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2012年10月25日(木)、タイ国立科学博物館(NSM: National Science Museum)を訪問し、NSMとフィンランド科学博物館(Heureka)が合同で企画した展示 ”Move and Play”の開会式に出席しました。本展示では、「動いて、遊んでみる」ことで、運動が人間の体にどういった影響を及ぼすかを学習することを目的としています。OECD生徒の学習到達度調査(PISA)においてもフィンランドは上位に位置づけられていますが、学習時間が決して多くはなく、課外活動を通じて多くのことを学んでいるとのことでした。

開会式では、NSM館長、Heureka館長、在タイフィンランド大使の祝辞の後、出席者は実際に館内の設備を体験しました。

NSMは、タイ科学技術省(MOST: Ministry of Science and Technology)の管轄にあり、バンコク郊外の科学技術省の敷地内にあります。

当センターは、今年8月にMOSTとNSMが主催した科学技術展2012にブースを出展しており、来年度も出展を予定しています。今回はNSMの館長、部長、国際関係担当者への挨拶、紹介を行い、当センターとMOST及びNSMとの連携も継続していく予定です。

2012年10月16日(火)、京都大学エネルギー理工学研究所の大垣英明教授が当オフィスを訪問されました。

京都大学は、「平成24年度大学の世界展開力強化事業 -ASEAN諸国等との大学間交流形成支援-」に採択されました。 “「人間の安全保障」開発を目指した日・アセアン双方向人材育成プログラムの構築”の下で、「人間の安全保障」向上につながる人材開発を目標として、「エネルギーと環境」、「食料と水資源」、「パブリックヘルス」という3専門領域の協同教育を実施する予定です。

具体的には、京都大学とアセアン大学連合(AUN: ASEAN University Network)間で、学部生向けのサマースクールを実施し、ASEAN諸国での滞在を体験してもらうこと、その後修士課程で、2年ないしは3年のダブルディグリープログラムを実施して、本格的にASEAN諸国へ留学し、京都大学とAUN加盟大学の学位を取得することを目的としています。

本プログラムのキックオフシンポジウムは来年1月に京都で開催される予定ですが、その後バンコクでワークショップも開催する予定であり、当センターへはワークショップの参加を依頼されています。

今回は日本学生支援機構(JASSO)の山本所長にもご参加頂き、ASEAN諸国からの留学生受け入れについての意見交換も行いました。今後も、当センターを活用していただくことにより、連携を深めていければと考えております。

2012年10月15日(月)、当センターのメンバー全員でNRCTを訪問しました。10月より着任した山田副センター長の紹介と、来年1月に開催予定のJSPS-NRCTセミナーに関する打合せです。今年度に入ってからのNRCTへの訪問は今回で3回目となります。

NRCTからは以下の5名が出席しました。
・Dr. JintanapaSobhon社会科学研究顧問 (Senior Advisor on Social Sciences Research)
・Ms. Pimpun Pongpidjayamaad国際部長 (Director, Office of International Affairs)
・Mr. Sawaeng Jongsutjarittamアジア・アフリカ担当課長 (Chief, Asia and Africa Section)
・Ms Yada Sommasat (Foreign Relations Officer)
・Ms Pawanee Chaleeratnakul (Policy and Planning Analyst)

山下センター長による新副センター長の紹介の後、サーミットタワー10階にある日本の機関が合同で実施する「世界遺産とツーリズム」のセミナーについて、NRCTとの正式な共催を依頼し、了承されました。今回合意に至った内容は下記の通りです。

JSPS-NRCT Seminar
World Heritage & Tourism” -an Approach to Sustainable Development-

日程:2013年1月19日(土)
場所:Siam Paragon Hall, Bangkok
・招へい者についてはJSPSが人選する
・NRCTは登録の手続き及び広報を担当する
・NRCTは、夕食会を主催する

その後、12月に実施されるバングラデシュ同窓会のシンポジウム、タイ同窓会総会の実施と中国同窓会からの理事長の招へい計画についても、センター長より報告がありました。

当センターは、今後もセミナー共催といった活動等を通じて、NRCTと連携しながらも日タイ間の学術交流を深めていく予定です。

2012年10月15日(火)、当センターメンバー全員でユネスコ(国際連合教育科学文化機関)バンコク事務所を訪問しました。今年度に入ってから二度目の訪問となります。

10月より着任した山田副センター長の紹介と、来年1月に開催予定の「世界遺産とツーリズム」のセミナーに関する打合せです。

ユネスコ本部に勤務していた山下センター長に加え、山田副センター長も、日本ユネスコ国内委員会(文部科学省国際統括官付)に所属していたことがあり、バンコクセンターはユネスコに縁のあるセンター長、副センター長の構成となりました。

今回の訪問では、まず持続発展教育(ESD: Education for Sustainable Development)を担当しているMr. Danny Padilla, ESD Coordinator and Liaison Officerを訪問し、「世界遺産とツーリズム」のセミナーに関する打ち合わせと意見交換を行いました。本セミナーの目的のひとつとして、世界遺産教育を通じてのESD理解ということを含めています。今回の意見交換で、 次のステップのために、講演だけではなく、まとめのセッションを設けてはどうかとの意見があり、プログラムに追記することとなりました。ユネスコバンコク事務所でも本セミナーのプログラムについて回覧し、フィードバックをもらうこととなりました。

ESDは2014年を最終年度しております。2014年のESD終了に向けて、日本でESDを実施してきた山下センター長の下でESDに関わるセミナーを来年度も実施するように提案がありました。

その後、多忙の中で時間を割いていただいたKim事務所長へ挨拶を行い、教育の完全普及に関するアジア・太平洋地域事業計画(APPEAL:Asia-Pacific Programme of Education for All)】を担当しているMr. Ichiro Miyazawa, APPEAL Programme Specialistとアジア地域でユネスコが実施する教育プログラムについての説明を受けました。

元ユネスコ職員である山下センター長の下で、新たな試みとして当センターとユネスコとの協同を今後実施していくことになり、これから更に当センターの活動の幅が広がっていくことが期待されます。

2012年10月5日(金)、平松幸三JSPSロンドン研究連絡センター長が来訪されました。

今回は日本への一時帰国及びタイでの現地調査に合わせてバンコク研究連絡センターに立ち寄られました。

ロンドン研究連絡センターでは、独自で企画するイベントして日本から京都大学博物館の大野館長、東京大学総合研究博物館の西野館長を招へいし2012年10月25日に「Public Lecture on University Museums in Japan」を実施する予定。日本でも大学博物館は注目されつつありますが、それでも専属キュレーターはおらず、教員が担当している状況です。一方で、例えば英国のマンチェスター大学博物館では60名のスタッフが在籍し、内専属キュレーターは9名という状況とのことで、日本と英国での差は大きなものがあります。また、ヨーロッパ諸国でも、大学博物館の位置づけはそれぞれに異なっている状況とのことでした。ロンドン研究連絡センターは、次のテーマを、「異文化コミュニケーション」とし、今後も様々な企画を実施する予定とのことです。

今後もセンター長間の情報交換等を通じ、各センター間の連携も図っていきたいと思います。

2012年10月3日(水)、オフィス最寄りの日本食店「みつもり」にて、毎月恒例となったサーミットタワー10階情報交換会が開催され、センター長および新任の副センター長が出席しました。

本情報交換会は、当センターが入居するサーミットタワー・ビル高層棟の10階に、日本の学生支援機構(JASSO: Japan Student Service Organization)、国際交流基金(JF: Japan Foundation)、日本政府観光局(JNTO: Japan National Tourism Organization)がオフィスを構えており、その交流と情報交換を行うものとして、原則毎月第一水曜日にランチミーティングが開かれているものです。

今回は、10月から着任したJNTO高橋次長及び山田JSPS副センター長が初めて出席し、また任期を終えて帰国予定であるJNTO高垣次長は最後の席となり、合計12名の参加となりました。

参加者は以下の通り

山本剛   JASSOタイ事務所 所長
福田和弘  JF日本文化センター 所長
内田裕    同 副所長
平林豊文   同 日本語部長
内田康子   同 芸術交流部長
益田浩   JNTOバンコク事務所 所長
天野泉    同 次長
奥津聡    同 次長
高橋歩        同 次長
高垣ひとみ  同 次長
山下邦明  JSPSバンコク研究連絡センター センター長
山田大輔   同 副センター長

議題としては、本情報交換会から端を発した「世界遺産とツーリズム」のセミナーについて、具体的なスケジュール等の案が提示され、2013年1月19,20日に実施されるバンコクにおける日本留学・日系企業就職フェアにて本セミナーを併催するということで合意を得ました。10月15日に予定している本セミナーの共催相手であるNRCTへの報告をもって、正式に開催が決定されることとなります。サーミットタワー10階にある日本の機関が合同で実施する初のイベントとなります。

その他、JFが主催している「防災+デザイン展【いつもの備え-暮らしに変化を-】」の開催(2013年1月6日(日)まで)、タイ国日本研究ネットワーク年次大会(10月11日~12日)の開催、JNTOからは10月19日観光庁長官の訪タイにかかる当センターの訪問について情報提供がありました。

今後とも、本情報交換会だけではなく、セミナーの共催等を通じて、サーミットタワー10階の組織での連携、情報共有を深めていく予定です。

2012年10月1日(月)、JSPSバンコク研究連絡センター副センター長として京都大学より山田大輔氏が着任しました。(勤務は10月2日より)。任期は2年の予定となります。

以下、副センター長挨拶。

2012年10月1日付けで京都大学よりJSPSバンコク研究連絡センター着任いたしました山田大輔です。前職は、京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)国際・企画セクションに在籍し、セクションリーダーとして世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の評価、シンポジウムの運営、国際連携の事務を担当していました。この度、ノーベル賞を受賞した山中先生はiCeMSの連携主任研究者として名を連ねており、本受賞を大変喜ばしく思っております。

副センター長の重責に身が引き締まる思いでありますが、今後センター長と一緒にJSPSの活動の推進を実施するとともに、前任のセンター長と副センター長が幅広く拡大してきた活動を引き継いていけるよう尽力したいと考えております。

センター長、副センター長と現地スタッフの三名という最小の構成ではありますが、東南アジア唯一のセンターとして、アジア随一の都会から他のセンターに負けないよう、発信していく所存です。今度ともよろしくお願いいたします。

2012年9月30日(日)、2010年7月26日からの2年2ヶ月の任期を終えて田邉寛明副センター長(京都大学・一般職員)が離任します。竹内センター長と1年11ヶ月、山下センター長と3ヶ月のバンコク勤務でした。後任として、京都大学より山田大輔専門職員が10月1日に着任します。

以下、副センター長あいさつ

この間、初めてのことを無数にさせていただきました。基本的に常に前例なしの業務は戸惑いもしましたが、モノを考えるいい機会となりました。予算をかなり主体的に管理したことは忘れがたい味わいですし、行革対応でのオフィス移転や、東南アジアと南アジアの国々を繰り返し訪れて肌身に親しむことができたのは、それだけ取っても極めて貴重な経験です。

それらと並走し、むしろ業務の基礎となっていたのが現役教員であるセンター長との2人体制 → 研修員の受入れ → まったくタイプの異なる方へのセンター長の交代、という勤務体系の在り方で、その中で常に自分なりに前回よりも最適な解を求め続けたことが、実はこの2年間の一番の醍醐味ではなかったかという思いが今は強いです。

二人のセンター長には常に大なる寛容の心で接していただきました。指導され鍛えられ見守られ助けられたと実感しています。名前に寛の字を持つ者としてこれ以上の果報はありません。

竹内センター長、山下センター長、現地職員のカイさん、研修員の大槻さん、本部の方々、他センターの方々、京都大学の各関係者、JASSOタイの2人の所長、この間本当に人に恵まれました。それが一番の感慨です。ありがとうございました。

最後が私事で恐縮ですが、長いバンコク生活を、手持無沙汰に右往左往しながらも何とか乗り切ってくれた妻に感謝します。彼女にとってはこれが初めての外国滞在でした。

田辺寛明

2012年9月24日(火)、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST: Japan Advanced Institute of Science and Technology)より池田満(いけだ・みつる)教育研究評議会評議員及び知識科学研究科教授が当センターを来訪されました。

タイのNECTEC(National Electronics and Computer Technology Centerタイ国家電子・コンピュータ技術センター)に所属するMr. Thepchai Supnithi主任研究員(Senior Researcher)とご一緒です。

タマサート大学のシリントン国際工学部(SIIT: Sirindhorn International Institute of Technology, Thammasat University)、アジア工科大学院(AIT: Asian Institute of Technology)、NECTEC及びJAISTの4者間で実施するデュアルディグリー・プログラムの開会式を、バンコク市内スイスホテルにて開催されたということです。

これは4年間で2つの学位を取得させるプログラムで、1年目はタイのSIITまたはAITに所属し、2年目はJAISTに所属、3年目は再びタイに戻り、最終4年目を改めてJAISTで修めるというものです。特徴としては、1年目の所属先の学籍を残したまま2年目はJASITで学籍を取得するという、学籍の重複を行うことです。これにより、タイ側としては人材の流出を防ぐことができ、日本側では優秀な学生を獲得できることになります。NECTECはSIIT所属期間中の学費を負担することで、こちらも現在力を入れているサービス・サイエンス分野での優秀な研究者の育成を目指します。JAISTではサービス・サイエンス研究センターをすでに立ち上げており、関係するいずれのプレイヤーにも益のあるプログラム作成が奏功したといえるでしょう。

なお、オープニング・セレモニーには在タイ日本大使館やJETROなどをお招きし、学位取得後の出口についても準備を開始する見込みのようです。当センターについては、セレモニー招待者の漢字の確認のためのネット検索で初めて存在を知られたそうです。まだまだ存在感の薄さが否めないと同時に、それでもネット検索で引っ掛かったのであれば漸進はしているのだと理解させていただきました。

この縁をきっかけに今後もできる限りの協力連携を図っていきたいと思います。

2012年9月21日(金)、ナレスワン大学基礎物理学研究所(The institute for Fundamental Study, Naresuan University)よりDr. Antonio De Felice講師が来訪されました。

過去に外国人特別研究員事業により東京理科大学でポスドクをされていたJSPS事業経験者です。ご自身はイタリア人で、アメリカで学位取得後、イギリス、ベルギー、日本でポスドク生活を送り、現在はタイで研究職についているという根っからの国際派。その彼によると、JSPSポスドクは群を抜いて条件が良かったということで、ぜひとも各地でその旨、宣伝していただきたいと思います。

まや、近くパタヤで宇宙論(Cosmology)に関するワークショップを開催するということですが、主要な招へい研究者は東京理解大学や京都大学の研究者ということで、非常に密なネットワークを維持しておられます。

3年程度の交流プラグラムを探しているということですので、アジア・アフリカ学術基盤形成事業(Asia-Africa Science Platform)を強くお勧めさせいただきました。宇宙論は医学や工学等に比べて選考から漏れやすいのではないか、との懸念を示しておられましたので、JSPS事業がまったくのピアレビュー方式を取っていることを念を入れて説明さしあげた次第です。

早速、来週からの東京理科大学滞在中にプロポーザルを練るというフットワークの軽さが心地よいミーティングとなりました。
なお、今回の東京理科大学滞在は、これもJSPS外国人招へい研究者事業によるものということです。
ナレスワン大学にAAプロジェクトが誕生する日も近いのではないでしょうか。

2012年9月21日(金)、在タイ日本大使館で開催された科学技術連絡会にセンター長が出席しました。この連絡会は、バンコクにオフィスを置く科学技術の振興に関連する諸機関の情報交流を目的として、四半期ごとに開催されているものです。

今回は、各機関の活動概要の紹介、タイ科学技術博覧会の結果報告に加えて、「タイ国の科学技術政策・計画概要」(Thailand’s Science Technology and innovation policy &plan 2012-2021)の紹介が Dr. Yada Mukdapitak, Deputy Secretary General, National Science Technology & Innovation Policy Officeにより行われました。

この10年計画(STI)は、タイ政府の科学技術の振興の柱となるもので以下の要素で構成されているということです。

1.知識集約型社会の構築
2.イノベーションを通してSTIの活用と商品化
3.低炭素社会を達成し持続可能な開発を進める
4.新たな科学技術を通してグリーン イノベーションを促進する
5.各セクターごとに明確な到達目標の設定
6.STIを通して地域社会のイノベーションを促進し生活の質の向上を図る

Dr. Yadaは、発表の最後に、STIに含まれる分野の中で、日本との協力を推進できる分野として以下を提案しています。

Space Technology
High Speed and urban rail technology
Bio-based alternoative energy
Technologies for climate change adaptation and mitigation
Talent mobility between Japan and Thailand
Promotion of R&D Centers

2012年9月20日(木)、当センター会議室にて、タイJSPS同窓会(JAAT: JSPS Alumni Association of Thailand)の第8回理事会が開催され、7名の理事がセンター長を交えて議論を行い、池島耕(いけじま・こう)元センター長及び10月1日着任の山田大輔(やまだ・だいすけ)次期副センター長が陪席しました。

第9回理事会議事録

6月26日開催の第8回理事会の議事録の承認、8月27日開催のJAATセミナーについてDr. Busaba会長より報告を受けた後、山下センター長より前回理事会以降の当センターの活動を簡単に報告しました。

8月3日の副センター長会議で発議された、タイ・中国の両同窓会の連携に向けた第一歩として、例年2月に開催しているJAAT総会に中国同窓会の会長をお招きするという提案に対しては、理事会でしばし議論の後に賛同が得られ、中国の旧正月直前の2013年2月8日を、同窓会総会の暫定日程とすることとしました。

この旨、当センターからJSPS北京研究連絡センターへ連絡する予定です。

その後、Dr. Busaba会長より、申請をしていた同窓会の法人登録が2012年9月14日付けで承認された旨、報告がありました。

これにともないJAATもLeague of Thai Associationのメンバーに加わることとなり、その会員費3,000バーツが、同窓会の独自資金により支払われる予定です。

また、同窓会費の支払いの有無に応じた「初期メンバー(Founding Member)」の同窓会員資格を整理する目的で同窓会のメンバーリストを更新することとなり、これについては会費の管理を行っているDr. Malee財務担当理事が担当することとなりました。

最後に、同窓会より、田辺副センター長の送迎会として9月24日に昼食会を行うことが提案され、ありがたくご招待を受けさせていただくこととなりました。

2012年9月20日(木)、当センターの前々代にあたる、第14代センター長の池島耕 高知大学 准教授が来訪されました。2011年3月10日に続いて2回目のセンター来訪です。

今回はタイ南部トランのラジャマンガラ工科大学(Rajamangala University of Technology)との共同研究の一環で行う調査が目的で、マングローブの植林後の生態観測等を行うということです。

高知大学の学務委員として多忙を極める中、急きょ日程を見つけての出張ということでした。

2012年9月12日(水)、センター長及び副センター長がバングラデシュに出張し、バングラデシュJSPS同窓会(BJSPSAA: Bangladesh JSPS Alumni Association)理事会に出席しました。

同窓会設立以来、毎年行っている同窓会主催の科学シンポジウムについての打合せで、2012年度は、BJSPSAA側に事前に計画書を作成いただき、それに基づいて、テーマ設定や時間配分、予算額などを話し合う運びとしました。

BJSPSAAからはDr. Naiyyum Choudhury会長やProf. Dr. S. M. Imamul Huq第一副会長、Prof. Dr. M. Tofazzal Islam事務局長をはじめとした11名の理事が参加しました。

詳細については以下の計画書(Proposal)及び議事録案(Minutes)を参照いただきますが、主な議論はテーマの絞り込みと時間配分に費やされました。

Proposal BJSPSAA

Report BJSPSAA meeting

当初、同窓会側は気候変動をテーマに幅広・総花的なセミナー開催を考えていましたが、これを農業と食の安全保障・健康・水管理という類似性の見出しうる3つに絞り、講演者も21人から12人まで減らして一人当たりの持ち時間を増やすことしました。これらの変更は、前回2012年2月の国交40周年記念シンポジウムの反省に立つものであり、会議中はBJSPSAA側からも賛同者が出たことで話が落ち着いた次第です。

今後、予算額の決定や予算の使用方法などを当センター及び本部で至急決定し、バングラ側に連絡する予定です。

開催は12月1日(土)に迫っており、今後、当センターとしても速度をあげて開催支援を行っていきたいと思います。

2012年9月12日(水)、バングラデシュ出張中のセンター長及び副センター長が、ダッカ市内Mirpur地区にあるユヌス・センターに、マイクロ・クレジットの創始者でありグラミン銀行の創設者であり、その活動によって貧困層の経済的・社会的基盤の構築に対する貢献を評価され、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士(Prof. Dr. Muhammad Yunus)を表敬訪問しました。

これは、九州大学の2011年のユヌス&椎木ソーシャル・ビジネス研究センター(SBRC)設立に山下センター長が深く関わっており、そのネットワークを利用しての表敬訪問です。目的は、学術支援とソーシャル・ビジネスの連携の可能性についての意見交換で、社会科学の立場からJSPSバンコク研究連絡センターの運営を探るセンター長の戦略的対話の一つと言えます。

ユヌス博士からは、タイのアジア工科大学院(AIT: Asian Institute of Technology)内にもソーシャル・ビジネス・センターが設置されていること(ただし開店休業状態)や、マレーシア国民大学(UKM: Universiti Kebangsaan Malaysia)内にもソーシャル・ビジネス学部があることご紹介いただき、東南アジア域内のでソーシャル・ビジネスに関するセミナー等の開催をご提案いただきました。

ユヌス博士をめぐっては現在、バングラデシュ政府により、グラミン銀行の総裁職を解任されるという事態に陥っているところですが、ユヌス博士ご自身は極めてアクティブに今後のソーシャル・ビジネス戦略を語られ気落ちしているような様子は一切見受けられず、そのバイタリティに圧倒された次第です。

当センターとしては、これらの助言を組みながら、山下センター長の独自性や特性を生かしたセンター運営を考えていきたいと思います。

なお、ソーシャル・ビジネスとは経済的な利益を求めず、社会的な利益を求めるビジネス・モデルで、投資費用の回収以外の配当などを認めず、一方で寄付などに頼らない独自の財政運営を行う組織や企業経営のことをいいます。

