JSPSフィリピン同窓会(JAAP)設立総会及び記念シンポジウムへの出席

2013年11月22日、デ・ラサール大学(De La Salle University Manila)でJSPSフィリピン同窓会(JAAP)設立記念シンポジウム“Enhanced Productivity through Science and Technology”を開催しました。

JSPSフィリピン同窓会は、元々フィリピン論博同窓会(PRF・JSPS論文博士号取得希望者に対する支援事業による支援を受けて博士号を取得したフィリピン人研究者)として2005年7月に発足しました。その後2012年3月に当センターがフィリピンを訪問した際にJSPS公認同窓会への移行に関する提言を行い、これを受けて、フィリピン側は外国人特別研究員、招へい研究者等の論博以外のJSPSプログラム経験者も加え、組織の名称もPRFからJAAP(フィリピンJSPS同窓会)に変更しました。今年4月に当センターも参加して設立準備総会を行い、役員の任命、政府への登録、そしてJSPS本部への正式な登録書類の申請をへて承認され、JSPSの第13番目の公式同窓会として発足することになりました。

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設立記念シンポジウムでは、まずは未曾有の大災害となった台風ヨランダ(30号)の被災者に対する黙祷が捧げられ、その後国歌斉唱が行われました。その後はDr. John Addy S. Garciaデ・ラサール大学教育学部長、加藤久JSPS国際事業部長、古館誠機在フィリピン大使館一等書記官、Prof. Fortunato T. Dela Pena DOST次官が祝辞を述べました。

続いて、Dr. Maricar S. Prudente JSPSフィリピン同窓会長からこれまでのJAAPの歴史と活動概要の説明がありました。論博同窓会からスタートしたJAAPは、フェローシップ会議やDOSTの支援と協力を受けてアウトリーチフォーラムやセミナーを実施してきました。

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JAAPの活動概要を説明するPrudente会長

基調講演では京都大学物質・細胞統合システム拠点(iCeMS)・化学研究所の上杉志成教授に「Three Experiments for Changing Japanese Universities」をタイトルとして実施いただきました。日本の大学を変革する三つの実験的なプロジェクトとして、1)JSPSアジア教育拠点事業「Asian Chemical Biology Initiative (ACBI)」を実施し、アジア地域のケミカルバイオロジー分野の研究の推進とともにアジア新興国から優秀な学生をリクルートすること。そのために2014年にマニラで会合を行うとともに、ACBIが主催する授業をUP Dilimanで実施すること。2)インターネットの講義配信システムであるedXへの講義提供を京都大学として行い、上杉教授がその第一弾として「External Link生命の化学:Chemistry of Life」を実施すること。3)挑戦的なプログラムである世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラムである京都大学物質・細胞統合システム拠点(iCeMS)について。WPI拠点は多くの論文を発表するとともに、iCeMSは細胞生物学・化学・物理学の融合を目指しています。

これらの事業の紹介の後、上杉教授自身の代表的な研究についての説明が行われ、化学物質を利用して細胞の分化、変化について、そしてその治療への活用についての講演が行われました。非常に明解なプレゼンテーションであり、時として会場を和ませ、時としては熱心に聞き入らせるなと、聴衆を魅了しました。

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講演する上杉教授

午後からは、学術セミナーで二つの講演が行われ、最初に農業をテーマとして国連食糧農業機関 (FAO)フィリピン事務所Dr. Eulito U. Bautistaによる講演「Enhanced Agricultural Productivity through Science and Technology」が、次にフィリピン大学ディリマン校(UP Diliman)のDr. Iris Ann G. Martinez准教授による講演「The Need of the Philippines for an Integrative Approach towards a Sustainable and Flexible manufacturing Industry」が実施され、参加者からの熱心な質疑応答が行われました。

台風の影響でキャンセルされた講演があったものの、60名の参加がありました。

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同窓会総会の記念撮影

引き続いて、第一回JSPSフィリピン同窓会総会が実施され、フィリピンの各地方の代表も交えて定期的なJAAP理事会を実施し、今後年次総会の予定や活動について議論を進めていく予定です。またJSPS本部より、外国人研究者再招へい事業(BRIDGE Fellowship Program)について説明を行い、今後フィリピン同窓会に1名の枠が付与されること、バンコクセンター長が選考委員に名を連ねることが確認されました。

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加藤部長より同窓会バッジを付与される会長