コンケン大学にてJSPS-NRCT Seminarを開催

2012年6月8日(金)から10日(日)まで、コンケン大学(KKU: Khon Kaen University)にてJSPS-NRCT Seminar “Anthropogenic Greenhouse Gases Observation from satellite observation and in-situ Measurements”(人間活動由来の温室効果ガスの衛星観測及び実地観測(仮))を開催しました。参加者は約80名。

セミナーは、初日の研究発表と2日目の東北部ピーマイ(Phimai)及び3日目コンケン(Khon Kaen)におけるメタンのサンプリング調査のデモンストレーションで構成され、日本より以下4名の講師をお招きしました。

林田佐知子 奈良女子大学理学部 教授
今須良一  東京大学大気海洋研究所 准教授
小野朗子  奈良女子大学理学部 助教
関山絢子  東京大学生産技術研究所 助教

林田教授

林田教授

今須准教授

今須准教授

小野助教

小野助教

関山助教

関山助教

メタンのサンプリング調査デモンストレーション

コンケン大学からは以下2名の講師が参加されたほか、農学部長であるProf. Dr. Anan Polthaneeよりご挨拶をいただきました。また、日程調整の関係で当日の参加は見合わされましたが、NRCTのProf. Dr. Soottiporn Chittmittrapap事務局長からも開催に際してのメッセージをいただいております。

Dr. Patcharee Saenjan, Associate Professor
Land Resource and Environment Section, Department of Plant Science and Agricultural Resources, Faculty of Agriculture, KKU
Dr. Kritapon Sommart, Associate Professor
Department of Animal Science, Faculty of Agriculture, KKU

2,3日目のサンプリング調査では、奈良女子大学の林田教授、小野助教、それに修士2年の石川沙穂さんが中心となって、ピーマイ周辺で3地点4回、コンケン周辺で4地点4回のサンプル採集を行い、コンケン大学からの参加者に対して実技指導を行いました。

奈良女子大学理学部情報学科では、林田教授を代表者として、環境省による環境研究総合推進費(The Environment Research and Technology Development Fund (ERTDF) FY2012-2014)を取得しており、今回のサンプル調査は、当該研究課題である”Characterization and Quantification of global methane emissions by utilizing GOSAT and other satellite sensors(GOSATデータ等を用いた全球メタン発生領域の特性抽出と定量化)” における現地観測地点の選定の一環としても生かされる見込みです。

また、東京大学今須准教授は、文部科学省による大学発グリーンイノベーション創出事業「グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE: Green Network of Excellence )」の研究代表者を務めており、今回の発表はその進捗報告を兼ねる形となりました。

今回のJSPS-NRCTセミナーは、竹内センター長着任後初の地方開催となりました。過去、2009年11月に北部チェンマイでアジア科学コミュニティ形成に関するシンポジウム「地域貢献の国際協力(2nd JSPS International Forum: Roles of Universities in Community/Regional Development)」を開催した実績はありますが、これは大学の役割やネットワークについて考えるという、どちらかというと社会的な色合いの強い試みでした。しかし、今回は衛星を用いた環境観測という科学的な学術研究をテーマとしたセミナーであり、2つの性質は微妙に異なります。

当センターではこの2年間に教育省が指定する9つの研究拠点大学をすべて訪問し、研究担当副学長等との面談を重ねました。その結果として、地方の大学が研究の質を問わず見過ごされがちであり、しかし、そういった大学における研究の質や意欲が劣るものではないとの印象を強めてきました。今回のセミナーが、コンケン大学の研究者から学生まで70名を越える参加者を得、また、GRENEやERTDFなど日本トップクラスの研究プロジェクトの代表者が手ごたえを感じたことは、我々の印象をさらに強めると同時に裏付けるものとなったと理解しています。中央地方を問わず各大学の”cutting-edge”を見出していくことの重要さを再認識しました。

また、今回のセミナー実施により、表敬訪問→事業紹介セミナー開催→学術セミナー開催、という一連の流れを完結させた形になります。当センターではこれを健全なステップアップであると理解しており、引き続き、バンコクを中心としながらもタイ全土を舞台として科学技術の振興に努めていきたいと考えております。