2012年9月11日(火)、バングラデシュ出張中のセンター長及び副センター長が、在バングラデシュ日本大使館に佐渡島志郎 特命全権大使を表敬訪問しました。

2012年中に、バングラデシュJSPS同窓会(BJSPSAA: Bangladesh JSPS Alumni Association)主催により日本・バングラデシュ国交40周年を記念した科学シンポジウムを開催することから、そのご挨拶とご協力のお願いに上がりました。

なお、ご自身が九州のご出身であり、広報文化担当の大村前一等書記官が現在は九州大学の国際部長を務めておられる関係で、佐渡島大使が九州大学を訪ねておられたこともあり、九州大学の教授職から現職に就いている山下センター長とはいくらかのご縁を感じている次第です。

佐渡島大使からは、バングラデシュ人が日本に対して極めて親しい感情を抱いていることや、バングラデシュ人は国民性として同窓会活動に極めて積極的であること、また最近は韓国がバングラデシュで勢いをつけていることなどをご説明いただき、BJSPSAA活動の振興への励ましをいただきました。

大村書記官の後を継いでBJSPSAAをご担当くださる高橋哲美二等書記官との打合せの段階でも、食事会の開催などのご協力をいただけるようお願い申し上げ、一定の反応を得ていることから、当センターとしては、今後も在バングラデシュ大使館のご指導とご協力を仰ぎながらBJSPSAA支援を続けたいと考えております。

2012年9月5日(水)サーミットタワー10階情報交換会が開催され、センター長および副センター長が出席しました。

これは当センターが入居するサーミットタワー・ビル高層棟の10階に、日本の学生支援機構(JASSO: Japan Student Service Organization)、国際交流基金(JF: Japan Foundation)、日本政府観光局(JNTO: Japan National Tourism Organization)がオフィスを構えており、その交流と情報交換を行うものとして、原則毎月第一水曜日にランチミーティングが開かれているものです。

参加者は以下の通り

山本剛   JASSOタイ事務所 所長
福田和弘  JF日本文化センター 所長
内田裕    同 副所長
平林豊文   同 日本語部長
内田康子   同 芸術交流部長
天野泉   JNTOバンコク事務所 次長
高垣ひとみ  同 次長
奥津聡    同 次長
山下邦明  JSPSバンコク研究連絡センター センター長
田辺寛明   同 副センター長

話題は、小田急グループより派遣されJNTOバンコク事務所での勤務となった奥津次長に始まり、観光先として日本、東南アジアからの観光客の増加などに広がりました。山下センター長の専売特許がユネスコ関連事業であり、そこには世界遺産が含まれますし、ひいてはツーリズム全体へ、そして持続可能な社会へと話は広がっていきます。

よって、当センターでは、この会話から着想を得て、早速セミナーの青写真を作成しました。2013年初頭をめどに、世界遺産・ツーリズムを切り口に持続可能な社会を考えるセミナーを開催する予定です。学術的なセミナーであることはもちろんですが、旅行先としての日本、留学先としての日本、文化の集積としての日本と、「Japan as Destination」をキーワードにJASSO、JF、JNTOのお力をお借りして、オール・サーミットタワーとしての事業第一弾として開催を目指す所存です。

2012年8月27日(月)、バンコク市内Bangkok Convention Center at Central Worldにて開催中のResearch Expo 2012の中で実施されたJSPSタイ同窓会(JAAT: JSPS Alumni Association of Thailand)による学術セミナー「Academic initiatives’ help to foster the Thai rice farmers and farming sector」を、当センターのメンバー全員で視察しました。

セミナー冒頭には、Dr. Busaba Yongsmith会長より同窓会活動の報告が行われ、Dr. Jintanapa Sobhon研究顧問(Advisor on Social Science Research, NRCT)から挨拶として激励の言葉と今後の活躍への期待が述べられました。

セミナー講演者はJAATのメンバーのほか、Mr. Prasit Booncheuiタイ稲作農民協会会長(President of Thai Rice Farmers Association)やProf. Dr. Somchai Baimoungタイ気象局副所長などで構成され、様々な側面からタイ農業のさらなる可能性を探る議論が交わされました。

講演は全編タイ語で行われ意味はつかみかねましたが、会場にぎゅうぎゅう詰めになった参加者からは盛んに笑い湧き質問が出されるなど、農業に対するタイの人々の変わらぬ関心の高さや思い入れの強さは十分に伝わりました。

2012年8月26日(日)、バンコク市内Bangkok Convention Center at CentralWorldにて、JSPS-NRCT Seminar at Research Expo 2012「Advanced research in Japan  – ASEAN Economic Community and Disaster Management」を開催しました。

これは、8月24-28日にNRCT主催で行われたThailand Research Expo 2012の一環として開催されたもので、2009年以来毎年、NRCTと当センターとの共催で開催しています。例年「Advanced Science and Education in Japan」と題して、日本の先端研究と教育を広く紹介し、様々な分野の研究者を日本からお招きして講演いただいてきました。

今回は4月12日のNRCTとのミーティングにおいて提示された7つのエキスポ・テーマのうち、最初の2つに挙げられていた

1. Research for the Formation of ASEAN Economic Community (AEC)

2. Research for Disaster Management

に対して、京都大学東南アジア研究所Dr. Pavin Chachavalpongpun准教授と東京大学生産技術研究所の川崎昭如准教授をお招きし、講演いただきました。

川崎准教授は英語で講演いただきましたが、タイ人研究者によるタイ語での概訳と簡単な説明をつけることで、研究者ではない一般市民が多くを占める聴衆の理解を図っています。

災害が引き起こす経済的損失など負のインパクトを、大規模なアンケート調査など社会学的なアプローチを用いて分析した結果が報告されました。多言語での調査により、2011年、日本の地震・津波およびタイの洪水に際して、外国人と自国民の情報収集ツールと行動の違いが明らかにされ、そこから、望ましいニュースソースのあり方が提案されました。

2015年アセアン経済共同体(AEC: ASEAN Economic Community)設立を目前にして、東南アジア各国はその準備に追われています。しかしながら、タイでは一般的な関心が低く、さらに、国内政治の影響により、元タイ外務大臣で現在ASEAN事務局長であるDr. Surin Pitsuwanの働きが実質的に制限されている状況が解説されました。

2012年8月17日~31日、BITEC(Bangkok International Trade and Exhibition Centreバンコク国際貿易展示場)にて開催されている科学技術展National Science and Technology Fair 2012へ、当センターもブース出展を行いました。

これは国民及び青少年の科学技術への理解を深めるため、タイ科学技術省(MOST: Ministry of Science and Technology)及び国立博物館(NSM: National Science Museum)が主催しているもので、開催期間中は例年小中学生を中心に100万人以上が訪れており、特に今年は120万人以上の来場が見込まれる大きなイベントです。当センターも例年ブース展示に参加し、JSPSの研究助成事業や在タイの日本の大学の事務所などを紹介しています。今年はJSPSブースの一角にJASSOの日本留学助成事業のチラシも設置しました。

日本からは、当センターのほか、JICA(国際協力機構)、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、JIRCUS(国際農林水産業研究センター)、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、NICT(情報通信研究機構)、RESTEC(リモートセンシング技術センター)が出展を行っています。

8月22日(水)には、Her Royal Highness Maha Chakri Sirindhorn王女を迎えての開会式が開催され、当センター全員で参加しました。
式典終了後は、Sirindhorn王女が展示ブースを回って見学なさいました。見学するブースは予め決めてあり、当初、当センターのブースは残念ながら見学いただく予定が無かったのですが、当ブースを通りかかった際足をお停めくださり、山下センター長からの説明をお聞きいただくことができました。

今回当センターの展示が王女のご関心を引くに至ったことは、これまでの広報活動が着実に成果となっていることを確信させてくれました。今後とも、当センターはアクティブに活動を続けていきたいと思います。

2012年8月14日(火)、センター長及び副センター長がベトナムのハノイへ出張し、ベトナム・ユネスコ協会連盟本部(VFUA: Vietnam Federation of UNESCO Associations)を表敬訪問しました。VFUAは現在、世界ユネスコ協会クラブ・センター連盟(WFUCA: World Federation of UNESCO Clubs, Centres and Associations)の事務局も務めています。

左から、Mr. Tran Van Manh VFUA事務担当次長、副センター長、Mr. Thang会長、センター長、Ms. Le Thi Hoang Anh渉外担当次長

左から、Mr. Tran Van Manh VFUA事務担当次長、副センター長、Mr. Thang会長、センター長、Ms. Le Thi Hoang Anh渉外担当次長


ユネスコ協会連盟の役割は、国内に散在する地域ユネスコ協会やユネスコ・クラブなどの取りまとめと全国規模でのイベント開催等です。現在、ベトナムではユネスコ協会への個人会員が全体で7500人、各種イベント参加者15万人に上り、世界でも屈指の規模を誇るユネスコ団体です。

今回は、会長(President)のMr. Nguyen Xuan Thangにお会いすることができました。VFUAは1993年にベトナムで唯一、首相直々の決定により設立されたNGOで、ベトナム外務省傘下で後援を受けております。元々のオフィスは外務省内にありましたが、6年ほど前に市街地からは少しだけ離れた現在のビルに移動されました。過去にはユネスコ加盟国であればどの国にもあるユネスコ国内員会の事務局長も務めておられ、外務省や内務省のほか、教育省、文化省、科学技術省、情報省など、ユネスコのカバーするおよそ全ての範囲で幅広い人脈をお持ちです。

JSPSの事業紹介を行ったところ、会員には大学関係者も非常に多いということで、極めて積極的に細かな質問をされた上で、ユネスコ協会を通じた広報活動を約束いただきました。

前日13日には、ハノイの一流大学であるハノイ科学技術大学(Hanoi University of Science and Technology)にお勤めのDr. Truongより直々に、ベトナムにおけるJSPSの存在感のなさや情報不足ぶりを伝えられていたことから、7000人規模の団体を通じてJSPSの情報が伝えられることは非常に大きな前進であると確信しています。

また、こちらからの提案を待たずに先方より、ユネスコのネットワークを使っての大学関係者への直接のガイダンスを実施することをご提案いただきました。これは願ってもないチャンスです。我々としては是非にでも実施したいと考えております。

さて、ユネスコというと世界遺産や識字教育、いわゆる(初等)教育と文化が想起され、JSPSが対象とする高等教育や博士研究者とはターゲットが異なるのではないか、という懸念が生じます。

しかしながら、現在のベトナムの状況は必ずしもそうではありません。

日本でユネスコ活動が本格的に始まったのは1940年代後半から50年代にかけてです。終戦2年後には仙台で最初のユネスコ団体が設立され、その4年後の1951年に日本が正式にユネスコに加盟しました。国連加盟に先立つこと5年です。

これら動きの原動力は何だったのか。それは第2次大戦下で学問の無力を痛感した学者たちが深い反省にたち、教育という武器で平和を作ろうとした、平和への意思でした。ユネスコは単なる教育文化機関ではなく、平和のための教育文化を理念にもつ機関なのです。

さて、そこでベトナムですが、ベトナムでは1960年から1975年まで15年に渡ってベトナム戦争が続き、一説ではその間に国内の歴史的・伝統的建築物の90パーセント以上が破壊され、100万人以上の死者を出しました。そこには共産主義や資本主義、自由主義や社会主義といったイデオロギーの問題もはらんでおり、戦後40年を迎える今も、単にアジアの進行経済国というだけの顔を持っているわけではありません。

これら状況をかんがみると、Mr. Thang会長の言質とは別に、ベトナムのユネスコ協会に現在も大学関係者が多く所属していることは想像に難くありません。そして、ユネスコ協会連盟と連携することで、ベトナム研究者がJSPS事業を通じてベトナムの再興に貢献することになれば、それは素晴らしいことであると、当センターでは考えております。

緑が美しい連盟建物

緑が美しい連盟建物

2012年8月14日(火)、センター長及び副センター長で、ハノイにベトナム・ユネスコ協会連盟本部(VFUA: Vietnam Federation of UNESCO Associations)を表敬訪問したところ、Mr. Nguyen Xuan Thang会長のご厚意により、ベトナム科学技術省(MOST: Ministry of Science and Technology, Vietnam)にお連れいただき、国際部次長にご紹介いただきました。

折しも、JSPS本部とMOSTの間では本年6月1日付けで覚書を締結したところです。東南アジア所在の研究連絡センターとして、MOU締結を機にご挨拶をするのは極めて当然であり、その絶好の機会であると考え、Thang会長のお誘いに乗らせていただきました。

MOST側で対応くださったのは以下の2名です。

–       Ms. Le Thi Viet LAM, Deputy Director-General, Department of International Cooperation (DIC), MOST

–       Ms. Hoang Ngan GIANG, Official, Asia and Africa Division, DIC, MOST

両名とも日本への留学経験をお持ちで、Lam部長は東京大学に2年、Giang職員は東京農工大学に6年おられたということです。会談は英語で行われましたが、お二人とも日本語を流ちょうに話されます。

冒頭、Thang会長よりご紹介いただき、その後、MOSTとの懇談を行いました。我々からまずお伝えしたことは概要以下の通り。

・JSPSにはバンコク・センターというものがある

・それはハノイにほど近いバンコクにある

・バンコクにはJSPS同窓会もある

・マニラにも一部事業経験者の同窓会がある

・ハノイには同窓会はないけど、60名ほどの同窓生はおり同窓会設立への希望はある

・タイNRCTがバンコクで、フィリピンDOSTがマニラでそうしているように、ベトナムMOSTがハノイで同窓会にご支援をいただけるとありがたい

これに対するMOSTからは反応は概要以下の通り。

・同窓会があるとはすばらしい

・ベトナムで設立されれば支援や連携を惜しまない

・タイ同窓会はどんなことをし、JSPSはどのようなサポートを行っているのか

・MOSTとして経済的な支援は可能として、研究の質・内容面についての支援はJSPSで行ってもらいたい

・5年後のMOU見直しの時期に、現在の二国間交流事業に加えて同窓会支援を加えることを検討してはどうか

以上、ベトナム同窓会支援に向けて望外の好感触を得ることができました。バンコクでは理事会の開催などのロジ面の支援や、セミナー開催の経費的な支援、それに日本人研究者の招へいなどを行っていることを回答し、ロジ面を除けば、同窓会となればベトナムでも同様の支援が可能である旨をお伝えしました。

ついては、まずは同窓会が何らかの形で立ち上がることが急務です。当センターとしては、これまで未設立の同窓会への支援は経験がなく、それが行えるかどうかは検討が必要ですが、可能な限りの方法をもって善処したいと考えております。

左から、副センター長Ms. Giang職員、Ms. Lam次長、センター長、Mr. Thang会長

左から、副センター長Ms. Giang職員、Ms. Lam次長、センター長、Mr. Thang会長

2012年8月13日(月)、センター長及び副センター長がベトナムのハノイへ出張し、JSPS経験者を訪問、ベトナム同窓会設立に向けて意見交換を行いました。

お会いしたのはDr. Do Van TRUONGで、前回2010年9月のベトナム出張の際にもお会いし、同窓会設立への意向を伺っておりました。
今回の訪問はその進捗状況確認を兼ねた、今後の協力のあり方についての相談が目的です。

議論の様子

議論の様子

前回の訪問時、Dr. TRUONGはハノイ科学技術大学機械工学科機会・ロボットデザイン専攻所属の研究員(Ph.D., Department of Design of Machinery and Robot, School of Mechanical Engineering, Hanoi University of Technology)でしたが、今回お訪ねしたところ、ハノイ科学技術職業大学の副学長(Vice President, Hanoi Vocational College of Technology)になっておられました。聞けば、ハノイ科技大学の傘下にある実質的な私立大学ということで、引き続きハノイ科学技術大学にも籍が残してあるということです。まずはJSPS同窓生のご栄転に触れることができ、嬉しく思った次第です。

ベトナムでの同窓会設立の主な目的はJSPSの顕在化であると、Dr. TRUONGは考えています。全事業を含めて全体的に採択人数が少ないこともさることながら、従来からのJSPSのカウンターパート機関であるVASTからの採択者が多く、VAST外での知名度は低いようです。このため、申請希望者にとっては情報が不足し、採択経験者にとっては次の研究費獲得への障壁が依然高いといった問題意識があることがわかりました。

同窓会設立に向けた進捗状況は概要以下の通りで、特に資金的な問題が大きいということです。
・現在の賛同者は10名ほど
・ハノイだけではなく全国に散在している
・分野も広範にわたっている
・資金面でのサポートがない

当センターとしては、同窓会としてある程度以上の実態がなければ資金的なサポートは難しいことを説明し、フィリピンの論博同窓会を例に挙げながら、
・所属大学や国内の省庁等からのサポートを打診してみてはどうか
・そのために現在のネットワークを実体的なものにしておくこと
・独自でのセミナー等開催に上記の大学関係者や省庁関係者を招く

といったことを提案し、ネットワーク強化やセミナー準備などミーティング等への参加や声掛けには前向きに対応していく旨をお伝えしました。

また、今年6月1日付けでJSPSがベトナム科学技術省(MOST)とMOUを締結し、それに伴って、JSPS-MOSTの枠組みでの二国間交流事業を募集し始めていることから、来年度以降ぜひともこれに応募しJSPS経験者として採択を勝ち取っていきたきたい旨、強く要請しました。それをきっかけにMOSTとの関係構築を図っていくことも考えられます。

Dr. TRUONGとしては、JSPS側の状況を理解いただき、まずは草の根レベルでの人的ネットワークの構築を継続していかれる旨を約束くださいました。

当センターとしては東南アジアでの同窓会拡充に向け、支援の方法を探っていきたいと思います。

左から、センター長、Dr. Truong、副センター長

左から、センター長、Dr. Truong、副センター長

2012年8月10日(金)、当センターのメンバー全員でタイ北部ピサヌルーク(Phitsanulok)にナレスワン大学(NU: Naresuan University)を訪ね、Prof. Dr. Sujin Jinahyon学長を表敬訪問しました。

これは6月26日の第8回のほか、過去の同窓会理事会で何度か推薦をいただいていたもので、山下センター長の地方大学訪問第一弾として、NU所属の同窓会員であるDr. Ratchanee Mukhjangに訪問手配のお願いをしたところ快く引き受けてくださり、実現にいたったものです。
NU側の参加者は以下の通り。

Professor Dr. Sujin Jinahyon, President
Assoc. Prof. Dr. Sukhgij Ysothonsreekul, Vice President for Research and External Relations
Assoc. Prof. Dr. Mary Elizabeth Sarawit, Distinguished Specialist for International Affairs
Assist Prof. Dr. Ratchanee Mukhjang, Faculty of Management and Information Science
Assoc. Prof. Taiitsu Obata, Department of Japanese Language, Faculty of Humanities
Ms. Suwapan Krutmuang, Deputy Head of the Department of Eastern Languages, Faculty of Humanities

左から当センタースタッフ、大峡泰一助教授、Ms. Suwapan、Assist Prof. Dr. Ratchanee、Assoc. Prof. Dr. Mary、センター長、Prof. Dr. Sujin学長、Assoc. Prof. Dr. Sukhgij副学長、副センター長

左から当センタースタッフ、大峡泰一助教授、Ms. Suwapan、Assist Prof. Dr. Ratchanee、Assoc. Prof. Dr. Mary、センター長、Prof. Dr. Sujin学長、Assoc. Prof. Dr. Sukhgij副学長、副センター長

ナレスワン大学は元々1967年に教員養成大学として設立され、その後シーナカリン・ウィロート大学(Srinakharinwirot University)のピサヌルーク・キャンパスとして再編、1990年に単独のナレスアン大学として承認されました。そういった経緯もあり、伝統的に教育をはじめとした社会科学に強く、近年では外国語教育にも力を入れていて、日本語学科では200人の学生に対して20人の教員を擁しています。このほか、カフェ感覚のLanguage Centerを開設し、英語のネイティブ・スピーカーを配置して日常的に英語に触れる機会を設けるなどの取組みを行っています。

Language Center併設のカフェ

Language Center併設のカフェ

現在、学生数は約27,000人。うち21,000人が学部生、また100人が留学生です。留学生のトップはThe Royal Civil Service Commission(ブータンの人事院にあたる、政府公務員の人事機関)とMOUを締結しているブータンからとのこと。

学長のProf. Dr. Sujin Jinahyonは、植物学者としてアメリカで学士から博士までの修められた後、バンコクのカセサート大学(Kasetsart University)と南部のプリンスオブソンクラ大学(Prince of Songkla University)でキャリアを積まれ、1993年から2001年までナレスワン大学の学長を、その後、別の大学で要職に就かれた後、2009年より2期目の学長職に就かれているという、これまでの訪問大学では例のなかった経歴をお持ちです。

東京農業大学の故・杉二郎教授との共同研究歴が長く、日本との協働・連携についても非常に前向きで、当センターより事業紹介および若手研究者向けの事業紹介セミナーの開催を打診したところ、極めて明確に賛同の意思表示をいただき、今後、Assoc. Prof. Dr. Sukhgij Ysothonsereekul研究・渉外担当副学長をおもな窓口として日程調整を行っていくこととなりました。

なお、学長との会談後は、大学図書館、農学部、上述の言語センターへの視察の後、ナレスアン大学主催で夕食会を催していただきました。ありがとうございます。

今回の表敬訪問で非常に印象的だったのは、何よりもまずProf. Dr. Sujin学長の人柄です。これまでお会いしてきた学長や副学長先生の中でも群を抜いてご高齢であること、そして、登場されるや周囲の空気がピリッと引き締まるような雰囲気は「偉い先生なのに朗らか」という、この国では馴染み深い学長像とは明らかに異なるものでした。農地や稲作に関する研究方針を明確に示されるほか、研究プロジェクトにおける計画性や組織構成の重要性を副学長の先生方にまで一つ一つ説かれる姿は、大学における偉大な父親のようでした。このことをもって単純にトップダウン型の大学運営ということはできませんが、その他の大学に比べて極めて特徴的であることは間違いありません。

