JSPSネパール同窓会(NJAA)設立総会及び記念シンポジウムへの出席

2016年1月21日、ネパール・ラリトプル市でJSPSネパール同窓会(NJAA)設立総会および記念シンポジウム“Towards Sustainable and Resilient Development in Nepal”を開催し、約80名が参加しました。

NJAAは2014年1月に同窓会設置を考えた数名が、広く参加を呼びかけ同年2月7日に第一回準備会合を開き、同窓会設立のためのタスクフォース(発起人会)を立ち上げ、それ以降、毎月会合を開催し、同窓会規約、事業計画の作成、理事会の構成などを準備しました。2014年12月にLalitpur市(同窓会の所在地)並びに政府内閣府から団体登録の承認を得たのち、2015年2月にバンコクセンター長、副センター長がネパールを訪問し、同窓会設立に向けての正式な準備を整えました。
2015年2月 JSPSネパール同窓会(NJAA)設立準備打ち合わせ及び関係機関への訪問

2015年4月に発生したネパール地震により、設立が当面見送られることが懸念されておりましたが、同窓会立ち上げメンバーの熱意により、この度設立総会を開催し、JSPSの第15番目の公式同窓会として発足することになりました。

午前中に行われた設立総会では、まず、ネパール科学技術アカデミーのJiba Raj Pokharel副所長がネパールの伝統的な儀式を行い、開会しました。続いて、NJAAのRijan Bhakta Kayastha会長、JSPSの家泰弘理事が祝辞を述べました。

Jiba Raj Pokharel副所長

Jiba Raj Pokharel副所長

Rijan Bhakta Kayastha会長

Rijan Bhakta Kayastha会長

家泰弘理事

家泰弘理事

基調講演では、政策研究大学院大学(GRIPS)開発政策プログラム・ディレクターの家田仁 教授に「Evolution of Infrastructure and Social Systems Pushed Forward by Great Natural Disasters」をタイトルとして講演いただきました。家田教授は、東京大学大学院工学系研究科ならびに政策研究大学院大学で教鞭をとっておられ、大規模自然災害における地域・開発政策の国際比較研究を行っておられます。まず、自然災害が起きた際に人間のとる行動は災害の程度によって変化することや、最近の日本で発生した大規模自然災害が紹介され、その後、自然災害そのものは悲劇的ではあるものの、災害復興の段階において法整備等が進むことを考えあわせると、災害は革新を後押しする力にもなりうる、とのお話がありました。

家田仁教授

家田仁教授

続いて、ネパール復興庁のKishore Thapa専門員、トリブヴァン大学のKedar Bhakta Mathema前副学長、JICAネパール事務所の清水勉所長、在ネパール日本国大使館の小川正史特命全権大使、ネパール科学技術アカデミーのJiba Raj Pokharel副所長より祝辞が述べられた後、NJAAのKundan Lal Shrestha書記の提案により感謝決議が行われました。

Kishore Thapa専門員

Kishore Thapa専門員

Kedar Bhakta Mathema前副学長

Kedar Bhakta Mathema前副学長

清水勉所長

清水勉所長

小川正史大使

小川正史大使

午後からは、まずJSPSの家理事より、NJAA会員に対し同窓会バッジの贈呈が行われ、その後、第1回記念シンポジウム“Towards Sustainable and Resilient Development in Nepal”が開催されました。

最初にネパール復興庁のKishore Thapa専門員より、「Reconstructions Strategy for Rural and Urban Housing」と題した講演が行われました。続いて、NJAA理事で開発・政策研究所のSurya Raj Acharya所長より「Post Earthquake Reconstruction: Opportunity for Sustainable Transport and Spatial Development in Nepal」と題した講演が行われ、最後に、NJAA副会長でトリブヴァン大学地盤災害研究センターのRanjan Kumar Dahal准教授より「Lesson learning from the Gorkha Earthquake for the infrastructure development in the Himalayan region: Engineering geological perspectives」と題した講演が行われ、地震と復興という共通のテーマについて、3名の講師がそれぞれの専門分野の見地から発表を行いました。シンポジウムには各分野の研究者が多数参加しており、質疑応答では3名の講師全員に対し、熱心に質問があがっていました。

最後に、山下邦明バンコクセンター長より、JSPSの概要と国際交流事業について説明を行いました。当日は、今後日本での研究を希望している若手研究者も参加しており、外国人特別研究員事業や外国人招へい事業、論文博士事業に大変興味を持っていただいた様子で、シンポジウム終了後のレセプションでも、山下センター長に事業について熱心に質問していました。

NJAAは、今後年1回の学術セミナーの開催に加え、ワークショップやガイダンスセミナーの開催を予定しています。当センターでも、今後ネパールにおいて年1回程度NJAAの協力の下JSPS事業説明会を開催し、ネパール人研究者に当会事業の周知を図るとともに、日本とネパールの学術交流を積極的に支援したいと考えています。