機関(FAO)事務局長補兼アジア太平洋地域代表の経歴をお持ちで、世界の食糧農業事情と将来の展望についてご講演いただきました。
同講演では、FAO等の統計データを用いて、世界及びアジア地域の農業、慢性的飢餓人口及び食料安全保障の現状をご説明いただくと共に、人口が増え続け、一人当たりのカロリー摂取量も増加している中で世界のすべての人々のニーズを満たす十分な量と質の食料を将来どのように生産するかという課題や、日本の様な食料輸入依存国が今後どのようにしたらよいかについての提言等を、非常に分かりやすくお話いただきました。
質疑応答では、食糧問題について、日本はどのような政策を取るべきかという質問があり、日本のような食料輸入国は、食料輸出国と血の通った信頼関係を作ることが重要とおっしゃっていらっしゃいました。
続いて、国費留学生として東京大学に日本留学経験のあるDr. Itti Rittapornに「元留学生から観た日本留学と提案」をテーマにご講演いただきました。
Dr. Ittiは、日本は一貫して留学生受け入れに力を入れてきているが、欧米と比べて、内外の社会的・経済的効果が高くないことに触れられ、今後は日本国内の少子高齢化等の問題もあり、量・質ともにより良い戦略及び政策が必要になってくるのではないか、とお話し頂きました。そして、東南アジアの優秀な学生がより日本へ留学しやすくなるように「留学生版貸与型日本育英会奨学金制度の創立」をご提案いただきました。
質疑応答では、Dr. Ittiから観た日本と欧米の違いは何なのかということや、日本への留学生を増やすには他にどのような政策が有効と考えているか等、多くの質問があり、参加者の関心の高さが伺えました。
第2部の連絡会では、JUNThaiの議長及び書記の選出が行われ、現幹事校の中から議長に東亜大学の平松准教授、書記に東京農工大学の河井特任教授がそれぞれ選出されました。
次に、2017年3月にカセサート大学(バンコク)構内に事務所を設置された奈良先端科学技術大学院大学が紹介され、タイオフィス長の松本健一教授から挨拶がありました。
また、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構から「Startup Thailand2017」の紹介が、金沢大学から「国立六大学バンコク事務所の開所について」の報告がありました。
最後に、京都大学から7月に「The 4th JASTIP Symposium」、名古屋大学から8月に「Asia-Link Symposium」を開催する旨、それぞれ紹介がありました。
次回のJUNThaiは、JASSO日本留学フェア(タイ)翌日の2017年9月4日(月)に開催予定です。