センター長、学長

センター長、学長

次に、上述した言語センターの存在と同様、大学図書館が非常に機能的であることも印象に残りました。24時間営業で、学生だけでなく地域の住民にも開放され、PCセンターのほかチーム学習用の小部屋も多数用意されています。総じて、こういった学生向けの施設が目に見えてエンドユーザー・フレンドリーに設計・運営されています。

若手研究者向けガイダンスセミナーは年末の開催が想定されています。当センターとしては、日程調整と人選に努めたいと思います。

2012年8月9日(木)、当センターのメンバー全員でバンコク郊外ムアントンタニーにあるタイ環境研究所(TEI: Thailand Environment Institute)を表敬訪問しました。

TEIは環境教育を中心に国内の郊外地域(いわゆる地方)における持続可能な発展を支援する研究機関で、山下センター長の2年間の滞在期間中の共同研究相手でもあります。名誉理事長に日本でもその名を知られるアナン元首相(Anand Panyarachun)や、名誉顧問にパイチット元科学技術環境大臣(Phaichitr. Uathavikul)をいただくほか、理事メンバーに元観光・情報・エイズ担当大臣をはじめとした政府の元要人を抱える非政府組織です。

去る7月26日(木)、TEIよりMs. Kodchakorn Wisutvasudharn研究員(Researcher 4)及びMs. Kamolrat Photi研究員(Researcher 4)に当センターへお越しいただいて共同研究計画について意見交換を行ったことを踏まえ、今回はセンターとしてDr. Chamniern Paul Vorratnchaiphan所長(Senior Director)への表敬訪問することとなりました。

Dr. Chamniernは西ドイツ(当時)のドルトムント大学で政治科学の博士号を修めた研究者であると同時に、人間の居住及び生存環境の改善に向けた活動を続けており、マグサイサイ賞受賞者で「スラムの天使」とも呼ばれるタイの社会福祉活動家プラティープ・ウンソンタム・秦さんや、日本の運動家である故・小田実氏とも交流があります。

JSPSの事業紹介をしたほか、センター長の研究とセンター運営の切り分けについて説明を行い、今後の連携について意見交換をしました。具体的にはTEIがタイ国内に指定している実験校への同行や、実験校以外の学校のアレンジなどについて、その際の経費の負担割合などで合意を取り付けました。

センター長の研究テーマであるESD(持続可能開発のための教育)を軸に、TEIと国内大学の橋渡しや、国際機関を巻き込んでの研究集会開催など、今後の可能性の広がりを感じられる時間となりました。

左から、副センター長、Dr. Chamniern所長、センター長、現地スタッフ、Ms. Kamolrat研究員

左から、副センター長、Dr. Chamniern所長、センター長、現地スタッフ、Ms. Kamolrat研究員

2012年8月3日(金)、JSPS北京研究連絡センターより水野満(みずの・みつる)副センター長の出席を得て、当センターにてJSPS海外研究連絡センター第1回アジア副センター長会議が開催されました。

参加者は以下の通りです。
水野 満 北京研究連絡センター副センター長
田辺寛明 バンコク研究連絡センター副センター長
山本 剛 JASSOタイ事務所・所長(陪席)

これは今年3月にフランスのストラスブール研究連絡センターで開催された欧州副センター長会議に続く域内副センター長の意見交換会で、毎年4月に東京本部で開催されるセンター長会議とは別に、実務者レベルでの情報交換を目的とするものです。

席上、以下6つのテーマに沿って各センターの現状と展望が報告され、その後、アジアでの将来的な連携の可能性を議論しました。

具体的には、世界各国のJSPS同窓会をつなぐ横の連携を展望し、その第一歩として、タイの同窓会総会へ中国の同窓会長をお招きすることで双方の調整をすることになりました。中国同窓会についてお話しいただくほか、会長同士の席を設けて今後の連携協力について意見交換していただくことが目的です。

a) 各センターの活動と運営上の課題
b) 各センター所在国・地域の動向
c) JSPS同窓会の活性化とネットワークの活用
d) 国際協力員(研修員)の業務・研修体制
e) センター間の協力・連携の可能性
f) 本部への要望等

この他、JSPSが大学連携型法人に位置づけられた中で、その海外センターとしてどのように大学との協働・連携を図っていくか、同窓会支援における留意点、事務所運営における工夫などについて、双方の副センター長が胸襟を開いて話し合いました。アセアン地域に隣接し、経済等で圧倒的な規模を誇る中国の現状からは学ぶ点も多く、当センターとしては実り多い時間です。

また、JASSO(日本学生支援機構)タイ事務所の山本所長に陪席いただき、JSPS事業への理解を深めていただくとともに、JSPSとJASSOの連携協力や共有オフィスとしての今後の運営の際の材料にしていきたいと思います。

上述の通り、来年2月(予定)のタイ同窓会総会を当面のアクションプランとしていることから、その結果を踏まえたうえで、第2回会議を来年夏ごろに北京で開催できればと考えております。

左から田辺副センター長、水野副センター長、山下バンコクセンター長、山本所長

左から田辺副センター長、水野副センター長、山下バンコクセンター長、山本所長

2012年7月30日(月)、当センターメンバー全員で、チュラロンコン大学(ChulalongkornUniversity)を訪問しました。

当センターは昨年5月にも、9つのタイ国内の研究型国立大学を訪れる一環としてチュラロンコン大学を訪問していますが、新センター長のタイでの活動の第一弾として、今回改めて学長であるPirom Kamolratanakul教授(M.D.)に直接お会いして、当センターの活動を紹介する機会を得ることができました。

センター長、Pirom学長

センター長、Pirom学長

チュラロンコン大学は長い歴史を持つタイで最も有名な大学の1つですが、JSPSの研究支援制度によりタイの研究者と共同研究している日本の機関のおよそ70%がカウンターパートとして選ぶ、研究レベルにおいても定評のある大学です(平成24年度大学の世界展開力強化事業申請数)。

まず、副センター長よりJSPS及び当センターの業務説明を行い、チュラロンコン大学の多くの研究者がJSPSの制度を利用して博士号を取得したり日本の研究者との研究活動を行ったりしていることを紹介しました。これに対しPirom学長から、チュラロンコン大学では約69%の研究者、教員に限定すると約79%の研究者が博士号を取得しているが、JSPSの論文博士号取得支援制度については特に有益であるとのご意見をいただきました。また、当センターが大学へ出向いてJSPSの事業説明会を開くことができる旨もお話したところ、大変興味を持っていただくことができました。

説明を行う副センター長、センター長、Pirom学長

説明を行う副センター長、センター長、Pirom学長

今回訪ねたキャンパスには最近新しく留学生1,000人を収容できる寮が建つなど、チュラロンコン大学ではますます国際交流に力を入れているとのことです。これからも、日本との学術交流に役立てるべく当センターを活用していただければと思います。

なお、今回の表敬訪問は、これに先立つ4月25日の関西大学バンコク事務所の開所式や5月24日のAUN‐京都大学シンポジウムなどで同席する機会を得る度にPirom学長への申し出を続けてきたことが奏功したものと理解しております。

当センターとしては今後とも粘り強い活動を続けていきたいと思います。

左から、研修員、副センター長、センター長、Pirom学長、Kriangsak Buranapatama学長補佐、当センター現地スタッフ

左から、研修員、副センター長、センター長、Pirom学長、Kriangsak Buranapatama学長補佐、当センター現地スタッフ

2012年7月24日(火)、当センターメンバー全員で、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)バンコク事務所を訪問しました。

左からKim事務所長、センター長、副センター長、現地職員、研修員、Mr. Padilla

左からKim事務所長、センター長、副センター長、現地職員、研修員、Mr. Padilla

事務所長のMr. Gwang-Jo Kimは、ユネスコに勤務していた時代からの山下センター長の知己であり、今回の訪問を快く迎えてくださいました。

Kim事務所長によると、現在ユネスコにおいては予算の大幅な減収により、新たな職員採用ができない上にプロジェクトの数も減らさなければならないという難局を迎えている中、バンコク事務所ではできるだけ質を落とさず活動を続けていきたいとのことでした。

副センター長からJSPS及び当センターについて簡単な説明を行い、今後互いの目標のために両機関で協力し合えることがあれば探っていきたい旨をお伝えしたところ、大変好意的に受け止めていただき、今後は持続発展教育(ESD:Education for Sustainable Development)を担当しているMr. Danny Padilla ESD Coordinator and Liaison Officerと具体的な取組について相談していくこととなりました。

当センターとユネスコとの協同はこれまでにない新しい試みとなりますが、これによってさらに広く社会へ貢献できることを願ってやみません。

2012年7月18日(水)、北海道大学より正木幹生(まさき・みきお)シニアコーディネーターが当センターを訪問されました。
今回は、ラオスを訪問された帰路のご来訪です。

北海道大学では近年、学生、特に学部学生の短期海外派遣に力を入れており、ファーストステッププログラムとして、昨年度はラオス・シンガポールへ24人の学生を2週間派遣し、今年8月にはフィンランドへ2週間、来年2月にはタイへ2週間のプログラムを計画しているとのことです。大学へ入学して間もない学生に短いながらも海外経験をさせることで、ゆくゆくは長期の留学交流や海外インターンシップにつなげていきたいとのお考えです。

また、東南アジアを含む海外からの優秀な学生のリクルートも視野に入れており、タイの日系企業等とも連携して学生の呼び込みから卒業・帰国後の日系企業への就職までのルートを考えていきたいとのことでした。

当センターからは、日系企業側のタイ人学生に対するニーズはあるが、就職後の能力の伸び悩みが問題となることが多いため、大学側で就職後もキャリアアップしてゆけるような人材を育成できることをアピールすることにより、協力関係を築くきっかけができうるのではないかと提案させていただきました。

東南アジア地域との連携深化に向けて、今後とも当センターを活用していただければと思います。

左から副センター長、正木コーディネーター、センター長

左から副センター長、正木コーディネーター、センター長

2012年7月12日(木)、JSPS本部より、ベトナム科学技術省(MOST: Ministry of Science and Technology Vietnam)との科学技術協力に関する覚書を締結した旨、連絡がありました。締結は2012年6月1日付。当面の協定期間は5年間。その後、どちらかの申し出がない限り自動的に5年ごとの延長が行われます。

ベトナムとの覚書締結はVAST(ベトナム科学技術アカデミー:Vietnam Academy of Science and Technology)に続いて2件目になります。

これまで、ベトナムとの二国間交流事業(Bilateral Joint Research Program)では、VAST所管の研究所等所属の研究者が共同研究相手でなければベトナム側からの支援が受けられませんでしたが、支援対象機関に制限の無いMOSTとの覚書締結により、共同研究対象が広がることになりました。

MOSTを対応機関とする二国間交流事業の公募締切りは例年9月となる予定で、平成25年度分いついては2012年7月現在、公募中です。(VASTは引き続き2月締切りの見込みです)

2012年7月9日(月)、金沢大学より古内正美(ふるうち・まさみ)教授が当センターを訪問されました。
古内教授には昨年12月にタイ南部プリンオブソンクラ大学表敬訪問の際にお会いして以来、来タイの度に当センターへお越しいただいております。今回は、当センターでの研修生受け入れについての情報収集ということで、カンボジア工科大学及びタイ南部のプリンスオブソンクラ大学での出張後にお立ち寄りいただきました。

なお、当センターの来訪前に行かれたカンボジア工科大学とは、JSPSのJENESYSプログラム(21世紀東アジア青少年大交流計画)やJASSOのショートステイ・ショートビジット(SS&SV)プログラムで交流を続けており、24年度はプリンスオブソンクラ大学も交えてJSPSアジア・アフリカ学術基盤形成事業への応募を予定されているとのことです。アンコール遺跡群の維持管理や環境保全をしているアンコール遺跡整備公団とも交流協定を締結しているとのことで、研究成果の実社会への還元という観点から、カンボジアにおいては同公団を含めたチーム編成をされることをお勧めしました。

金沢大学は現在、キングモンクット工科大学トンブリー校に事務所をお持ちです。また今後、プリンスオブソンクラ大学にも事務所を設置する方向で検討しているとのことで、これが叶うとタイ国内に2か所の事務所を持つことになります。事務所の機能としては、共同研究の拠点や金沢大学の受験地としての利用が期待されています。

古内教授は、国際的視点で働くことのできる事務職員の育成を重視し、将来的には金沢大学のバンコク事務所や当センターでの事務職員の研修も視野に入れていらっしゃいます。当センターからは、現在受け入れている研修員の実際の感想を交えながら、提供している研修内容について説明いたしました。
当センターで研修を行う大きなメリットとしては、事業紹介や打合せ等に同行することで生きた英語を使う機会が得られる点、バンコクだけでなく様々な地域における研究者の雰囲気やニーズを知ることができる点、またタイの大学をはじめとしてさまざまな機関のトップの方々と直接会う機会が得られる点などが挙げられます。
大学独自の研修をお考えであれば、タイ国内には語学学校も多く、加えて日本よりも低予算で受講できるため、英語研修を軸とした具体的な実地研修プログラムを策定することを提案させていただきました。

当センターを今後とも大学職員の能力向上においても役立てていただければと思います。

左から副センター長、古内教授、センター長

左から副センター長、古内教授、センター長

2012年7月7日(土)、バンコク市内グランドミレニアム・ホテルにて、立命館アジア太平洋大学(APU)のタイ事務所開所式が開催され、当センターよりセンター長、副センター及び研修員が参加しました。

会場には、いく名かの在タイの大学関係者のほか、APUタイ父母会と卒業生などで150名程が集まり、タイにおけるAPUの浸透ぶりをうかがわせました。

山神進(やまがみ・すすむ)副学長(学生担当、入試担当)より開会のあいさつが述べられた後、タイ事務所の責任者でもある近藤祐一(こうんどう・ゆういち)教授から事務所の紹介が行われました。日本からの駐在員は置きませんが、英語も堪能なタイ人スタッフ2名が勤務されるとのこと。

タイには若い人なら誰でもその曲を聞いたことがあるRoom39というバンドがありますが、メンバーの一人がAPU出身ということで今回の開所式に招かれ、約1時間にわたって生演奏を繰り広げました。APU卒業生らの盛り上がりぶりは圧倒的で、現地での若いニーズを確実につかむ姿勢には驚きとともに感心をせざるをえません。

Dr. Usanee Charoenpipatpol APUタイ事務所特別顧問、近藤教授、山神副学長

Dr. Usanee Charoenpipatpol APUタイ事務所特別顧問、近藤教授、山神副学長


上述の通り、式にはタイ父母会(APU学生の親同士の親睦と、大学への理解を深めるもの)も招かれており、親世代をも巻き込んでの大学運営には他学が学ぶところも大きいように感じられます。

APUタイ事務所の連絡先は以下の通り。当センターが3月まで入居していたエリアで、歩いて1分のごく近所です。今後、連携の途を探っていきたいと思います。

APU Thailand Office
Room 1015, 10thFloor, Serm-mit Tower, 159/16 Soi Asoke, Sukhumvit 21 Road, Wattana, Bangkok 10110, Thailand
Tel/Fax: +66-(0)2-665-7145
Email: Thailand@apu.ac.jp
Web: www.apu-thailand.com

タイ事務所の陣容。左端は日本側での担当窓口となる日本人スタッフ

タイ事務所の陣容。左端は日本側での担当窓口となる日本人スタッフ

2012年7月4日(水)、当センターメンバー全員でキングモンクット工科大学トンブリー校(KMUTT: King Mongkut’s University of Technology Thonburi)を訪問しました。同校が2012年より当面3年間、日本の旭硝子財団による研究助成の対象となったことを祝って開催されたResearch Grant Awarding Ceremonyに招待をいただいたものです。

助成受賞者たちとの記念写真 前列左より、鮫島専務理事、俵一等書記官、田中理事長、Dr. Bundit Thipakorn教育担当副学長、Dr. Bundit Fungtammasan研究担当副学長 後列左より、笠井所員、関センター長、山下センター長、増井研究助成部長、Dr. Solotバンクンティアン・キャンパス担当副学長

助成受賞者たちとの記念写真
前列左より、鮫島専務理事、俵一等書記官、田中理事長、Dr. Bundit Thipakorn教育担当副学長、Dr. Bundit Fungtammasan研究担当副学長
後列左より、笠井所員、関センター長、山下センター長、増井研究助成部長、Dr. Solotバンクンティアン・キャンパス担当副学長

旭硝子財団は、1933年(昭和8年)より大学に対して応用化学の分野での研究助成続けており、太平洋戦争後の混乱期を除いても実に80年近い研究助成の実績を持つ民間財団です。
1982年(昭和57年)以降、タイではチュラロンコン大学(Chulalongkorn University)に対して海外研究助成を続けてきましたが、このたびKMUTTをタイで2番目の助成対象校としたとのこと。
これにはAGC旭硝子社がタイ国内で操業している7つの現地法人におけるKMUTT卒業生の働きぶりが評価されたということで、なかには工場長にまでなられている方もいるそうです。

KMUTTはタイ国内9つの研究拠点大学(教育省指定)に選ばれており、特に材料工学や生命科学、環境エネルギー分野に力を入れていて、同財団の一般的な助成対象である材料や環境といった研究分野に合致する点も選定理由としてあげられるかと思います。
助成額は年間約300万円で、今回は材料科学、生命科学、環境、エネルギーの4分野6課題が助成対処として選ばれました。

協定書を取り交わすDr. Bundit教育担当副学長と田中理事長

協定書を取り交わすDr. Bundit教育担当副学長と田中理事長

選定された研究課題がこちら。
KMUTT-list.pdf

セレモニーには、旭硝子財団より田中鐵二(たなか・てつじ)理事長、鮫島俊一(さめじま・しゅんいち)専務理事、増井暁夫(ますい・あきお)研究助成部長など多くの主要関係者のほか現地法人の幹部職員が出席したほか、KMUTTからはAssoc. Prof. Dr. Sakarindr Bhumiratana学長(President)の代理としてAssist. Prof. Dr. Bundit Thipakorn教育担当副学長(Vice President for Education Development)、Assoc. Dr. Bundit Fungtammasan研究担当副学長(Vice President for Research)およびAssoc. Prof. Dr. Solot Suwanayuenバンクンティアン・キャンパス担当副学長(Vice President for KMUTT Bang Khun Thian)など主要幹部が出席しました。

この他、当センターを除く日本からの招待出席者は以下の通り。
俵幸嗣(たわら・こうじ) 在タイ日本大使館一等書記官
関達治(せき・たつじ) 大阪大学バンコク教育研究センター長
笠井雅紀(かさい・まさのり) 海外産業人材育成協会バンコク事務所員

当センターでは2012年2月にDr. Bundit研究担当副学長を表敬訪問しており、今回のご招待は、そういった活動によって我々の知名度が少しずつしかし確実に上がってきていることを実感させました。
また、旭硝子財団の設立は、奇しくもJSPSが天皇陛下の下賜金により設立された1932年(昭和7年)の翌年に当たり、東京の事務所もほどちかいとのこと。今回の出会いをきっかけに同じ研究助成団体として、今後とも協働していけたらと思います。

KMUTT歴史展示館でのツアー

KMUTT歴史展示館でのツアー

2012年7月4日(水)、オフィス最寄りの日本食店「みつもり」にて、サーミットタワー10階情報交換会が開催され、センター長および副センター長が出席しました。

これは当センターが入居するサーミットタワー・ビル高層棟の10階に、日本の学生支援機構(JASSO: Japan Student Service Organization)、国際交流基金(JF: Japan Foundation)、日本政府観光局(JNTO: Japan National Tourism Organization)がオフィスを構えており、その交流と情報交換を行うものとして、原則毎月第一水曜日にランチミーティングが開かれているものです。

6月の同交換会は日程の都合で出席できなかったため、5月に着任された国際交流基金の福田所長とは初めての席となりました。また、山下センター長としては着任後初めての参加となり、JSPSとは所掌分野が異なる独立行政法人たちの活動ぶり、関心など、身近でありながら新しい人々との出会いを楽しみました。

参加者は以下の通り
福田和弘 JF日本文化センター 所長
内田裕   同 副所長
平林豊文  同 日本語部長
益田浩  JNTO 所長
天野泉   同 自長
山下邦明 JSPSバンコク研究連絡センター センター長
田辺寛明  同 副センター長

2012年7月1日(日)、JSPSバンコク研究連絡センター第16代センター長として山下邦明 元九州大学大学院言語文化研究院・院長が着任されました(勤務は7月2日より)。

任期は2年の予定で、タイ環境研究所(TEI: Thailand Environment Institute)をカウンターパートに、タイの学校教育におけるESD(持続可能な開発のための教育)について共同研究を行います。

以下、センター長挨拶。

竹内渉氏の後を受け、2012年7月1日付けでJSPSバンコク研究連絡センター長に着任しました。個人的な経歴を申し上げるなら、本年3月末に九州大学を定年退職しましたが、9年間在職しました九大では、言語文化研究院長、総長特別補佐(国際交流担当)また経営協議会委員などを歴任させていただきました。九大に奉職する前の約10年間、ユネスコ(国連教育科学文化機関)のパリ本部事務局対外関係・協力局プログラム・スペシャリストとして加盟国とのリエゾン的な仕事に従事してきました。

これらの経験を生かし当センターのミッションである東南アジア・南西アジア諸国との学術を通した人的交流とネットワーク構築の促進に努力したいと思っております。関係各位のご支援並びにご協力をお願い申し上げます。

山下センター長と安西JSPS理事長

山下センター長と安西JSPS理事長

2012年6月30日(土)、バンコク研究連絡センター・2010年-2012年センター長である竹内渉センター長(東京大学生産技術研究所・准教授http://stlab.iis.u-tokyo.ac.jp/~wataru/index_j.php)が2年の任期を終えて退任されました。そこで、在任中の竹内センター長の歩みを、セミナー等の記念写真とともに振り返りたいと思います。

1.2010年8月28日、JSPS-NRCTセミナー@Research EXPO 2010
2010年7月の着任から1ヶ月余りの準備期間でしたが、山海筑波大学教授、藤野東京大学教授、平山長崎大学教授というCOEリーダー3名をお招きしました。この、初めての共催事業の成功により、NRCTから確かな信頼を勝ち得、この後、Prof. Dr. Soottiporn事務局長をはじめとするNRCTとの厚い親交と協力関係が始まりました。

