2016年3月22日、産業人材育成円卓会議“1st Round Table Conference of Human Resources Development”に参加しました。
この円卓会議は、安倍総理の「産業人材育成イニシアティブ」や佐渡島大使の政策目標にある「産業人材育成」について、日タイの関係者が一同に会し、これまでの取り組みをレビューし、今後求められるニーズや解決策について関係者が共有するとともに、関係者間での新たなネットワークの構築につなげることを目的として開催されたものです。
当日は政府・公的機関関係者、大学関係者、企業関係者、マスコミ関係者等幅広い分野からの参加がありました。
まず、キングモンクット工科大学トンブリのDr. Pitiwut Teerakittikulが、日本留学中のロボットコンテストへの参加を通じて、大学で得た知識をどのように実用化、応用するかを体現した経験について発表を行いました。
続いて、佐渡島在タイ日本国大使から開催の挨拶を述べると共に、円卓会議を実施するに至った経緯と目的について説明がありました。今回の会議では、登壇者に率直な意見を活発に交わしてほしいとの思いから、会場設営においてはタイのムエタイ(キックボクシング)をイメージして中央にリングのように見えるステージが設置されていました。
JICAタイ事務所の池田所長からは、JICAがタイにおける新たな産業人材育成に向けて行っている、タイにおける技術教育、工学系教育に関する基礎調査について説明がありました。
次に、HIDAバンコク事務所の若林所長からは、HIDAが人材育成を目的として実施している事業の概要と今後の活動について包括的な説明がありました。
その後のパネルディスカッションには、パネリストとして下記6名が登壇し、高付加価値産業創成のために必要な人材育成について、またタイと日本の人材育成に係る今後の方向性について活発な議論が行われました。
・H.E. Dr. Teerakiat Jareonsettasin, MD, Deputy Minister of Education
(教育副大臣)
・Mr. Kyoichi Tanada, President of Toyota Motor Thailand Co., Ltd
(トヨタ自動車タイランド社長)
・Mr. Kan Trakulhoon, Director and Chairman of the Management Advisory Committee, Siam Cement Group (SCG)
(サイアムセメントグループ運営諮問委員会委員長)
・Assoc. Prof Sakarindr Bhumiratana, President of King Mongkut’s University of Technology, Thonburi
(キングモンクット工科大学トンブリ学長)
・Assoc. Prof. Dr. Bandhit Rojarayanont, President of Thail-Nichi Institute of Technology (TNI)
(泰日工業大学長)
・H.E. Mr. Shiro Sadoshima, Ambassador Extraordinary and Plenpotentiary of Japan to the Kingdom of Thailand
(在タイ日本国特命全権大使)
議論では、タイ国内の現状について、エンジニアが不足していること、他のASEAN諸国と比較して英語力が劣っていること、産業界が必要とするSTEM分野での教育を強化すべきであること等の指摘がありました。また、今後タイが中進国の罠から脱するために取り組むべきこととして、明確な国家目標を設定し長期的・継続的に追求する事、また高等教育に対する国家投資を拡大すること、中小企業に対する税金控除等の政府の支援を拡大すること、人材育成に関する政府の制度改革が必要であること等の提案がありました。
次回の産業人材育成円卓会議は6月に実施予定です。