2.2011年1月6-7日、JSPS国際フォーラムCCMA
着任後初の、そして最大の研究集会を開催。日本から約10名、アジア各国から約10名の気候変動分野における有力研究者をお招きし、2日間に渡って先端的な研究討議を行いました。東南アジアからの研究発信ができたという意味で、JSPS海外センターの本懐を果たしたともいえます。また、着任半年にあたるこの成功により、この先のセンター運営に一定の自信と見通しをもつに至りました。

3.2011年2月3日、JSPSタイ同窓会ワークショップBio-char
2010年2月に発足したばかりのJSPSタイ同窓会。Dr. Busaba同窓会長のリーダーシップにより、研究活動の地域における実践を試みました。立命館大学から柴田教授、鐘ヶ江教授の2名をお招きし、我が国の大学の力も借りながら、タイにおけるJSPS同窓会のあり方に一定の方向づけを果たしたと言えるでしょう。

4.2011年2月4日、論博メダル授与式 兼 第2回JSPSタイ同窓会総会
2003年以来、毎年NRCTとの共催で続けられている論博メダル授与式。10名の授与対象者のうち7名の参加を得て瑞々しい博士論文発表を分かち合いそれを祝福するとともに、今回初めて日本大使館からゲストをお招きしたことで、タイ-日本社会におけるJSPS同窓会のより深い根づき、定着、発展へと至る道筋を模索しました。

5.2011年3月1-5日、スリランカ出張
ベトナム、シンガポール、バングラデシュ、ラオスに続き、初年度最後の海外出張としてスリランカを訪れました。工学系国内トップのモラトゥワ大学にJSPS同窓生を訪ね、まずは緩やかなものから同窓生間でのネットワーク作りを提案依頼し、スリランカにおける同窓会活動に端緒をつけました。また、国内大学に対して大きな権限を持つUGCに議長を訪ねJSPSネットワークの萌芽をご紹介。ボトムとトップ、両面からの働きかけは戦略的なセンター運営の面目躍如です。

6.2011年6月21日、BRIDGE Fellowship報告会 兼 JSPS事業紹介セミナー@カセサート大学
タイ初のBRIDGE FellowであるDr. Busaba同窓会長に、その長年にわたる日本との研究経験を、所属大学であり国内9拠点大学に選ばれているカセサート大学で若手研究者に披露いただきました。JSPSの予想外の、しかし一方で当然ともいえるタイ国内における知名度の低さを乗り越えるべく、主要大学における事業紹介セミナーをここから開始しました。

7.2011年7月21日、JSPS事業紹介セミナー@タマサート大学
事業紹介セミナーの開催は、まずは副学長など幹部職員への表敬訪問を経て、全面的な協力を取りつけることから始まります。カセサート、チュラロンコン、タマサート、マヒドン、キングモンクットへと立て続けの表敬訪問とセミナー開催が繰り返される夏でした。日本上空での台風発生により飛行機が飛びたたず、ここでは田邉副センター長による事業紹介となりました。

8.2011年7月29日、JSPS事業紹介セミナー@マヒドン大学
一部大学ランキングでは国内最大のチュラロンコン大学をもしのぐマヒドン大学へは、大阪大学名誉教授でマヒドン大学より名誉博士号を授与されている大阪大学バンコク教育研究センターの関センター長のご紹介で学長をお訪ねし、後日、理学部でのセミナー開催の運びとなりました。海外で強く意識されることは、この個々人への知識・ネットワークの集中です。

9.2011年8月27日、JSPS-NRCTセミナー@Research EXPO 2011
着任後2度目の本セミナーでは、昨年に続いて山海筑波大学教授、それにJSPS-JICAの枠組みでタイに派遣されている坂井新潟医療福祉大学准教授という医学系の研究者2名をお招きしました。すでに時間の問題ともいえるタイの高齢社会突入に一石を投じようとするNRCTの意向を十分に汲みとることで、主催者・発表者・一般参加者のすべてが満足する貴重な時間とすることができました。

10.2011年10月11日、チェンマイ大学表敬訪問
タイ文部省は国内に9つ研究拠点大学を指定しています。チュラロンコン、カセサート、タマサート、キングモンクットトンブリー、マヒドン、チェンマイ、コンケン、スラナリー、プリンスオブソンクラ(順不同)のうち半数がバンコクに立地しますが、地方4大学を含めてすべてを表敬訪問しました。アポ取りを含め、国内出張時のMs. Aunchalee通称カイさんの働きは偉大です。迎賓室のような会場に上着なしで招かれたことは、冷や汗ものながら今や良い思い出となりました。

11.2011年10月15日、JSPS-NRCTセミナー「社会科学と日本の大学」
科学というと自然科学に偏りがちなテーマ設定を見直し、東京大学より目黒教授と佐藤准教授、京都大学より玉田教授と片岡准教授という、社会科学分野で活躍する研究者をお招きしました。時まさに洪水迫る中、タイ社会をめぐる一般参加者との白熱した議論は講演者を驚かせるに十分で、すべての科学をカバーするJSPSとして、その存在感を十分にアピールしたといえるでしょう。
同時に、この頃より独立行政法人改革を強く意識。大学との連携を強める一環として、JASSOタイ事務所を演者としてお招きするとともに、タイに事務所を構える日本の大学にポスター作製を依頼。20枚に及ぶ統一様式ポスターはオフィスのほか、ホームページ上にも掲示されています(その後、JSPSの大学連携型成果目標達成法人への移行が明示されました)。http://jsps-th.org/?page_id=1782

12.2011年11月8-9日、JSPS事業紹介セミナー@コンケン大学
洪水禍のバンコクを逃れ東北部コンケンへ。JSPSタイ同窓会員Dr. Sukanyaのお招きを受けての開催となりました。2015年のアセアン経済共同体実現を前により特色ある研究大学への移行を進めるなど、痛いほどの危機感を改めて実感。その一方で家族的な人の温もりは健在で、業務出張でありながらまるで帰省の旅路のように、ほっとできる嬉しさに包まれました。

13.2012年1月10日、BRIDGE Fellowship報告会 兼 JSPS事業紹介セミナー@国立がん研究所
2011年度のBRIDGE FellowであるDr. Danaiに、所属機関である国立がん研究所にて、東京大学への再訪について報告いただきました。2度目の応募で論博事業に通った経験も交えていただき、繰り返し何度も挑戦し続けることの重要さを再確認。治るまで治し続ける、医学という科学の特徴かと考える機会になりました。

14.2012年2月3日、論博メダル授与式 兼 第3回JSPSタイ同窓会総会
ジュゴンの生態研究、途上国における知的財産権、琴の研究という、まさに自然・社会・人文科学そろい踏みのメダル授与式となりました。同窓会総会では仁平大阪大学教授に、その長年にわたるJSPSを交えたタイとの関わりをご披露いただき、国際連携において、核となる人格者の発掘・育成がいかに大切かを痛感した次第です。研究は人なり。

15.2012年2月24-25日、日本-バングラデシュ国交40周年記念 バングラデシュJSPS同窓会科学シンポジウム「社会のための科学」
2011年度中にJSPS本部より所掌を移管されたJSPSバングラデシュ同窓会。その第3回シンポジウムは、日-バン国交40周年を記念する盛大なものとなりました。日本からは木村文部科学省顧問、五十嵐東京大学教授、内田東北大学教授を招へい。カウンターパートとして付き合いの浅いバングラ側との連携は体力・精神力とも払底する2日間でしたが、センター機能としては一つの到達点に至ったように思います。

16.2012年5月8日、JSPS事業紹介セミナー@プリンスオブソンクラ大学
1年がかりのオフィス移転を了えるやいなや、2012年度より本務先での入試担当となり、在タイ時間に大幅な制限がかかりました。そんな中、南部プリンスオブソンクラ大学と北部チェンマイ大学へ、タイ縦断セミナー・ツアーを敢行。4月よりセンター独自に受入れた東京農工大学の大槻研修員も同行です。時間と人員の有効活用は当センターにとって常に喫緊の課題であり続けました。

17.2012年5月9日、JSPSワークショップ@プリンスオブソンクラ大学理学部
青・緑・茶。3つの炭素循環の統合的研究を模索するワークショップを開催。バンコクの大型大学に比べ、地方の大学がその研究の質を問わず見過ごされがちであることを実感しました。東京大学からDr. Kyaw Sann Ooを招へい。深夜まで及ぶ筋書きなき研究談議に花を咲かせたのは、思えば久しぶりとのこと。

18.2012年5月11日、JSPS事業紹介セミナー@チェンマイ大学
タイ第2の都市チェンマイ。月曜朝のバンコク便はチェンマイ大学チャーター便かと見まがうほど大学関係者で占められ、幹部職員に至っては一日に2度バンコクへ赴くこともあるということです。他国とはいえまだ見ぬ大学運営の厳しさに触れ、今、研究者であることへの覚悟に改めて身を引き締めておられました。

19.2012年6月8-10日、JSPS-NRCTセミナー@コンケン大学
初の地方開催となったJSPS-NRCTセミナー。奈良女子大学より林田教授、小野助教、東京大学より今須准教授、関山助教をお招きしての3日間は、日本の最先端研究をタイの大学で受けとめる試みであり、”cutting-edge”を見出しさえすればそれが可能であることを示しました。現役研究者であり、機動力を武器にするセンター長ならではの果実でした。

20.2012年6月23-24日、同窓会長のご家族と旅行
タイ北部ペチャブンへ。Dr. Busaba同窓会長にお招きいただきました。2年間あちこち方々へ行きましたが、思えば、純然たる旅行は初めてです。Dr. Malee同窓会理事にもご参加いただき、タイでの最後の慰労と思い出づくりはタイの家族に囲まれてとなりました。ありがたいことです。

2010-2012年数値データ(2012年6月まで)
センターへの来訪者数(年度ごとの累積数)
:実数170、延べ数233
センターによる訪問件数(年度ごとの累積数)
:116ヶ所、207回
センター用務による海外出張
:11ヶ国、18回
セミナー等の開催
:17回
センター長のタイ滞在日数
:239日(オフィス勤務174日、センター用務出張65日)

センター長の、何においてもポジティブに進んでいく姿を見ていると、思わず自分も前に一歩踏み出したくなります。たくさんのチャンスを与えてくださって、ありがとうございました。本当に楽しかったです。2年間、大変お疲れ様でした。
研修員 大槻 朝比

Dr. Wataru works very hard for promoting JSPS to Thai universities in Bangkok and local area. You give me a lot of chances to accompany visiting Thai universities and meet up VIP person that I had never met in my life. It’s memorable experience and a great opportunity to be working with you. Thank you for your kindness.
Ms. Aunchalee Suksurangkakul, Administrative staff

二人にあらかた言われてしまいました。みなまで言うのは無粋というものですが、ゾッとするような時間と面白くて仕方ない時間の繰り返しでした。
自分で課題を見つける。克服のために具体的に動く。いったん止まって策を練る。それを常に当事者として行う。そういう基本中の基本を忠実に実践し続けるサイクルにどっぷりと浸からせていただきました。修行のようでした。
ありがとうございました。
副センター長 田辺寛明拝

2012年6月29日(金)、当センターメンバー全員及び山下次期センター長で、国立科学博物館(NSM: National Science Museum)本館及びアジア工科大学院(AIT: Asian Institute of Technology)を訪問しました。山下次期センター長の紹介です。

NSMでは、まず毎年8月に開催され当センターも出展しているScience Fairの担当責任者であるGanigar Chen科学普及部部長(Director, Office of the Public Awareness of Science, NSM)にお会いし、山下次期センター長のご紹介とScience Fairについての情報交換と行いました。

次いで、Chen部長の厚意により、海外出張からちょうど当日帰国したばかりというDr. Pichai Sonchaeng館長(President, NSM)にもお会いすることができ、山下次期センター長のご紹介をするとともに、2年間の任務を終えた竹内センター長の労をねぎらっていただきました。

その後、AITに、東京大学生産技術研究所都市基盤の安全性向上のための連携研究拠点(RNUS: Regional Network Office for Urban Safety)の川崎昭如准教授を訪ねました。川崎准教授は、8月26日開催のJSPS-NRCR Seminarでの講演者でもあります。ここでも山下次期センター長のご紹介をしつつ、8月20日に開催予定の東京大学主催Student Seminar@Chaulalongkorn Universityへの視察参加のご案内をいただきました。

当日午前中には在タイ日本大使館に俵一等書記官(広報文化担当)及び長谷川一等書記官(科学技術担当)を訪ねており、また、近隣関係機関へのご挨拶は既に終えていることから、竹内センター長から山下次期センター長への引き継ぎはこれをもって完了したことになります。同時に、竹内センター長にとってはこれがバンコク勤務最終日となりました。2年間お疲れさまでした。

竹内センター長、Pichai館長、山下次期センター長

竹内センター長、Pichai館長、山下次期センター長

2012年6月28日(木)、バンコク市内TK Palace Hotelにて、タイ地理情報・宇宙技術開発機関(GISTDA: Geo-Informatics and Space Technology Development Agency)主催の災害リスクマネージメントへの宇宙技術の応用に関するセミナー(Seminar on Utilization of Space Based Technologies for Disaster Risk Management)が開催され、当センターよりセンター長が講師として参加しました。

これは、昨年10月の洪水を機に、リモートセンシングや地球観測などの宇宙技術が災害の予防や被害低減に資することが改めて着目され、その技術向上および人材養成を目的にGISTDAが公共・民間の関係者を対象に開催するものです。竹内センター長は講師としての招待を受けての参加となりました。

なお、GISTDAは竹内センター長にとってこの2年間の研究カウンターパートでもあります。そのため、今回は自身の研究発表・技術指導とともに、2年間の研究活動報告を兼ねたものとして、以下4本の発表を行いました。

Utilization of space based technologies for disaster risk management
Forest fire monitoring and forest cover mapping in Thailand
Potential drought monitoring over agricultural area in Thailand
Flood monitoring of Chaophraya river from 1987 to 2011 by microwave remote sensing

2012年6月28日(木)、拓殖大学のタイ事務所設置準備室長で、チェンマイを拠点にしておられる海老原智治(えびはら・ともはる)氏が、当センターを訪問されました。

拓殖大学では、日本語教育を中心としたタイでの学生リクルートや、タイ国内での日本語教育のさらなる普及を考えておられ、現在、チェンマイ大学内に拓殖大学の事務所を設置するかの見極めのため、バンコクでの情報収集に関係各機関を回っておられるとのことです。

なお、日本語教育という点では、北部の大学数校の日本語学科がアライアンスを組んでいるということですが、一方で、タイ北部の大学には中国の関与が強まっており、例えば日本語教育においてさえ中国の大学の日本語学科への若手教員の留学が、中国側の全面的な費用負担によって行われているということです。JSPSの論文博士号取得希望者への支援事業を紹介したところ、大変喜ばれました。

また、ナレスワン大学では日本留学生の同窓会組織が大学独自に設立されており、これを拠点に広報を行えば、日本語学科のみならず工学系等広い分野の研究者を対象に当センターの事業紹介を行えるのではないかといったご提案をいただきました。

もう一点、チェンマイ大学では先週中に新学長の選手が行われ、これに伴って副学長の人選も行われているということです。11月ごろをメドに新体制が固まる見込みだということです。

当センターとしては、ナレスワン大学への訪問や、チェンマイ大学の新布陣への表敬など、今後の事業計画を立てるのに非常に参考になる情報提供をいただきました。今後の活動に生かしていきたいと思います。

2012年6月27日(水)、当センターのメンバー全員でNRCTを表敬訪問しました。目的は山下邦明次期センター長の紹介と、8月26日のJSPS-NRCTセミナーに関する打合せです。
NRCTからは以下の3名が出席しました。
– Ms. Pimpun Pongpidjayamaad国際部長(Director, Office of International Affairs(OIA), NRCT)
-Mr. Sawaeng Jongsutjarittam国際部アジア・アフリカ担当課長(Head, Asia-Africa Section, OIA, NRCT)
-Ms. Arpar Nateprapai職員(Foreign relation officer, OIA, NRCT)

山下次期センター長の自己紹介の後、竹内センター長より、JSPS-NRCTセミナーに招へいが決まった日本からの講演者について説明を行いました。
東京大学生産技術研究所の川崎昭如准教授と、京都大学東南アジア研究所のDr. Pavin Chachavalpongpun准教授の2名で、NRCTからの了解を得られました。

その後、NRCTの厚意により、竹内センター長と山下次期センター長の歓送迎会を兼ねた昼食会が催され、Prof. Dr. Soottiporn Chittmittrapap事務局長及びDr. Jintanapa Sobhon社会科学研究顧問(Advisor on Social Science Research)がご参加くださいました。研究顧問はNRCT内で事務局長、事務次長に次ぐポジションで、現在は国際部の監督も兼ねているとのことです。Prof. Dr. Soottiporn事務局長に至っては、協定書の調印式があるので途中退席するという大変お忙しい状況のなかのご参加でした。

この2年間は、奇しくもProf. Dr. Soottiporn事務局長の着任とほぼ同時に始まりました。当センターはJSPSとNRCTとのより良好な関係構築のために努力してまいりましたが、NRCTには常にそれと同等かそれ以上の親しみと懐の深さで温かく迎えていただいたように思います。

当センターとしては、山下次期センター長の就任以降も引き続き、この良好な関係を維持し高めていけるよう努力を続けていきたいと思います。

Prof. Dr. Soottipornから餞別の品をいただくセンター長

Prof. Dr. Soottipornから餞別の品をいただくセンター長

歓迎の品をいただく山下次期センター長

歓迎の品をいただく山下次期センター長

2012年6月26日(火)、当センター会議室にて、タイJSPS同窓会(JSPS Alumni Association of Thailand)の第8回理事会が開催され、4名の理事がセンター長を交えて議論を行い、7月1日着任の山下邦明次期センター長が陪席しました。

冒頭、竹内センター長より、山下次期センター長が紹介され、前回第7回理事会の議事録が承認されました。次いで、2012年2月3日開催の同窓会総会の議事録について、理事会側より説明があり、主な内容は以下の通りです。

・同窓会名をJSPS Alumni Forum of Thailand (JAFT)からJSPS Alumni Association of Thailand (JAAT)に変更した
・同窓会bylawが改定され、チャトチャック地区政府に正規登録の申込みを行った。
・理事会メンバーを12名から以下の9名に変更した
i. Dr. Busaba Yongsmith President
ii. Dr. Paritud Bhandhubanyong Vice President
iii. Dr. Boonchai Techaumnat Secretariat
iv. Dr. Malee Uabharadorn Treasurer
v. Dr. Jiraporn Shauvalit Receptionist
vi. Dr. Pornpen Pathanasophon Registrar
vii. Dr. Porphant Ouyyanont Public Relation
viii. Dr. Sunee Mallikamarl Executive Committee
ix. Dr. Chalermkiat Songkram Executive Committee
・地区政府への登録申込みには、上記理事会メンバーにカセサート大学のDr. Orasa Suksawang准教授を加えた10名のリストを用いた。ただし、Dr. Orasaは理事ではない。
・同窓会ロゴを以下にものに変更した。

この後、前回理事会(1月)以降の当センターの主な活動が竹内センター長より報告され、理事会より活発な働きぶりに称賛の言葉をいただくと同時に、6月末日で竹内センター長が任期満了を迎えるにあたって別れを惜しむ言葉をいただきました。

2012年6月19日(火)、センター長及び副センター長がカンボジアへ出張し、カンボジア工科大学(ICT: Institute of Cambodia of Technology)に、Dr. OM Romny学長(Director General)及びDr. CHUNHIENG Thavarith研究担当副学長(Deputy Director General in charge of Cooperation and Research)を表敬訪問しました。

左から副センター長、Dr. CHUNHIENG副学長、Dr. OM学長、センター長

左から副センター長、Dr. CHUNHIENG副学長、Dr. OM学長、センター長

ICTは元々はロシア(当時のソ連)の支援により設立され、ロシアの撤退後はフランスより支援を受けているということです。学生数は約3,000人。カンボジア国内では工学系トップの大学です。Dr. OM学長は北海道大学で学位を修めたあと北見工業大学でポスドクとして勤務していたということで、日本語も話されます。

会談の席では、センター長よりJSPS及びその事業について説明を行いました。非常にこまめに質問を挟まれ、研究・教育環境の改善に並々ならぬ関心を持っておられることが分かります。研究面としては、JSPSのCore-to-Coreなど、マッチングファンドを求めるものについては、カンボジアの国全体で大学・研究予算はかなり限られており対応のしようがないという実態がうかがえました。教育面については、日本工営社と人材育成についてMOUを締結したり、金沢大学のJENESYSプログラムによって学生を派遣するなど、日本との関係を深めつつあります。

この他、聞き取り概要は以下の通りです。

・大学は教育省傘下。科学専門の省庁はなく教育省が担当している。UGCなどの中間的な機関はない。海外大学等と協定を締結に、特段の許可や指示を仰ぐ必要はない。
・ICTは国内最高の工学系大学。農学はRoyal Univ. of Agri.がトップなど専門が分かれている。
・ICTの学生数は約3000人。女性3割程度で、女性の授業料は男性の半額とされている。
・大学暦は10月-2月、2-7月の2期制。7-10月は休講。
・授業は基本的にフランス語で行われることとされているが、実際には英語で授業が行われていることが間々あるようである。
・教員の多く(60%以上)は外国、特にフランスで学位を取っている。
・金沢大学との連携が進んでおり(JENESYSプログラムによる)、ICT内にリエゾンオフィスを置くことも検討されている。
・2011年、日本工営社と人材育成に関するMOUを締結している。
・JICA事業により北大、東大、九大へ学生派遣を行ったことがある。
・カンボジア全体で大学・研究予算はかなり限られており、マッチングファンドを求められると対応のしようがないという実態がうかがえる。
・フランスによる支援が入っており、現在ではÉcole Polytechniqueとの協定によりICT用に3席の派遣枠が用意されている。
・ただし、2000年ころからフランスからICTへの機材等の支援は滞っている。
・韓国による支援も入っており、遠隔教育関連の機材が大規模に導入された。
・工学系のトップ大学であることもあり、現在、各国による支援が急速に入りつつある。

図書館

図書館

当センターとしては引き続きアセアン各国での事業広報・情報収集を続け、日本の大学のより幅広い国際化に貢献していきたいと思います。

書類等も基本は仏語表記。Institut de Technokigie du Cambodge。 通称“Sa La Techno”

書類等も基本は仏語表記。Institut de Technokigie du Cambodge。 通称“Sa La Techno”

2012年6月14日(木)、当センター最寄りのアソーク駅隣接、Grande Center Point Terminal21にて、バムルンラード・インターナショナル病院(Bumrungrad International Hospital)医療セミナー「凶暴な日本人のピロリ菌、おとなしいタイ人のピロリ菌 タイに胃がん患者が少ない理由」が開催され、センター長及び副センター長が視察しました。

6月12日に大分大学内田助教よりご招待いただいたもので、会場は100名あまりの在タイ日本人で埋め尽くされていました。内田助教の研究対象であるピロリ菌について、その研究の歴史や、活動(発病)のメカニズムが平易な言葉で語られたほか、JSPS事業などによるアジア各国での検体調査について体験談が語られました。

各国別のピロリ菌保持率やがんの発生率の部分ではメモを取る姿が多々見られ、在タイ日本人の間での関心の高さがうかがえました。最冒頭ではJSPSの名にも言及くださり、我々としては嬉しい限りの一席となりました。

内田助教 講演の様子

内田助教 講演の様子

2012年6月13日(水)、当センターメンバー全員で、バンコク市内戦勝記念塔近くにあるAsia-SEED(アジア科学教育経済発展機構)バンコク事務所を訪問しました。

4月より当センターで受入れている大槻研修員の所属する東京農工大学がバンコク事務所として間借りをしている関係で、同大学客員教授でもある河井栄一Asia-SEED常任理事への表敬訪問です。

Asia-SEEDは元々「日本インドネシア科学技術フォーラム」としてインドネシアからの政府派遣留学生のお世話などをしていたものから、より広いアジア地域を対象とするべく1999年にAsia-SEEDとしてその活動を開始されました。

活動内容は、調査事業、留学生支援事業、短期研修プログラム、海外における予備教育、アジアにおける大学強化プログラム、アジア圏での産学・学術連携の推進、研究会・セミナー等の開催、共同研究・交流事業など多岐にわたります。バンコクのほかジャカルタ、クアラルンプール、ホーチミン、東京にオフィスを構えておられるとのこと。

今回の席には、分析産業人ネットより小島賢治(こじま・けんじ)理事・事務局長が同席くださり、同法人が実施する検査分析士認定制度についてご説明くださいました。メーカー企業などにおける品質管理部門の人材育成を目指した資格試験で、現在日本全国で1万人ほどと言われる分析士のうち300名ほどがこの資格を持たれているそうで、同じ内容の試験をすでにタイでも実施されたということ。10数名の分析士がすでにタイで活躍されています。

同法人のタイ及び東南アジアにおける主な活動目的は、ODAなどにより現地に導入された検査分析機材の有効利用のための人材育成です。ODA期間中に日本でのトレーニングを受けた人材が、帰国後に現場から管理部門へ移るケースが多く、そういった場合せっかくの機材を使いこなすことができなくなるということ。そういったミスマッチの解消のため、Asia-SEEDのノウハウを借りながら活動を続けられているそうです。

左から大槻研修員、関山東京大学助教、小島理事、河井常任理事、当センターメンバー

左から大槻研修員、関山東京大学助教、小島理事、河井常任理事、当センターメンバー

2012年6月13日(水)、森林総合研究所(FFPRI: Forestry and Forest Products Research Institute)より酒井正治(さかい・まさはる)研究員が当センターを来訪されました。

酒井研究員は1989年から2年間、タイの王室森林局(RFD: Royal Forest Department)に、2007年から2年間、国際農林水産業研究センター(JIRCAS: Japan International Research Center for Agricultural Sciences)のタイ事務所に出向しておられ、タイにおける森林研究で長い経験をお持ちです。

センター長、酒井研究員

センター長、酒井研究員

今回の来訪は、JSPS-JICAの枠組みで実施される科学技術研究員派遣事業(DSTR: Dispatch of Science and Technology Researchers)への申請についての情報収集が目的です。タイでは北部でチークなど森林の違法伐採が大きな問題となっています。タイ国内での違法伐採林・木材を隣国ミャンマー等からの輸入品と称して加工・販売するケースが見受けられるとのこと。

こうした問題に対して、酒井研究員はアイソトープ、同位体分析の手法を用いることで対策を講じられるとして、まずはタイ国内で本格的な研究分野の立ち上げ、人材育成、グループ形成を考えておられます。

そこで、FFPRIではタイのカセサート大学、RFD、土地開発局(LDD: Land Development Department)などのグループをカウンターパートとして、DSTRによる共同研究を検討しており、その先には、JST-JICAの枠組みである地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS: Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)への発展も視野に入れておられます。

タイで利用可能なJSPなど日本由来の研究資金はいくつかあり、それぞれに少しずつ性格が異なります。それらを大まかに要約すると、

a)DSTR(JSPS-JICA):本格的な共同研究を行うというより、その種まきとして人材育成を行うもの
b)アジア・アフリカ学術基盤形成型(JSPS):学術・科学研究における持続的な共同・協力関係を確立するもの
c)SATREPS(JST-JICA):拠点間での共同研究により地球規模の社会問題の解決を目指すもの

ということができ、それらはJICA、JSPS、JSTという事業実施主体の正確にも大きく依存するものです。それらを大まかに要約すれば

JICA:国際協力、社会開発、その人材育成
JSPS:科学研究、研究人材養成
JST:科学研究と、その社会還元

ということができ、当センターとしては、これら複数の事業主体が目指す「社会へのインパクト」と「科学の探究」を並行して、または織り交ぜながら、どちらの視点からも評価しうるような課題設定を行うことが重要ではないかと考えております。

タイでは上述の北部違法伐採のほかにも、東北部での塩害地問題がありますし、南部ではゴムのプランテーションが盛んです。一定の研究分野においては、こうした社会背景と科学の進展との橋渡しを意識していただくことで、長期的な研究プランの立案が可能になるのではないでしょうか。

2012年6月12日(火)、大分大学医学部より内田智久助教が当センターを来訪されました。内田先生の来訪はこれで4度目です。

今回の来訪は、バンコクの大型病院であるバムルンラード・インターナショナル病院(Bumrungrad International Hospital)主催の医療セミナーのご招待でした。 6月15日にセンター最寄りのターミナル21にて「ピロリ禁と胃がんの関係」と題して、内田助教ご自身が講演を行うとのこと。

新聞記事(バンコク週報6月2-8日版)

内田助教をはじめとする大分大学医学部のグループは、科学技術システム改革事業「アジアにおけるヘリコバクター・ピロリ菌の分子疫学研究」とJSPS組織的な若手研究者等海外派遣プログラム「東アジア分子疫学研究推進のための若手研究者派遣プログラム」を受けておられ、その研究進捗を見させていただく関係でも、当センターとしてはありがたく招待を受けさせていただきました。

こうした継続的な関係維持は当センターとしては嬉しい限りです。内田助教は今年10月から2月まで改めて長期的にタイに滞在予定とのこと。再会を楽しみにしております。

センター長、内田助教

センター長、内田助教

2012年6月11日(月)、当センターメンバー全員でバンコク郊外ランシットに位置するアジア工科大学院(AIT: Asian Institute of Technology)を訪問し、洪水被害を視察しました。

2011年10月、バンコクを襲った大洪水により(市内中心部は被害なし)、AITはその敷地全体が1メートル以上水につかりました。そのため、教員宿舎、学生寮、図書館、校舎などすべての建物が1階部分は使用不能になり、数ヶ月間の閉鎖を余儀なくされました。その後、一時的にホアヒン(Hua Hin)にあるスタムフォード大学(Stamford University)の一部を借りて授業を再開するなどしていました。

地理情報センターのみなさんと(中央女性は関山東京大学助教)

地理情報センターのみなさんと(中央女性は関山東京大学助教)

現在はすでに授業が再開され学生も戻っていますが、1階部分を中心に復興はまだ道半ばで、鉄筋がむき出しであったり、天井がめくれている状態でした。一日も早い復旧と復興を期待したいと思います。

洪水の被害を受けた教室

洪水の被害を受けた教室

洪水の被害を受けた教室

洪水の被害を受けた教室

水没の痕跡

水没の痕跡

2012年6月8日(金)から10日(日)まで、コンケン大学(KKU: Khon Kaen University)にてJSPS-NRCT Seminar “Anthropogenic Greenhouse Gases Observation from satellite observation and in-situ Measurements”(人間活動由来の温室効果ガスの衛星観測及び実地観測(仮))を開催しました。参加者は約80名。

セミナーは、初日の研究発表と2日目の東北部ピーマイ(Phimai)及び3日目コンケン(Khon Kaen)におけるメタンのサンプリング調査のデモンストレーションで構成され、日本より以下4名の講師をお招きしました。

林田佐知子 奈良女子大学理学部 教授
今須良一  東京大学大気海洋研究所 准教授
小野朗子  奈良女子大学理学部 助教
関山絢子  東京大学生産技術研究所 助教

林田教授

林田教授

今須准教授

今須准教授

小野助教

小野助教

関山助教

関山助教

メタンのサンプリング調査デモンストレーション

コンケン大学からは以下2名の講師が参加されたほか、農学部長であるProf. Dr. Anan Polthaneeよりご挨拶をいただきました。また、日程調整の関係で当日の参加は見合わされましたが、NRCTのProf. Dr. Soottiporn Chittmittrapap事務局長からも開催に際してのメッセージをいただいております。

Dr. Patcharee Saenjan, Associate Professor
Land Resource and Environment Section, Department of Plant Science and Agricultural Resources, Faculty of Agriculture, KKU
Dr. Kritapon Sommart, Associate Professor
Department of Animal Science, Faculty of Agriculture, KKU

2,3日目のサンプリング調査では、奈良女子大学の林田教授、小野助教、それに修士2年の石川沙穂さんが中心となって、ピーマイ周辺で3地点4回、コンケン周辺で4地点4回のサンプル採集を行い、コンケン大学からの参加者に対して実技指導を行いました。

奈良女子大学理学部情報学科では、林田教授を代表者として、環境省による環境研究総合推進費(The Environment Research and Technology Development Fund (ERTDF) FY2012-2014)を取得しており、今回のサンプル調査は、当該研究課題である”Characterization and Quantification of global methane emissions by utilizing GOSAT and other satellite sensors(GOSATデータ等を用いた全球メタン発生領域の特性抽出と定量化)” における現地観測地点の選定の一環としても生かされる見込みです。

また、東京大学今須准教授は、文部科学省による大学発グリーンイノベーション創出事業「グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE: Green Network of Excellence )」の研究代表者を務めており、今回の発表はその進捗報告を兼ねる形となりました。

今回のJSPS-NRCTセミナーは、竹内センター長着任後初の地方開催となりました。過去、2009年11月に北部チェンマイでアジア科学コミュニティ形成に関するシンポジウム「地域貢献の国際協力(2nd JSPS International Forum: Roles of Universities in Community/Regional Development)」を開催した実績はありますが、これは大学の役割やネットワークについて考えるという、どちらかというと社会的な色合いの強い試みでした。しかし、今回は衛星を用いた環境観測という科学的な学術研究をテーマとしたセミナーであり、2つの性質は微妙に異なります。

当センターではこの2年間に教育省が指定する9つの研究拠点大学をすべて訪問し、研究担当副学長等との面談を重ねました。その結果として、地方の大学が研究の質を問わず見過ごされがちであり、しかし、そういった大学における研究の質や意欲が劣るものではないとの印象を強めてきました。今回のセミナーが、コンケン大学の研究者から学生まで70名を越える参加者を得、また、GRENEやERTDFなど日本トップクラスの研究プロジェクトの代表者が手ごたえを感じたことは、我々の印象をさらに強めると同時に裏付けるものとなったと理解しています。中央地方を問わず各大学の”cutting-edge”を見出していくことの重要さを再認識しました。

また、今回のセミナー実施により、表敬訪問→事業紹介セミナー開催→学術セミナー開催、という一連の流れを完結させた形になります。当センターではこれを健全なステップアップであると理解しており、引き続き、バンコクを中心としながらもタイ全土を舞台として科学技術の振興に努めていきたいと考えております。

2012年5月29日(火)、岡山大学より阿部宏史(あべ・ひろふみ)理事・副学長、小川秀樹(おがわ・ひでき)国際センター国際交流部門長および吉田裕美(よしだ・ひろみ)同助教が当センターを来訪されました。

今回の来タイは6月初旬に迫った大学の世界展開力強化事業(Re-Inventing Japan Project)への申請に向けたタイ側大学との調整ということで、その情報収集の一環として当センターにもお立ち寄りいただきました。

岡山大学では、既に5期にわたって修士課程コースを開設しているベトナムのフエ大学のほか、インドネシアのガジャマダ大学、マレーシアのマラヤ大学、タイのカセサート大学及びチュラロンコン大学と連携して同事業への申請を考えておられますが、ネットワークの一層の強化を目的に、新たにアセアン大学連合(Asean University Network)との連携を模索されているそうです。

この他に、同大学ではすでにチュラロンコン大学及びマヒドン大学と全学間協定の関係にあり、タイでのさらなる活動活性化を視野に、現地オフィスの開設や、海外研究連絡センターにおいて実施する我が国の大学等の海外活動展開に関する協力・支援事業(センターにおけるデスクの貸出)にも関心を示されました。当センターからは、現在東京農工大学から受入れを行っている事務職員の実地研修との組合せも可能である旨を説明いたしました。

当センターとしては、我が国の大学のさらなる国際化、東南アジアでの活躍に向けて、可能な限りの支援を継続していきたいと思います。

左から小川教授、副センター長、阿部理事・副学長、吉田助教

左から小川教授、副センター長、阿部理事・副学長、吉田助教

2012年5月24日(木)及び25日(金)、チュラロンコン大学にて、2012年アセアン大学連合(AUN)-京都大学シンポジムが、第18回京都大学国際シンポジム「人間の安全保障に向けたアジアの学術連携」として開催され(18th Kyoto University International Symposium: Partnering Asian Academics toward Human Security Development (as AUN-KU Symposium 2012))、当センターより副センター長、現地スタッフ、研修員が視察しました。参加者約50名。

これは2011年3月に同じくチュラロンコン大学で開催されたワークショップ「AUN-Kyoto University Workshop on Building Academic Partnership Through Collaboration and Exchange」に続く2度目のAUN-京都大学の枠組みにより実施されたもので、前回のワークショップにおいて提議された、感染症と健康、防災、エネルギーと環境、食糧と水の4項目を、人間の安全保障にむけた不可欠の議題として研究討議する場となりました。

AUN副議長であるDr. Choltis Dhirathiti、京都大学より西阪昇(にしざか・のぼる)理事・副学長、チュラロンコン大学よりProf. Pirom Kamolratanakul学長からそれぞれ挨拶が述べられた後、国連開発計画(UNDP)のProf. Ramaswamy Sudarshan及び京都大学の河野泰之(こうの・やすゆき)教授より、キーノート講演がありました。

Prof. Ramaswamyからは“Human Security Development in ASEAN”と題し、アマルティア・セン博士にまで遡る人間の安全保障の定義や歴史、そしてアセアンにおける人間の安全保障に関する状況が報告されました。河野教授からは“Human Security Development Research: Aims, Implications and Research Programs of Kyoto University”と題して、人間の安全保障実現への研究の役割、その方法が提議されたほか、既に京都大学で実施されている関連する研究プログラムの紹介が行われました。

その後、感染症、防災、食料と水、エネルギーと環境、それぞれの議題で5-6件ずつの研究発表が行われ、最後に人間の安全保障に向けた4議題の融合連携について議論がされました。

なお、京都大学としては、AUNとのパートナーシップに基づいて、人間の安全保障に関する人材育成を目的に、大学の世界展開力強化事業(Re- Inventing Japan Project)への申請準備を進められているということです。

2012年5月23日(水)、スクンビットのソイ23に移転した京都大学東南アジア研究所バンコク連絡事務所にて開所式が開催され、当センターより副センター長が参加しました。

新事務所はマンションの一室で、駐在者用のオフィス及び居室のほか来訪者用の宿泊室があり、このほか来訪者用の共同研究室と応接室を備えた、広々とした環境です。開所式には在バンコクの日本機関より30名ほどの関係者が参加しましたが、特に窮屈に感じることもなく、応接室を利用したセミナー等の開催も視野に入れているそうです。

西阪昇(にしざか・のぼる)京都大学理事・副学長、戸倉照雄(とくら・てるお)東南アジア研究所等事務部事務長、河野泰之(こうの・やすゆき)同教授、現在の駐在者である桜井由躬雄(さくらい・ゆみお)東京大学名誉教授の順で挨拶をされ、科学だけでなくアジアの哲学やマインドを大切したいというお考えや、純粋にただ研究だけを目指すのではなく人と人とが触れ合い交流をもたらす楽しめる場所にしたいという方針が、同研究所の歴史とともに語られました。それはちょうど、人と人とが「あやなす場」とする松本紘(まつもと・ひろし) 総長の京都大学観とも合致しており、奇しくも理事・教授・事務職員の三者から同じ旨の言葉が聞かれたこの場所が、京都大学のエッセンスの具現となることを予感させました。

新事務所は当センターからもほど近い場所です。今後とも様々な形で連携を図っていきたいと思います。

2012年5月17日(木)から19日(土)まで、センター長および副センター長がスリランカに出張しました。同期間にスリランカ中央環境庁(Central Environmental Authority)にて開催中の湿地生態系観測技術研修会(Technology Development Training Program on optical and SAR data usage for wetland mapping for Central Environment Authority (CEA) of Sri Lanka and other stakeholders)に参加し、同国各省庁から参加している観測及び環境の政府関係者や研究者に対し、JSPS事業のアピールを行うことが目的です。

センター長の左隣がMrs. Ellepola, Director General, CEA

センター長の左隣がMrs. Ellepola, Director General, CEA


これは、JAXA(宇宙研究開発事業団: Japan Aerospace Exploration Agency)によるSAFEプロジェクト(Space Application for Environment:宇宙技術による環境監視)の一環として開催されたもので、当センターとしては、2011年3月及び2012年2月のスリランカ出張により、各大学ではまだ研究に向ける余力が多くなく、主な研究機関の役割は政府機関・省庁がになっているものと判断し、今回の出張となりました。

研修会には20名ほどの関係者が出席しており、実際にPCを用いての講習が行われています。参加者は環境庁、観測局、運輸省などから構成されており、その表情は一様に真剣で、新技術の習得・向上に向けた意識の高さには驚かされるほどでした。センター長からJSPSの紹介が行われた後、ブローシャーを用いて副センターから各参加者に説明を行いました。同僚にも配るからと余部を求められるなど、ここでも予想外の嬉しい反応があり、スリランカの研究意欲の高さ、将来的な連携の可能性を実感する機会となりました。

JSPSの紹介をするセンター長

JSPSの紹介をするセンター長

参加者に説明する副センター長

参加者に説明する副センター長

なお、タイの親日ぶりは言わずと知れたことですが、スリランカについても同じことが言えます。それはサイエンスにとっては本質的な部分ではないとしても、長期的な協力を含んだ教育・研究活動全体を考える時、ひとつの重要な要素となるのではないかと、当センターでは考えております。

2012年5月16日(水)、タマサート大学商業会計学部(Faculty of Commerce and Accountancy, Thammasat University)より、Mr. Sopon Thitasajja講師が当センターを来訪されました。

センター長、ソーポン先生

センター長、ソーポン先生


所属される組織人材管理学科(Department of Human Resource and Organization Management)で実施されたコンサルト・ネットワーク・コーティング・センター人材育成開発及び組織戦略視察プログラムの一環である、5月7日から11日までの日本視察旅行について報告をしてくださいました。

これは、公共部門や一般企業での人材育成の在り方や方針について日本での取組み例を視察する目的で行われたもので、訪問先の一つとして、当センターに再々お越しいただいている福岡工業大学をご紹介したことによるものです。福岡工業大学では、下村学長をはじめ、麻生最高顧問、大谷常務理事、前田教務部長、にい国際交流委員長と懇談され、有意義な時間を過ごされたということです。

当センターとしても、タイの大学と日本の大学の橋渡しができたことを大変うれしく思います。

なお、ソーポン先生は日本語が読み書きお話しとも大変に堪能で、学部時代から計10年を京都大学経済学部で過ごされということです。博士課程を単位取得で満期退学されており、あとは博士論文をまとめるばかりとのことですが、すでに45歳を過ぎているため、論文博士号取得希望者に対する支援事業では対象外です。

タイにおいては45歳前後を境に博士号の取得状況が一変します。45歳未満の若手と呼ばれる大学教員のほとんどは、すでにタイが国家として裕福になるころに修学年齢を迎えており、王室支援の国費留学等を受けるなどして海外の大学で博士号を取得しています。逆に言うと、この世代では大学の雇用条件として博士号取得を求められています。一方で、45歳を超える世代、研究者としては第一世代や第二世代に当たる方々の中にこそ、博士号未取得のまま大学教員になられた方がおられます。

したがって、論文博士号取得希望者に対する支援事業の申請要件が45歳未満となったことで、タイにおいては事業そのものの有用性がかなり失われたことが考えられるのですが、今回ソーポン先生という実例に当たり、改めてその蓋然性の高まりを感じました。

さて、ソーポン先生の担当されている人材育成開発及び組織戦略プログラムは、4か月間にわたる主に社会人を対象としたコースで、学費は全額が受講者による負担です。20-30名程度の定員で、その多くは政府関係機関の管理職とのこと。担当教員は全部で14名。これはタマサート大学商業会計学部の中では新しく規模の小さなもので、同学部内では会計学科や、ファイナンス及びマーケティング学科の規模が大きいそうです。会計学科は学部創設時からの伝統学科であり、実に学部教員の半数がここに所属しているとのことです。

人材育成や組織管理といったテーマが時代の流れとともに重要になり、大学サイドでも柔軟に対応している姿が伺えます。同分野では、タマサート大学、チュラロンコン大学、NIDA(開発行政研究院)の3校によるジョイント・ディグリー・コースも開設されているということです。

2012年5月11日(金)、チェンマイ大学(CMU: Chiang Mai University)にて、JSPS事業説明会を実施し、若手研究者を中心に約80名の参加がありました。

これは、2011年10月11日のCMU表敬訪問にて当センターより提案申しあげたところ、教育担当副学長(Vice President for Academic and Educational Quality Affairs)である Prof. Wipada Kunaviktikulおよび研究教育担当副学長(Vice President for Research and Academic Services)であるAssist. Prof. Dr. Nat Vorayosより快諾をいただいたことにより実現したものです。

JSPS の事業説明に加え、若手研究者の意欲を高めることを目的に、PSU教員であるDr. Sirikan Yamada医学部准教授(Associate Professor, Faculty of Medicine, CMU)及びDr. Pattara Khamrin医学部講師(Lecturer, Faculty of Medicine, CMU)より、JSPS事業経験者として講演をしていただきました。

Dr. Sirikan医学部准教授

Dr. Sirikan医学部准教授

3. Dr. Pattara

Dr. Pattara

司会進行は日本語も堪能なMs. Phatcharakran Intanaga人文学部講師(Faculty of Humanities, English Department,CMU)に担当していただき、以下のプログラムで順に講演いただきました。

○Introduction of JSPS activity in Asia (Q&A included)
-Dr. Wataru Takeuchi, Director, JSPS Bangkok Office

○JSPS RONPAKU EXPERIENCE 2007-2011 (Q&A) included
-Dr. Sirikan Yamada, Associate Professor, Faculty of Medicine, CMU

○RESEARCH EXPERIENCE DURING JSPS POSTDOCTORAL FELLOWSHIP(Q&A) included
-Dr. Pattara Khamrin, Lecturer, Faculty of Medicine, CMU

今回の説明会では、論文博士号取得支援事業及び外国人特別研究員事業についての体験談が語られ、参加者からも積極的に質問が挙がりました。

今後の計画として、Dr.Sirikanは日本医科大学での研究活動も視野に入れているとのことで、JSPSの事業終了後もこうして日本の研究者との協力関係を続けていただいていることは、日本の研究振興機関として大変喜ばしいことです。

当センターでは今後とも、両国の研究の橋渡し役となるべく事業紹介を続けていきたいと思います。

なお、説明会後は、チェンマイ大学主催で昼食会が催されました。講演者及び関係者で食事を囲みながら、洪水復興のあおりを受けて政府の研究大学プロジェクト(国内の9つの研究大学に特に予算を措置し、研究促進に役立てるもの)の予算が大幅減となり、チェンマイ大学に措置される予算もかなり減じたという話を伺いました。これと関係してお聞きしたことは、チェンマイ大学関係者のバンコクへの出張の多さです。月曜日の朝一番のバンコク行き飛行機は乗客数が少ないそうですが、そのほとんどがチェンマイ大学関係者であるためチャーター機と見まがうほどとのこと。特に幹部職員であるDr. Natは一日のうちに2度バンコクへ赴くこともあるなど、中央政府との緊密な関係の維持は、地方大学にとって必要不可欠であると同時に、負担にもなっている様子がうかがえました。

4. 昼食会後の記念撮影(手前左からセンター長、Dr. Nat、Ms. Phatcharakran、Ms.Sirikan、センター研修員、後ろ左から副センター長、Mr.Thammanoon Noumanong Manager to Director、Dr.Pattara、センタースタッフ、Ms.Arunee Manakarn)

昼食会後の記念撮影(手前左からセンター長、Dr. Nat、Ms. Phatcharakran、Ms.Sirikan、センター研修員、後ろ左から副センター長、Mr.Thammanoon Noumanong Manager to Director、Dr.Pattara、センタースタッフ、Ms.Arunee Manakarn)

2012年5月9日(水)、プリンス・オブ・ソンクラー大学(PSU: Prince of Songkla University)にて、ワークショップ「JSPS Workshop on blue, green and brown carbon monitoring by integrating geo-spatial technology and in-situ measurements」を開催しました。

これは、前日のJSPS事業説明会にも参加していただいたJSPS同窓生のDr. Anchana Prathep理学部助教(Assistant Professor, Faculty of Science, PSU)からの強い要望があり、リモート・センシング技術を軸にした連携の可能性を探る目的で実現したものです。

ワークショップでは「青(海洋)」「緑(森林)」「茶色(土壌)」3つの”carbon”、いわゆる炭素循環をテーマに、Dr.Anchana、Dr. Kyaw Sann Oo東京大学生産技術研究所研究員、Dr. 竹内渉東京大学生産技術研究所准教授・JSPSバンコク研究連絡センター長がそれぞれ発表を行い、その後、共同研究の可否、その領域等について意見交換がなされました。

プログラムは以下のとおり。

○A Rapid Response Assessment – Blue Carbon of UNEP, FAO, IUCN and CSIC
-Dr. Kyaw Sann Oo, Postdoctoral Researcher, IIS, The University of Tokyo (UT)

○Preliminary Studies in Seaweed and Seagrass as a Carbon Sink; Blue Carbon, Management and Conservation in Thailand
-Dr. Anchana Prathep, Assistant Professor, Faculty of Science, PSU

○Recent geo-spatial technologies for green and brown carbon monitoring
-Dr. Wataru Takeuchi, Associate Professor, IIS, UT / Director, JSPS Bangkok Office

○Demonstration of GPS photo database retrieval system by iPhone
-Dr. Kyaw Sann Oo, Postdoctoral Researcher, IIS, UT

Dr. Oo

Dr. Oo


Dr. Anchana

Dr. Anchana


センター長

センター長

このワークショップには理学部から20名程度の研究者が参加し、意見交換や質問が大変活発になされました。各々の研究に絡めて誰もが熱意を込めて語り、大変有意義なワークショップとなりました。

いわゆる国内トップといわれる大学あるいは首都圏の大規模大学に比べて、地方の大学は研究の質を問わず見過ごされがちですが、当センターとしては、そういった大学における研究の質や意欲が劣るものではないとの印象を強めています。

当センターとしては今後とも、事業紹介等を通じてJSPSの各制度をより活用していただくなどできる限りの協力を続けていきたいと思います。

2012年5月8日(火)プリンス・オブ・ソンクラー大学(PSU: Prince of Songkla University)にてJSPS事業説明会を実施し、若手研究者を中心に約50名の参加がありました。

参加者との記念撮影

参加者との記念撮影


これは、2011年12月14日のPSU表敬訪問にて当センターより提案申しあげたところ、研究教育担当副学長(Vice President for Research and Graduate Studies)であるAssoc. Prof. Dr. Chusak Limsakulより快諾をいただいたことにより実現したものです。

JSPSの事業説明に加え、JSPS事業経験者の体験談等を披露することで若手研究者の意欲を高めることを目的に、PSU教員であるDr. Anchana Prathep理学部助教(Assistant Professor, Faculty of Science, PSU)、Dr. Perapong Tekasakul研究開発部長・工学部准教授(Director, Research and Development Office / Associate Professor, Faculty of Engineering, PSU)およびタイJSPS同窓会理事でもあるDr. Chalermkiat Songkram薬学部助教(Assistant Professor, Faculty of Pharmaceutical Sciences, PSU)にご参加いただきました。

冒頭にご挨拶いただく予定であった研究教育担当副学長Assoc. Prof. Dr. Chusak Limsakulは学長就任の決定にともないご多用中であり、急きょ参加がみあわされましたが、Dr. Sutham Niyomwas研究開発副部長(Deputy Director,Research and Development Office, PSU)に司会進行いただき、以下のプログラムで順に講演いただきました。

○Introduction of JSPS activity in Asia (Q&A included)
-Dr. Wataru Takeuchi, Director, JSPS Bangkok Office

○Experience in UK as foreign student and research in JSPS Core University Program (Q&A included)
-Dr. Anchana Prathep, Assistant Professor, Faculty of Science, PSU

○Research experience in JSPS-NRCT Bilateral Joint Research Program and continuous cooperation with Japanese university (Q&A included)
-Dr. Perapong Tekasakul
Director, Research and Development Office, PSU
Associate Professor, Faculty of Engineering, PSU

○Research experience in Japan as JSPS postdoctoral fellow and activity of JSPS Alumni Forum of Thailand (JAFT) (Q&A included)
-Dr. Chalermkiat Songkram
Assistant Professor, Faculty of Pharmaceutical Sciences, PSU
Executive Committee, JSPS Alumni Forum of Thailand

Dr. Perapong

Dr. Perapong


Dr. Perapongから記念品を授与されるDr. Anchana

Dr. Perapongから記念品を授与されるDr. Anchana


今回の発表者は、拠点大学交流事業への参加者、二国間交流事業の実施者、外国人特別研究員経験者と、三者三様のJSPS経験を有しておられ、当センターとしても様々なJSPS体験に触れることができる多彩な時間となりました。

また、そういった活発で新鮮な経験談に触発されてか、参加者からは具体的な申請時期はいつか、申請者は日本側かタイ側か、といった質問や、JSPSのカウンターパートであるNRCTのファンドには1年ごとに評価があり、それに4-5ヶ月を要するため、日本側とタイ側で研究期間にずれが生じるといった問題点の指摘がなされるなど、とても積極的な発言が見られました。

この反応はバンコクはじめとする他地域とは若干異なるものであり、タイは広く、地域ごとに多様な性格を持つ国であることが再認識された次第です。「タイ」という一括りでの考え方では十分でないことは、東南アジアの国々を「東南アジア」という一言でまとめてしまう危険性と相似のものです。

当センターでは今後とも、バンコク外の大学訪問、タイ以外の国々の訪問を積極的に続け、適地適当な研究連絡活動を探っていきたいと思います。

2012年4月25日(水)、関西大学のバンコクオフィスの開所式が、チュラロンコン大学石油・石油化学研究科(PPC: The Petroleum and Petrochemical College)にて開催されました。
関西大学及びチュラロンコン大学の両学長をはじめとし、日本の学術関係機関、関西大学校友会、PPCの同窓生などおよそ40名が参加する大きな式典でした。当センターからは、副センター長、タイ人スタッフ、研修員の3名が来賓として参加しました。

新オフィスにて。左からAssistant Professor Dr. Pomthong Malakul, Dean, The Petroleum and Petrochemical College, Chulalongkorn University(CU)、Professor Dr. Pirom Kamolratanakul, President, CU、楠見晴重(くすみ はるしげ)関西大学学長、Associate Professor Dr. Ratana Rujiravanit, PPC, CU

新オフィスにて。左からAssistant Professor Dr. Pomthong Malakul, Dean, The Petroleum and Petrochemical College, Chulalongkorn University(CU)、Professor Dr. Pirom Kamolratanakul, President, CU、楠見晴重(くすみ はるしげ)関西大学学長、Associate Professor Dr. Ratana Rujiravanit, PPC, CU


このオフィスの開設は、両大学の長年にわたる交流と双方の担当教員の方々の強い協力によってなされたものであり、チュラロンコン大学からは学長、PPC研究科長が参加したほか、関西大学からも学長及び副学長など多くの関係者が参加し、互いの大きな喜びが伝わりました。
懇親会にて。左から萩原隆史(はぎはら たかし)JASSOタイ事務所所長、Dean Dr. Pomthong、上島 紳一(うえしま しんいち)関西大学副学長(研究推進担当/国際活動推進担当)、President Dr. Pirom、楠見学長、俵幸嗣(たわら こうじ)在タイ日本大使館一等書記官、副センター長

懇親会にて。左から萩原隆史(はぎはら たかし)JASSOタイ事務所所長、Dean Dr. Pomthong、上島 紳一(うえしま しんいち)関西大学副学長(研究推進担当/国際活動推進担当)、President Dr. Pirom、楠見学長、俵幸嗣(たわら こうじ)在タイ日本大使館一等書記官、副センター長


PPCの建物の6階にあるオフィスにはPPCの教員が1名常駐し、関西大学の本部とSkypeを使って常に連絡を取り合える状態にしているとのことです。博士号を有する研究者でもあるPPCの教員を現地スタッフとして置くことで、優秀な学生を効率良く関西大学へ誘致することが期待されます。

また、当センターがバンコク事務所を持つ日本の学術機関の紹介として原稿を依頼・作製したポスターも、早速掲示されていました。今後も、より一層当センターを活用していただければと思います。

2012年4月12日(木)、当センターメンバー全員及び大槻研修員の4名でNRCTを表敬訪問しました。これは、例年開かれており、今年も8月24-28日にBangkok Convention Centerにて開催予定のResearch EXPO 2012における、JSPS-NRCTセミナーについての打合せが主な目的です。

左から、大槻研修員、現地スタッフ、副センター長、センター長、Ms. Pimpun部長、Mr. Sawaeng課長、Ms. Pawanee職員、Ms. Arpar職員

左から、大槻研修員、現地スタッフ、副センター長、センター長、Ms. Pimpun部長、Mr. Sawaeng課長、Ms. Pawanee職員、Ms. Arpar職員


NRCTからの参加者は以下の4名です。
– Ms. Pimpun Pongpidjayamaad国際部長(Director, Office of International Affairs(OIA), NRCT)
-Mr. Sawaeng Jongsutjarittam国際部アジア・アフリカ担当課長(Head, Asia-Africa Section, OIA, NRCT)
-Ms. Pawanee Nakdee職員(Planning and Analyst, OIA, NRCT)
-Ms. Arpar Nateprapai職員(Foreign relation officer, OIA, NRCT)

冒頭、当センター長より3月17日のオフィス移転と、19日より開始したJASSOとのオフィス共用について報告いたしました。あわせて、4月11日には近隣の関係機関から駐在代表者をお招きして新オフィスの見学会を開催しており、これについても報告をしたところです。

Research EXPO 2012に関しては、NRCTよりテーマと日程が提示され、これをもとに議論を行った結果、以下の通りの概要で合意に至りました。

JSPS-NRCTセミナー
開催日程:8月26日(日)(日本の大学院入試を踏まえたもの)
     午前:打合せ、昼食
     午後:セミナー、夕食
招へい者:日本より2名、各講演者に対してタイ人コーディネターを1名ずつ
講演時間:各60分。10分間のタイ語による要約と、10分間の質疑応答。
招へいについて:JSPSにて負担。人選についてもJSPSにて行う。

なお、講演者については、NRCT側より安西祐一郎JSPS理事長と、特に津波と洪水についての災害対策の専門家をお招きしたい旨の希望が出され、当センターとしてはその方向で調整を行っていくことになります。

当センターとしては、今後ともNRCTとの連携を深めつつタイにおける科学・学術の交流・促進を行っていきたいと思います。

Research EXPO 2012の全体テーマは以下の通りです。
1. Research for the Formation of ASEAN Economic Community (AEC)
2. Research for Disaster Management
3. Research for Technology/Emerging Diseases
4. Research for Quality of Life
5. Research for Green-Based World
6. Research for Industrial Development
7. Research for Agricultural Productivity

2012年4月12日(木)、タイのNIDA(National Institute of Development Administration:行政大学院大学)にお勤めのDr. Indra P. Tiwari博士が当センターを来訪されました。

左から、副センター長、Dr. Indra、センター長

左から、副センター長、Dr. Indra、センター長


Dr. Indra博士はネパール出身で、過去にAIT(アジア工科大学院大学Asian InstituteofTechnology)で教職についておられたほか、JSPS外国人特別研究員事業により2001年から2003年まで東京工業大学に滞在しておられました。

交通と物流の専門家で、タイJSPS同窓会(JAFT:JSPS Alumni Forum of Thailand)の財務担当理事で、タイ物流省(Office of Transport and Traffic Policy and Planning, Ministry of Transport)にお勤め(Chief, Transport Logistics Group)のDr. Malee Uabharadornの紹介により、2012年2月3日に開催した論文博士号取得者へのメダル授与式および同窓会総会にもご参加いただいております。

今回の訪問は、ネパールでのJSPS事業紹介のお誘いです。
ネパールには科学技術省(Ministry of Science and Technology)傘下にCouncil of Science and Technology(CST)、文部省(Ministry of Education)傘下にUniversity Grant Commission(UGC)、この他Agricultural Research Council(ARC)といった学術支援機関があり、この中でも特にUGCが大学への強い影響力を持っているなど、スリランカなど南アジアと同様の構造になっているようです。

ネパールには1959年の大学設置以来、現在は以下5つの国立大学があるほか、同数程度が設立予定とのこと。
Tribhuvan University(古豪の大学。現在も学生数トップ)
Kathmandu University(比較的新しく、国内トップとされている)
Pokhara University
Purbanchal University
Mahendra Sanskrit University
このうちTribhuvan大学及びKathmandu大学には博士課程があります。

大学進学率は適正年齢の3割ほどで、学費は部局によって異なりますが月あたり8米ドルほどからであるなど、比較的に低額に抑えられています。

過去には多くの学生が高等教育を受けにインドへ出ていたそうですが、昨今はより純粋に科学を求める姿勢から、インド外の高等教育や特に研究機会への需要の高まりが見込まれ、こういった背景から、当センターとしてはネパールにおける潜在的なJSPSへの需要は高く、今後も極めて高まるものと判断しました。6月中旬を念頭に日程調整を行っていく予定です。

なお、ネパールにおいては外交的な事柄はすべてNational Planning Commissionを経る必要があるなどの国内事情があり、Dr. Indraと連絡を取り合いながら、事業紹介会場などを選定していく予定です。

2012年4月11日(水)、当センター事務所内会議室を主な会場として、日本学術振興会バンコク研究連絡センター新オフィス見学会を開催しました。

前列左から、研修員、河井所長、田淵参事、関センター長、長谷川書記官。後列左から、副センター長、川崎准教授、水元所長、田中次長、小林准教授、益田所長、内田所長、センター長、現地スタッフ。

前列左から、研修員、河井所長、田淵参事、関センター長、長谷川書記官。後列左から、副センター長、川崎准教授、水元所長、田中次長、小林准教授、益田所長、内田所長、センター長、現地スタッフ。

2010年12月7日の閣議決定「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」以来調整を続け、2012年3月17日にはオフィス移転を、3月19日からはいよいよJASSOとの共用を開始したことを記念して、東南アジアにおける当センターの今後の役割及び使命を確認し、あわせてタイ国内の関係機関等との一層の連携強化を図ることを目的に、田淵エルガJSPS国際事業部参事とともに、近隣の関係機関から駐在代表者をお招きしての開催です。

参加者は計9名で、機関英語名のアルファベット順に以下の通りです。
水元伸一(みずもと・しんいち)  宇宙航空研究開発機構(JAXA)タイ駐在員事務所・所長
長谷川哲雄(はせがわ・てつお) 在タイ日本大使館(JE)一等書記官
内田 裕(うちだ・ひろし)   国際交流基金(JF)バンコク日本文化センター・所長
田中章久(たなか・あきひさ)  国際協力機構(JICA)タイ事務所・次長
益田 浩(ますだ・ひろし)   日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所・所長
小林 知(こばやし・さとる)   京都大学(KU)東南アジア研究所バンコク連絡事務所・准教授
関 達治(せき・たつじ)   大阪大学(OU)バンコク教育研究センター・センター長
河井栄一(かわい・えいいち)  東京農工大学(TUAT)バンコク事務所・所長
川崎昭如(かわさき・あきゆき)  東京大学(UT)生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター・准教授

*議事次第はこちら*

冒頭、当センター長より開会の挨拶をしたのち、長谷川一等書記官より祝辞の言葉をいただきました。総務省に勤務されていた頃に独立行政法人改革に携わった経験を例に出しながら、ハード(事務所など)の共用からソフト(事業など)の共用へと前進していくことで、共用がより一層意義あるものとなること、JSPSとJASSOだけでなく同じフロアに事務所を置くJFやJNTOも含めてそれを進めていく期待を述べていただきました。

JSPS本部の田淵参事からは「日本学術振興会バンコク研究連絡センター新オフィス開所にあたって」と題して、プレゼン資料を用いながらJSPS全体の概要、アジアとの交流の歴史、そして今後のアジア展開などを発表いただきました。

田淵参事によるプレゼンテーション

田淵参事によるプレゼンテーション

祝辞を述べられる長谷川書記官

祝辞を述べられる長谷川書記官


当センター長からは、PCとプロジェクターを使って当ホームページの内容を説明することでセンター紹介とし、この他、過去1年間の活動実績、例えば研修員の受入れや大学ポスターの作製など、資料にはなりづらい事柄について詳細な紹介を行いました。

参加いただいた方々は日頃からお付き合いのある方ではあるものの、改めてJSPSとバンコクセンターの取組みに触れていただき、その役割を認識いただく絶好の機会となりました。

その後、JASSOとの共用部分である閲覧室やろうか部分、JSPS執務室などを順に紹介し、一休みの後に参加者全員での意見交換となりました。関センター長より発議いただいたのは、海外における大学戦略の難しさ、特に大学間ネットワークの維持・ノウハウといったところをJSPSがケアしてはどうかという提案でした。これには、JSPSサンフランシスコ・センターが取り組んでいる「サンフランシスコ・ベイエリア大学間連携ネットワーク(Japanese University Network in the Bay Area略称JUNBA)」という先行例があり、関センター長もこれを引き合いに出されてのご発言でした。

ろうか部分を利用し、在タイの日本の大学のポスターを掲示しております

ろうか部分を利用し、在タイの日本の大学のポスターを掲示しております


閲覧室の紹介をするセンター長

閲覧室の紹介をするセンター長


議論の様子

議論の様子


この他、JSPS論文博士号取得希望者に対する支援事業に関する、国はもちろん自然科学系と人文・社会科学系における適性やニーズの違いなどが述べられ、この事業に対する潜在的なニーズの高さが確認されました。

また、アジア各国におけるJoint DegreeやDouble Degreeの進展具合から日本が取り残されつつある危機感から、欧米先進諸国がそれぞれの大使館に擁しているような科学技術アタッシェの必要性が訴えられたほか、タイ東南アジアについていえばこれまでの一方的に支援を行ってきた関係から、連携・協働、さらには何らかの支援提供を受ける方向へ、といった大胆な戦略策定を行う機能の必要性が訴えられました。

当センターとしては、まず具体的には、タイ国内の各大学訪問に際して事前にリクエスト・ペーパー(仮)の作成を依頼することで、タイ大学側のニーズや希望のほかに、実現可能なレベルの分野を探り当てていくという取り組みができるのではないかと考えています。

日本の機関が多いとされているバンコクにおいても、各機関より計10名を越える駐在員が一堂に会し、改めて議論を行う機会というのは多くありません。今回こうした時間を設けることで、様々な分野からの意見を聞くことができ、当センターとしてはまことに実り多い時間となりました。

今後とも関係各所との連携を深めながら、センター運営を行っていきたいと思います。

2012年4月3日(火)、日本大学より廣岡達郎(ひろおか・たつろう)学務部教育推進課国際交流室課長補佐と栗林健太(くりばやし・けんた)同職員が当センターを訪問されました。

今回は、翌日からマヒドン大学で開催されるAPAIE2012・第7回年次大会に参加のためバンコクへいらした際のご来訪でした。

日本大学は、アサンプション大学、カセサート大学、タマサート大学と学術交流において提携しているほか、多くのタイの大学と教員同士の共同研究や相互の学生の留学交流があり、タイの大学との協力関係は今後ますます重視していかれるとのことです。タイにおけるオフィス設置にも高い関心をお持ちでした。

当センターからは、既にタイにオフィスを構えている日本の大学の活動や、タイの大学の現状等について紹介させていただきました。特に、タイの大学は海外での学位取得者を教員採用の際に厚遇する傾向があることや、多くの大学が2015年のASEAN統合を見据えて動き始めていることなどを踏まえて、タイでの活動目的を明確に設定している日本の大学のオフィスが軌道に乗っているケースが多いということをお伝えしました。

タイとの連携深化に向けて、今後とも当センターを活用していただければと思います。

左から副センター長、廣岡課長補佐、栗林職員

左から副センター長、廣岡課長補佐、栗林職員

2012年3月22日(木)、23日(金)、センター長及び副センター長がフィリピンのマニラへ出張しました。目的は、フィリピン論博同窓会(PRF: Philippine Society of JSPS RONPAKU Fellows)への表敬訪問です。

PRFは、2005年7月20日、フィリピン国内の論博経験者(JSPS論文博士号取得希望者に対する支援事業による支援を受けて博士号を取得したフィリピン人研究者)により独自に会合が持たれ、科学技術の発展を通して国家の繁栄に貢献することを目的に結成された同窓生グループです。翌2006年4月26日に最初の運営メンバーが選出されDr. Pagasa Gaspillo, Full Professor, College of Engineering, De La Salle University, Manilaが初代の会長となりました。

現在はDr. Maricar S. Prudente, Full Professor, College of Education, De La Salle University, Manilaが3代目の会長を務め、会員数79名の組織となっています。

今回の訪問は、2008年7月に前任のセンター長及び副センター長がPRF会合に散会して以来、当センターとしては2度目であり、PRFが独自同窓会として自立した活動を行っているという引継ぎ情報の確認と、JSPS公認同窓会への移行意思の確認が目的です。

Dr. Maricar会長ほか15名程度の会員およびフィリピンにおけるJSPSのカウンターパートである科学技術省(DOST: Department of Science and Technology)の担当者にお会いすることができました。

会合では、Dr. Maricar会長による活動紹介が行われ、その後、当センター長から当センターの活動紹介を行った後に、全体での質疑応答となりました。概要は以下の通りです。

・PRFは既に毎年一回程度のワークショップ開催など定期的な活動を実施している
・上記イベントには、日本大使館やJICA、またJSPSのカウンターパートであるDOSTからの参加者も招いている
・PRFは既にBylaw等を備え、政府に登録を行っている
・PRFの活動にはDOSTによる経済的・実務的支援がある
・PRFにはオフィシャル同窓会になる強い希望がある
・当センターの所見では、PRFの公認化への課題は以下2点である

-外国人特別研究員など論博以外の経験者を含めること(ならびに名称の変更)

-これまでの活動実績リスト化、JSPS本部への伝達(対外的コミュニケーション)

・その上で、当センターから以下2点を提案した

a) 外国人特別研究員経験者への勧誘

b) 活動実績の一覧作成

c) DOSTを通じてのJSPS本部への打診

当センターとして、a)についての可能な範囲での情報提供、b)についての当センターを通じての日本語化、書類化および本部提出、の2点を行うことを確認した。

また、c)についてのDOSTの賛意が得られた。

概要ここまで。
以上の通り、PRFの活動状況や組織体制はすでに公認同窓会となるに十分と考えられる段階であり、これを的確・効果的にJSPS本部に伝達することが、東南アジアを所管する当センターの責務であると認識しております。

現在、PRF側で必要な情報の整理が行われており、当センターとしては可及的速やかに公認化へのサポートを行っていきたいと考えております。

前列左から副センター長、センター長、DOSTのJSPS責任者Ms. Ma. Lourds P. Orijola、その部下の方、フィリピン初の論博フェローDr. Sanchez、Dr. Maricar S. Prudente会長

前列左から副センター長、センター長、DOSTのJSPS責任者Ms. Ma. Lourds P. Orijola、その部下の方、フィリピン初の論博フェローDr. Sanchez、Dr. Maricar S. Prudente会長

2012年3月20日(火)、東京農工大学より鈴木真由美(すずき・まゆみ)国際事業推進チーム副チームリーダー(TL)と大槻朝比(おおつき・あさひ)総務チーム係員が当センターを訪問されました。

これは、前回7月22日の鈴木副TLの来訪、9月の当センター長による東京農工大学への訪問を経て実現することとなった、東京農工大学事務職員のバンコク研修生の受入れに関する最終調整です。

当センター長と東京農工大学学長間での研修生受入れに関する覚書を取り交わし、正式に大槻係員を受入れることとなりました。

大槻係員は基本的に東京農工学のバンコクオフィスに勤務し、英語研修と協定校であるチュラロンコン大学での実務研修などなど多くのメニューをこなしながら、機をみては当センターを含む在タイ日本機関で実務研修を行う予定です(全期間約6カ月)。

左からセンター長、大槻研修生、鈴木副TL

左からセンター長、大槻研修生、鈴木副TL


これは複数の日本機関が居を構えるバンコクならではの研修プランであり、様々な角度と視点から大学の国際交流や、学術機関および学術支援機関の運営を学ぶ絶好の機会となるでしょう。当センターとしては、若く優秀な大学職員の養成に貢献することで、我が国の大学のいっそうの国際化に役だって行きたいと思います。

2012年3月19日(月)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)タイ駐在員事務所にて、平成24年度BRIDGE Fellowshipの選考員会が開催されました。

選考委員会の様子

選考委員会の様子

JAFT(JSPS Alumni Forum of Thailand:タイJSPS同窓会)としては、今回が3回目の選考であり、JAFT理事でSukhothai Thammathirat Open University経済学部准教授のDr. Porphant Ouyyanontが被推薦者として選出されました。JSPS本部での最終判断の後、2012年3月から45日間の予定で、京都大学東南アジア研究所の小泉順子教授のもとでの滞在が決定される予定です。

過去の受賞者
2010年度 Dr. Busaba Yongsmith教授(カセサート大学、JAFT会長)
2011年度 Dr. Danai Tiwawech上級研究員(国立がん研究所)

左から、センター長、Dr. Jiraporn、Dr. Paritud選考委員長、Dr. Busaba同窓会長、Dr. Boonchai

左から、センター長、Dr. Jiraporn、Dr. Paritud選考委員長、Dr. Busaba同窓会長、Dr. Boonchai

2012年3月17日(土)、当センターは移転しました。バンコク市内アソーク通りのSerm-mit Tower内で低層棟から高層棟への移動です。階数は変わらず10階。

新たに移ってまいりました高層棟の10階には、すでに国際交流基金(JF: Japan Foundation)や国立観光局(JNTO: Japan National Tourism Organization)が図書館や教室、事務所を構えており、当センターはその中で、学生支援機構(JASSO: Japan Student Service Organization)と一つのオフィスをシェアしております。

新オフィスの入り口

新オフィスの入り口

これは2010年12月7日に閣議決定された「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」に従い、2011年度(平成23年度)内の①オフィスの移転、及び②JASSOとの共用という2つの課題を達成したものです。

新オフィスには、JSPSとJASSOの各事務室のほか、共用の資料閲覧室と会議室が設けられ、日本への留学や研究滞在を目的とする広い世代のタイ人に対する情報提供を行うとともに、日本人研究者等の研究打合せや情報交換の場として提供しうるなど、サービスと機能を拡充することで、学業・科学というアカデミックな分野での我が国のプレゼンスを高めていく所存です。

皆様のご利用をお待ちしております。

二つの看板

二つの看板

2012年3月13日(火)、バンコク郊外パトゥンタニの国立科学博物館(NSM: National Science Museum)にて「Discover Antarctic」と題した増設展示を記念する式典が開かれ、当オフィスより副センター長およびタイ人スタッフが視察しました。

これは日本の国立極地研究所とチュラロンコン大学の長年の協力関係を基本にしており、2004年の日本の第46次南極調査隊として、チュラロンコン大学のAssist. Prof. Dr. Voranop Viyakarnがタイの研究者では初めて南極に入り、その後、2009年の第51次調査隊に同じくチュラロンコン大学のAssoc. Prof. Dr. Suchana Chavanichが加わりました。今回の展示は、この51次調査隊で使用した実物を展示品として極地研究所が科学博物館に提供したことで実現したものです。ともに、極地研究への関心を高めていこうという意向を持っており、それが合致した結果です。

式典には、国立極地研究所より白石和行(しらいし・かずゆき)所長、渡邉研太郎(わたなべ・けんたろう)国際企画室長、牛尾収輝(うしお・しゅうき)博士が参加し、タイ側からはチュラロンコン大学より上記の研究者2名と、Mr. Manop Issareeya副所長が参加して、盛大に行われました。

中央の女性がDr. Suchana、その右側男性がDr. Voranop。 Dr. Suchanaの左へ、白石所長、Mr. Manop副所長

中央の女性がDr. Suchana、その右側男性がDr. Voranop。
Dr. Suchanaの左へ、白石所長、Mr. Manop副所長

2012年3月8日(木)、科学技術振興機構(JST)より屠耿(と・こう)国際科学事業部調査役および矢野雅仁シンガポール事務所シニア・プログラムコーディネターが来タイされました。

目的は、JSTが新たに立ち上げるマルチラテラルのファンディング・スキームe-ASIA Joint Research Program (e-ASIA JRP)について、その参加機関であるタイ科学技術開発庁(NSTDA: National Science and Technology Development Agency)との打合せです。
JSTとしてはこの機会を利用してNRCTへの紹介を行いたいということで、当センターから副センター長とタイ人スタッフが同行いたしました。

NRCTからはMs. Pimpun Pongpidjayamaad国際部長(Director, Office of International Affairs)、Mr. Sawaeng Jongsutjarittamアジア・アフリカ課長(Head, Asia-Africa Section)、Ms. Pawanee Nakdee職員及び Ms. Arpar Nateprapai職員にご参加いただきました。

屠調査役のご説明によれば、e-Asia JRPは東アジア(E-Asia)のみならず、東南アジアやアメリカ、ロシア、オーストラリアなども含む広い地域を含む多国間の共同研究枠組みで、各国のファンディング・エージェンシー負担によるマッチング・ファンドを確保しながら、それぞれに設定した分野での共同研究への参画を行うというもので、タイではすでにNSTDAの参加が決まっているということです。

JSTとしてはより広く研究者の参加を促す目的で、独自の研究者を擁するNSTDAだけでなく、タイ国内の大学を所管するNRCTの参加に期待をしているとのことですが、NRCTとしては既にJSPSの枠組みであるアジア学術振興機関長会議(ASIAHORCs)に参加しており、e-Asia JRPへの参加については検討を要するとのことでした。

当センターとしては、今後ともJSTシンガポールとの連携しながら東南アジアにおける研究分野でのより緊密な関係を築いていきたいと思います。

左から、Ms. Arpar、Ms. Pawanee、Mr. Sawaeng課長、Ms. Pimpun部長、屠調査役、矢野SPC、副センター長、タイ人スタッフ

左から、Ms. Arpar、Ms. Pawanee、Mr. Sawaeng課長、Ms. Pimpun部長、屠調査役、矢野SPC、副センター長、タイ人スタッフ

2012年3月7日(水)および8日(木)、JSPS本部国際事業部海外派遣事業課より、川崎宏(かわさき・ひろし)前専門員(現・研究事業部基金管理課課長代理)および高橋翼(たかはし・つばさ)係員が当センターを来訪されました。

これは、当課が管轄している「組織的な若手研究者海外派遣プログラム」により現在タイに滞在している大分大学の内田智久(うちだ・ともひさ)助教を訪ね、その研究環境の視察と、プログラムの使い勝手を調査するものです。事業終了後に日本で行うのではなく、現に海外滞在中に調査をすることでよりいっそう生の声を拾い、それを事業改善に役立てていこうという取り組みです。

タイの前には「頭脳循環を活性化する若手研究者海外派遣プログラム」で実施中の鹿児島大学「食欲調節ペプチド自己後退症候群の概念、病態生理的意義の確立と新しい治療戦略」の調査のため、台湾の台南大学を訪問されていたとのことです。

大分大学医学部では「東アジア分子疫学研究推進のための若手研究者派遣プログラム」を実施しており、当センターにはこれまでに内田助教のほか山岡教授や川本教授といった主要なメンバーが訪問されています。

7日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)タイ駐在員事務所の会議室を借り受け、約2時間のインタビューが実施され、8日はタイ国内での受入れ先となっているチュラロンコン大学医学部の研究室を視察して回られました。

当センターとしては会議室の手配等を行うのみでしたが、JSPS本体の自己改善に少しでも貢献することができかと思うと大変うれしいです。また非常に意欲的な若手職員とそれを厳しく熱く指導する経験豊かな職員と接する機会が得られたことは非常に大きな収穫でもありました。

当センターとしては、今後とも海外においてこそ可能な貢献を続けていきたいと思います。

左から、佐藤主任、内田助教、川崎課長代理、高橋係員

左から、佐藤主任、内田助教、川崎課長代理、高橋係員

2012年3月2日(金)、バンコク市内チャムチュリースクエアのサイエンススクエアにて「Marie Curie and Chemistry: Our Life Our Future」と題した特別展示の開催式典が開かれ、当オフィスより副センター長およびタイ人スタッフが視察しました。

この特別展示はタイ国科学技術省と在タイ・ポーランド大使館およびタイ化学学会が協力して企画したもので、国際科学年を記念して放射性物質を発見し、世界で初めての女性ノーベル賞受賞者となったキュリー夫人の足跡と業績を紹介するものです。

科学技術省管下の国立博物館(NSM)では、青少年に対する科学の啓蒙を目的としてサイエンススクエアを展開しており、今回の特別展示も科学全般への関心を高めることを目的に開催されています。

開催式典では、在タイ・ポオーランド大使と国立博物館副館長が挨拶を行い、テープカットを行って、特別展示の開催を祝いました。

テープカットの様子

テープカットの様子

2012年2月26日(日)、バングラデシュでのシンポジウムからご一緒させていただいた大学評価・学位授与機構(NIAD-UE)の木村孟特任教授(文部科学省顧問)をはじめ、川口昭彦特任教授、評価事業部の秦絵里国際課長、同課井福竜太郎係員と、バンコク市内にて夕食をご一緒させていただきました。

木村教授はバングラデシュでのシンポジウム終えて帰国の途上であり、川口教授らは東南アジア諸国教育大臣協会高等教育開発センター(SEAMEO-RIHED)およびアセアン大学連合(AUN)へ、東南アジアにおける教育の質保証関係機関の調査のために来タイされたということです。

夕食の席では、バングラデシュでのお疲れもありつつも、木村・川口両教授が過去と現在のバンコクの比較や、当センター長も含めて出身・勤務大学である東京大学についての過去と現在について話を弾ませました。

秦課長は元々JSPS職員から転身されてのNIAD-UE勤務、井福係員は熊本大学からの出向ということで、名前は知りながらもその実態については多くを知らずにいた副センター長としては、ともに外部の視線も併せ持つお二人から、NIAD-UEについて様々に学ばせていただく、大変良い機会となりました。

前列左から秦課長、木村教授、川口教授 後列左から井福係員、副センター長、センター長

前列左から秦課長、木村教授、川口教授
後列左から井福係員、副センター長、センター長

2012年2月24日(金)と25日(土)、バングラデシュの首都ダッカにて、バングラデシュJSPS同窓会(BJSPSAA: Bangladesh JSPS Alumni Association)主催により、第3回科学シンポジウム「社会のための科学(Science for Society)」を開催しました。

これは、2008年の同窓会発足、2009年の第一回科学シンポジウム開催以来、毎年続けているもので今年が3回目となります。これまで毎年12月に行われてきましたが、2012年が日本-バングラデシュ国交樹立40周年に当たることから、それを記念して、今回は2012年2月の開催です。

タイトルの通り、社会と科学の関わりを軸に初日をセレモニーに、最終日をサイエンス・セッションにあて、バングラデシュの研究者や学生を中心に200名を超える参加者がありました。

初日、木村孟文部科学省顧問およびProf. Naiyyum Choudhuryバングラデシュ科学アカデミー(BAS: Bangladesh Academy of Science)事務局長兼 BJSPSAA会長よりキーノート講演をいただいたほか、南博之在バングラデシュ日本公使、バングラデシュ大学助成委員会(UGC: University Grant Commission)委員Prof. M. Muhibur Rahman、バングラデシュで発行部数一位の英文紙The Daily Star編集委員であるMr. Mahfuz Anam、JSPS本部の里見昭彦人物交流課長より挨拶をいただきました。


その後、在バングラデシュ日本大使館の協力を得て大使公邸での夕食会が催され、招待者一同で食卓を囲みました。

また、2日目である最終日は、日本より招へいした、東北大学農学研究科応用生命科学専攻内田隆史 教授、東京大学生物生産工学研究センター長 五十嵐泰夫 教授を含む10本のプレナリー発表と、18本の一般発表が行われ、盛んに意見交換が行われました。

今回のシンポジウムを機会に、今後、現センター長在任期間中についてはBJSPSAAとのコーディネイトを当センターで行うことが決まっており、タイをはじめとする東南アジア各国とは様々に異なる社会状況、人間関係などを学ぶよい機会となりました。

閉会式で挨拶を述べるセンター長

閉会式で挨拶を述べるセンター長

当センターとしては、今後も引き続き、関係各所との連携を強めながら東南アジアおよび南アジアにおける研究者ネットワークの形成と強化に尽力していきたいと思います。

 

お世話になった大村浩一等書記官(右端)と国会議事堂前にて

お世話になった大村浩一等書記官(右端)と国会議事堂前にて

2012年2月22日(水)、在タイ日本大使館にて開催された「東南アジア地域における国境を越える高等教育の現状と課題にかかる調査」懇談会に、当センターよりセンター長及び副センター長が出席しました。

同調査はJICA(国際協力機構)よりAsia-SEED (アジア科学教育研究開発機構)が委託を受けたもので、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム、インドネシアを訪問し、各国の大学が実施中の国際協働プログラム、国際交流などの実態を把握、さらに今後の日本の関わり方を提案するという、我が国が今後、アジアをはじめとした途上国の大学と本邦大学との間で国際共同教育プログラム等の形成・実施を支援していくにあたっての一つの指針を作るともいえる、壮大なものです。

そのため今回は、文部科学省高等教育局とJICA(国際協力機構)人間開発部が合同調査として実施するもので、アドバイザーである早稲田大学留学センター所長の黒田一雄(くろだ・かずお)教授、上智大学総合人間科学部の北村友人(きたむら・ゆうと)准教授、Asia-SEED常任理事で東京農工大学タイ事務所所長の河井栄一(かわい・えいいち)教授とともにコンサルタントチームを形成する大学評価・学位授与機構の森利枝(もり・りえ)准教授に、文部科学省高等教育局国際企画室の佐藤邦明(さとう・くにあき)専門官と同私学部私学助成課の河野裕子(かわの・ひろこ)係長が来タイされていました。

当センターは河井教授よりお誘いを受けての参加です。我々のほかには、在タイ日本大使館の富田大志(とみた・ひろし)一等書記官、大阪大学バンコク教育研究センター関達治(せき・たつじ)センター長、JASSOタイ事務所の萩原隆史(はぎはら・たかし)所長、東海大学アジアオフィス富田紘央(とみた・ひろお)コーディネーター、青山学院大学海外拠点事務所桒野純一(またの・じゅんいち)所長、タイ文部省傘下Institute for Promotion of Teaching Science and Technology安宅りえ(あたぎ・りえ)氏というメンバーが集まりました。

冒頭、河井教授より共同調査の概要が説明されたのち、在タイの日本の教育研究機関における実際が各参加者たちから語られました。

留学関係機関からは、バンコクをはじめ地方でも大学説明会を開催している実績とともにタイ人の要望とのマッチングの難しさ(MBAなど)、日本語能力の壁の高さが述べられ、大学関係者からは今バンコクで起きていることは「パイの取り合い」ではなく、むしろ適所への「譲り合い」であり、横の連携を強めていくことの重要性が語られました。一方で、安宅氏からはタイ機関・タイ人の実態として、いまだに日本への留学への具体的な窓口が見えにくいということが明かされ、在タイ日本機関としては少なからずショックを受けたことも事実です。

前列左から河野、河井、森、関、富田(大) 後列左から黒田、桒野、北村、佐藤、竹内、安宅、萩原、田辺(敬称略)

前列左から河野、河井、森、関、富田(大)
後列左から黒田、桒野、北村、佐藤、竹内、安宅、萩原、田辺(敬称略)


この後、河井教授の案内で夕食会が催され、当センターからはセンター長が出席し、親交を深めました。

2012年2月22日(水)、RESTEC(一般財団法人リモート・センシング技術センター)より、池田要(いけだ・かなめ)常務理事と伊藤恭一(いとう・きょういち)参事が来訪されました。

今回の来タイは、国連アジア太平洋経済社会員会(UN-ESCAP: United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific)が主催する国際フォーラムSouth-East Asia Flood Risk Reduction Forumへの参加が目的ということです。

池田常務理事からは、RESTECではこれまで業務の大半をJAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携する形で行ってきたが、今後はJAXAのみならず日本内外の大学とも積極的に関わっていこうというお話を聞くことができました。

リモート・センシングの専門家であり、現役の大学教員でもある当センター長としては非常にうれしいお話であり、今後JSPSバンコク・センターとしてできることがあれば、できる限りのお協力をしていく旨、お話させていただきました。

伊藤参事、池田常務理事、センター長

伊藤参事、池田常務理事、センター長


当センターとしては、様々のプレーヤーの参入により我が国の大学業界がより一層活発に活動していくことを応援したいと思います。

2012年2月21日(火)、石川和則(いしかわ・かずのり)財務部主計課長、小島隆行(こじま・たかゆき)同課総務係長、澤出綾子(さわで・あやこ)留学生事業部留学生事業計画課主任が、萩原隆史 タイ事務所所長とともに当センターを訪問されました。

今回のタイ出張は、すでに工事のはじまったJSPSとJASSOの共用オフィスの視察ということです。JASSO本部からは、今回の移転と共用に関してこれまで既に何名もの来訪者がおられ、力の入れようが伺われます。特に澤出主任には東京でJSPS本部との調整窓口として、半年以上続く詳細な折衝をしていただいております。

当センターとしては改めて、事務所というハードウェアだけではなく、ソフト面でも共用を図っていることなどを説明させていただきました。

なお今後の予定として、事務所の共用・移転については、3月初頭にまずはJASSOが移転し業務開始、その後、中旬にJSPSが移転して業務を開始いたします。当センターとしては4月の早々には新オフィスの見学会や共用スペースのご案内を開催したいと考えております。

左から、萩原所長、小島係長、センター長、石川課長、澤出主任

左から、萩原所長、小島係長、センター長、石川課長、澤出主任

2012年2月17日(金)から19日(日)まで、センター長および副センター長がスリランカに出張しました。目的は、スリランカ中央環境庁(CEA: Central Environmental Authority)への表敬訪問です。

12月のシンガポール出張APRSAF参加の際に、JAXA(宇宙航空研究開発機構)によってスリランカ国内でSAFEプロジェクト(Space Application for Environment:宇宙技術による環境監視プロジェクト)がスタートするという情報を得ており、過去のラオスやベトナムでのSAFEプロジェクトと同様に人材育成もその過程からはずせないことから、JSPSによる人材育成さらには研究交流プロジェクトへの発展を視野に、そのキックオフ・ミーティングに参加させていただき事業紹介を行いました。

事業紹介するセンター長

事業紹介するセンター長


会議には、プロジェクト全体のコーディネターとなる貫井智之JAXA地球観測センター職員や、スリランカ側のプロジェクトの主なメンバーであるMr. Ajith Gunawardena CEAジオインフォマティクス・センター副センター長のほか、CEA所長(Director-Generak)のMrs. R. Ellepolaが参加されました。

SAFEプロジェクトによる成果を用いてのJSPS事業への発展的継承や、その過程で人材育成を行っていくという当センターからの提案は非常に好意的に受け止められ、今後のSAFEプロジェクトの進展ともにスリランカの動向には目が離せません。

会議の翌日は、会議参加者でもあるMr. Bandula Wickramarachchiに同行いただき、AA-platform事業への申請案件になりうると考えられる現場へ赴きました。コロンボから車で2時間ほど行った中央部ピンナワラを訪問し、像園の食料廃材であるヤシの葉のエネルギーとしての再利用について、Dr. Chandana Rajapaksa医師と意見交換を行いました。

左から、Mr. Bandula、Dr. Chandana、センター長

左から、Mr. Bandula、Dr. Chandana、センター長


この他、Dr. Chanadanaによれば、スリランカとタイの間には象飼育についてのネットワークができており、その育成や医療について人材交換を行うなどしているそうです。我が国の獣医学的知見と交えることで、アジアならではの研究課題の発見や、タイでの研究セミナー開催にも可能性が広がり、以上に意義深いスリランカ出張となりました。
前列左からDr. Lal Samarakoon AIT教授、Mr. Ajith副センター長、貫井氏、Mrs. Ellepola所長。所長の後ろがMr. Bandula

前列左からDr. Lal Samarakoon AIT教授、Mr. Ajith副センター長、貫井氏、Mrs. Ellepola所長。所長の後ろがMr. Bandula

2012年2月16日(木)、当センターメンバー全員でバンコク市内Bangmodにキングモンクット工科大学トンブリー(KMUTT)を表敬訪問しました。当センターの2011年度(4月から翌年3月まで)計画の一つで、タイ国内で9つ認定されている研究型国立大学を表敬し、事業紹介をしようという一環です。これまでにバンコク市内のカセサート大学、チュラロンコン大学、タマサート大学、キングモンクット工科大学、マヒドン大学のほか、北部チェンマイ大学及び東北部コンケン大学、スラナリー工科大学を訪れており、これで9校すべての訪問が完了しました。

KMUTTは1960年に設立され、1998年にAutonomous University(自治大学)になった新しい大学で、博士700、修士5,300、学部生12,000という比較的ちいさな規模ながらも、工学系の中でも特にエネルギーや環境に焦点を絞った研究教育を実施して、国内では最高の論文出版率を誇っております。

今回は研究担当副学長で、タイ国エネルギー環境合同大学院大学(JGSEE)の前学長であったDr. Bundit Fungtammasan准教授、国際担当学長補佐Dr. Anak Khantachawana、知的財産担当Dr. Phongsri Waysarach、JGSEE所属で日本での研究歴もあるDr. Nakorn Worasuwannarak、さらに学長顧問であるDr. Naksitte Coovattanachai教授にお会いすることができました。

KMUTTではLearning Instituteを置いて学生の能力の引き出しを試みたり、BTS沿線にKMUTT City Centerを作るなど、市内の大型大学に比べてきめの細かい教育研究を実践しています。その成果が論文出版率にもつながっていると言えるでしょう。

また、JGSEEに積極的にかかわっていくなど、工学(特にエネルギー・環境)分野での横のつながりも重視しています。JGSEEとしては日本の京都大学エネルギー科学研究科、アセアン大学ネットワーク(AUN)、ラジャマンガラ工科大学(RMUTT)と国際フォーラムを開催するなど、分野を絞り中身のある国際活動を行っております。この他にも、金沢大学と日本工業大学が、学内にオフィスを構えています。

当センター長から若手研究者向けの事業紹介セミナーの開催を提案したところ同意が得られました。6月末を予定している現センター長離任までの間で日程調整をしていくことになります。

2012年2月15日(水)、京都大学より小野紘一シニア・リサーチアドミニストレーター(SURA)及び園部太郎リサーチアドミニストレーター(URA)が当センターを来訪され、副センター長が対応させていただきました。

小野SURA、園部URA、副センター長

小野SURA、園部URA、副センター長

リサーチアドミニストレーターの制度は、文部科学省の「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」事業に採択されたことによって、京都大学では今年1月から開始されたもので、主に以下の役割を果たしながら京都大学における研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化等を支えていくものです。
・研究者とともに行う研究プロジェクトの企画
・研究計画等に関する関係法令等対応状況の精査
・研究プロジェクト案についての提案・交渉
・研究プロジェクトの会計・財務・設備管理
・研究プロジェクトの進捗管理
・特許申請等研究成果のまとめ・活用促進

京都大学では、理工系・医療系・社会人文系の3人のSURAと5名のURAを要し、各分野での研究活動支援を行っていきます。

お越しいただいた小野SURAは土木工学がご専門で、ITA(国際トンネル協会)副会長を詰められたほか、京都大学の教授を退任されたのち、舞鶴高専の校長や「日・エジプト科学技術大学(E-JUST: Egypt-Japan University of Science and Technology)」プロジェクトを歴任されてのご就任ということです。

今回は、特に東南アジアを舞台とした国際共同や人材育成のためのプロジェクト開発のための来タイということで、当センターへはそのための資金調査を目的に来訪されました。2012年度より開始された拠点形成促進事業(Core-to-Core)や、JSPS-JICAの枠組みである科学技術研究員派遣事業をご紹介させていただいたほか、我々が把握する限りでの、これら国々における研究ニーズなどをお伝えいたしました。

この他にも、URAオフィス(仮称)としては、大学内での研究・人材の把握や、英国での大型セミナーの開催などを当面の活動目的に考えているということで、今後のご活躍が期待されます。

2012年2月3日(金)、バンコク市内Siam City Hotel, Bangkokにて、第3回タイJSPS同窓会(JAFT:JSPS Alumni Forum of Thailand)総会が開催されました。

当日の同窓会メンバー

当日の同窓会メンバー


同窓会は2010年2月5日にDusit Thani Hotel Bangkokで第一回の総会が開催されたと同時に発足し、2011年2月4日に第2回総会がSiam City Hotel, Bangkokで開催され、今回で3回目です。参加者は約40名。

冒頭、同窓会長であるDr. Busaba Yongsmithが発足までの経緯および発足から現在に至るまでの活動内容の報告を行いました。

再任となったDr. Busaba Yongsmith会長

再任となったDr. Busaba Yongsmith会長


その後、主に以下の議事内容について議論を行いました。
・新住所の決定
・2012年度BRIDGE Fellowshipの募集の報告
・名誉会員の授与
・同窓会名の変更
・同窓会ロゴの決定
・同窓会長及び理事の再任
・同窓会会員申請フォーム
・同窓会費の支払い

基本的にタイ語で展開されたため、当センターとしては詳細を把握することはできませんでしたが、議論は熱く参加者からは積極的な発言が相次ぎました。

2012年2月3日(金)、バンコク市内Siam City Hotel, Bangkokにて、JSPS-NRCT RONPAKU Medal Award Ceremonyを開催しました。

これは、論文博士号取得希望者に対する支援事業により、2010年度に博士号を取得された研究者の方々に、その栄誉をたたえると共により一層の研究を奨励することを目的として、メダルを授与するものです。

今回は日本大使館より長谷川哲夫一等書記官、NRCTより国際部長(Director, Office of International Affairs)Mrs. Pimpun Pongpidjayamaadにご挨拶いただきました。この他、NRCTからは事務局長Prof. Dr. Soottiporn Chittmittrapapnのほか、理事をはじめとするJSPSタイ同窓会(JAFT)メンバーが複数参加し、新たに博士号を取得された3名の栄誉をたたえました。

参加者一同での記念撮影

参加者一同での記念撮影


このセレモニーは2003年3月にJSPS-NRCT Joint Meeting for RONPAKU Fellowsと題して第一回を開催して以来、毎年NRCTと共催しています。2010年2月にタイ国JSPS同窓会が発足したのをきっかけに、その名をJSPS-NRCT RONPAKU Medal Award Ceremonyと改めました。
左から、Prof. Dr. Soottiporn事務局長、Mrs. Pimpun、長谷川一等書記官、仁平教授、加藤部長

左から、Prof. Dr. Soottiporn事務局長、Mrs. Pimpun、長谷川一等書記官、仁平教授、加藤部長


上述の通り、今年は3名の新規博士号取得者がおり、全員がセレモニーに参加しました。約30名のJSPS同窓生が見守る中、JSPS国際事業部 加藤久 部長よりメダルが授与され、その後、それぞれのメダル授与者による博士論文の発表が行われました。

ジュゴンに関する生態学研究(Dr. Kanjana Adulyanukosol)

琴の演奏技法と音階における美学(Dr. Kumkom Pornprasit)

発展途上国における知的財産権(Dr. Jumpol Pinyosinwat)

バラエティー豊かな研究内容にこそ、JSPSの学術支援の骨頂が現れていると言えるでしょう。



今年はさらに、大阪大学生物工学国際交流センターのセンター長 仁平卓也教授に特別講演を行っていただきました。仁平教授は現在、Acore事業を実施しているほか、2010年度BRIDGE Fellowshipの受入れ教員にもなっていただいており、長年のJSPS事業との関係をResearch experience between Thailand and Japan with JSPS programsと題して語っていただきました。若い研究者の参考になることはもちろん、JAFT会員やJSPS関係者、NRCT関係者にとっても学ぶところの多い講演には大きな拍手が送られました。

質疑応答される仁平教授

質疑応答される仁平教授

発表は以下のとおりです。
“Ecology of the dugong (Dugong dugon) in Thailand: Population characteristics, feeding
habits and conservation”
Dr. Kanjana Adulyanukosol, Senior Researcher, Marine and Coastal Resources Research Center (Upper Gulf)
(Advisor: Prof. Makoto Tsuchiya, Faculty of Science, University of Ryukyus)

“Playing Techniques and Aesthetic Modes of Koto Music”
Dr. Kumkom Pornprasit, Associate Professor, Faculty of Fine and Applied Arts,
Chulalongkorn University
(Advisor: Prof. Shin Nakagawa, Graduate school of Literature and Human Sciences, Osaka City University)

“Model for Specialized Intellectual Property Court in Developing Countries”
Dr. Jumpol Pinyosinwat, Research Judge, The Court of Appeal
(Advisor: Prof. Ryu Takabayashi, Law School, Waseda University)

“Research experience between Thailand and Japan with JSPS programs”
Dr. Takuya Nihira, Professor, Osaka University
-Coordinator of JSPS Asian Core Program “Next-generation bioproduction platform
leveraging subtropical microbial bioresources” with Mahidol University and Vietnam
National University Hanoi since 2009
-Host Researcher of JSPS BRIDGE Fellowship Program FY 2010 (Re-visitor: Dr. Busaba Yongsmith, President, JAFT and Professor, Kasetsart University)

2012年2月1日(水)、バンコク市内インペリアル・クイーンズパーク・ホテルにて開催されたthe 23rd Annual Meeting of the Thai Society for Biotechnology(TSB2011:第23回タイ・バイオテクノロジー学会年次総会)の一環として開催されたJSPS-NRCT-NSTDA Joint Meetingに、当センターよりセンター長及び副センター長が出席し、冒頭の挨拶をのべました。会場には約50名の参加者が集まり、順次8件の研究発表が行われました。

会場の様子

会場の様子


これは、大阪大学とマヒドン大学、ハノイ国家大学の間で2009年度より実施されているアジア研究教育拠点事業(Acore)「亜熱帯微生物資源を活用する次世代物造りバイオ技術の構築(英文:Next-generation bioproduction platform leveraging subtropical microbial bioresources)」のシンポジウムとして開催されたもので、日本側コーディネーターである大阪大学生物工学国際交流センターのセンター長 仁平卓也教授よりお声掛けいただきました。

仁平教授には、2010年度BRIDGE Fellowshipの受入れ研究者になっていただいたほか、この翌々日に開催の、第3回JSPSタイ同窓会総会及び論博メダル授与式(論文博士号取得希望者に対する支援事業による博士号取得に対するメダル授与式)に特別講演者としてご参加いただくなど、タイにおけるJSP活動に深くご協力いただいております。

当センターの2代前のセンター長である吉田敏臣(よしだ・としおみ)現大阪府環境農林水産総合研究所長(Director, Research Institute of Environment, Agriculture and Fisheries, Osaka Prefectural Government)も参加されており、現センター長との意見交換に花を咲かせました。

当センターとしては今後ともJSPS事業活動への支援を続けていきたいと思います。

吉田元センター長、竹内現センター長

吉田元センター長、竹内現センター長

2012年1月31日(火)、当センターメンバー全員で東北部コラート別名ナコンラーチャシーマ(Korat, Nakhon Ratchasima)のスラナリー工科大学(Suranaree University of Technology)を表敬訪問しました。当センターの2011年度(4月から翌年3月まで)計画の一つで、タイ国内で認定されている研究型国立大学を表敬し、事業紹介をしようという一環です。これまでにバンコク市内のカセサート大学、チュラロンコン大学、タマサート大学、キングモンクット工科大学、マヒドン大学のほか、北部チェンマイ大学及び東北部コンケン大学を訪れており、これで9大学目です。

左二人目から、Asst. Prof. Dr. Padej Paolaor, Assistant Rector for Student Affairs, Dr. Guntima Sirijeerachai副学長, Prof. Dr. Sukit Limpijumnong副学長、センター長、タイ人スタッフ

左二人目から、Asst. Prof. Dr. Padej Paolaor, Assistant Rector for Student Affairs, Dr. Guntima Sirijeerachai副学長, Prof. Dr. Sukit Limpijumnong副学長、センター長、タイ人スタッフ


スラナリー工科大学(SUT)は非常に若い大学で、昨年2011年に20周年を迎えたばかりです。理学、工学、社会技術、農業科学、医学、看護の全6学部からなり、学生数は学部生10,000人、院生が2,000人。このうち6,000人ほどがキャンパス内の寮に暮らしており、小規模大学大学ならではの学生との一体化を目指していることが伺えます。

また、SUTはタイ国内では少数派のAutonomous University(自治大学)で、一般の国立大学に比べて政府の関与が小さく、裁量の範囲が広いことが特徴です。
今回は教育担当副学長(Vice Rector for Academic Affairs)であるProf. Dr. Sukit Limpijumnong及び学生担当副学長(Vice Rector for Student Affairs)のDr. Guntima Sirijeerachaiにお会いすることができました。

80パーセントを超える教員のPh.D.保有率は国内トップで、総合大学ではない工科大学として尖鋭化していこうという姿勢の現れと言えるでしょう。研究者の自己資金により一定期間の教育業務の離れることができる制度や、SUTの資金により一定の大学に出て、その後SUTに就職するといった制度がもうけられているということです。政府からの研究費のほかに寄付金による独自の研究資金も用意されています。
学生には卒業要件として企業でのインターンシップを課しており、2週間程度の短期ではなく一ヶ月を超える実地研修を経ることで、勉強への刺激もさることながら、社会人を育てる取り組みを行っています。
当センター長から若手研究者向けの事業紹介セミナーの開催を提案したところ同意が得られました。6月末を予定している現センター長離任までの間で日程調整をしていくことになります。

当センターでは今後も大学訪問及び事業紹介セミナーを継続していく所存です。

コラートのシンボル、タオ・スラナリー像にお連れいただきました。

コラートのシンボル、タオ・スラナリー像にお連れいただきました。

2012年1月20日(金)、関西大学の理事・化学生命工学部長である田村裕(たむら・ひろし)教授が当センターを来訪されました。

関西大学では近日中にバンコク・オフィスを開設する予定で、すでにチュラロンコン大学石油化学部内にスペースを確保したということです。当面、過去に関西大学の田村先生の研究室に留学をされていたDr. Chutima女史が駐在されるということです。

当センターからは、10月15日のJSPS-NRCTセミナーに際して作成したタイにオフィスのある日本の大学のポスター一覧をご紹介し、各大学との住み分けや連携などをご提案させていただきました。

なお、田村先生とはこれが2度目の対面で、前回は12月のミャンマー出張の際に、ICSE会場でお会いしました。日本からの講演者として招待を受けておられ、ご講演の順番がセンター長によるJSPS事業紹介の後であったことから、ミャンマーとのJSPSプログラムの申請について非常にサポーティブなコメントをいただきました。

再びバンコクでお一緒することになるとは、嬉しい驚きとなりました。

Dr. Chutima、田村教授、センター長

Dr. Chutima、田村教授、センター長

2012年1月20日(金)、大分大学より平田利文(ひらた・としふみ)教授、内田智久(うちだ・ともひさ)助教および吉野恵美子(よしの・えみこ)国際交流課主任が、当センターを来訪されました。今回の来タイ目的は、1月21-22日にバンコク市内サイアム・パラゴンで開催のOCSC国際教育エキスポへの参加ということです。学生のリクルートもさることながら、大分大学や大分そのもののアピールから始められれば良い、ということでした。

平田教授はASEAN全域でのシチズンシップ教育のありようを比較研究されており、内田助教はタイ・台湾・ベトナムなどを中心にピロリ菌の研究をしておられます。昨年6月にも当センターを訪問いただいたほか、同じ研究課題から山岡教授や川本教授にもご訪問いただいております。

さらに、大分県では宮崎県と連携して、医療系の民間企業・県・大分大学を中心とする東九州メディカルバレー構想が立ち上がっており、その一環としてアジア地域の医療系人材の育成も視野にあるなど、東南アジアに対して高い関心を持っておられます。

なお、同行された吉野主任は、過去にJSPS国際協力員としてワシントン・センターに派遣されたいたことがあり、目下、当センターが取組んでいるオフィスの移転・JASSOとの共用についても、派遣当時、JSTとのオフィス共用をされたということで大先輩にあたることがわかりました。

当センターとしては、大分大学のさらなる東南アジア進出を応援すると同時に、地域をも巻き込んだエッジのきいた大学運営について学ばせていただきたいと思います。

吉野主任、内田助教、平田教授・評議員、センター長

吉野主任、内田助教、平田教授・評議員、センター長

2012年1月19日(木)、京都大学情報学研究科より荒井修亮(あらい・のぶあき)教授が当センターを来訪されました。

荒井教授の来訪は昨年度に続いて2度目で、前回と同様、SEASTAR2000の第12回シンポジウム開催について当センターとの共催をご提案くださいました。当センターとしては喜んで了承させていただきました。

今回、The 8th International Symposium on SEASTAR2000 and Asian Bio-logging Science (The 12nd SEASTAR2000 は、2012 年2月20-21日にバンコク市内 Bangkok Cha-Da Hotel にて開催されるということで、当センターとしても参加させていただく予定です。

なお、2月3日に開催するJSPS-NRCR RONPAKU Medal Award Ceremonyについてご紹介したところ、今回の表彰者の一人で2010年度にPhDを取得されたDr. Kanjana Adulyankosol, Senior Researcher, Marine and Coastal Resources Research Center (Upper Gulf)のことをよくご存じということで、彼女の琉球大学での論文博士号取得についての背景などを逆にご説明いただきました。

すでに終了した拠点大学交流事業が特に顕著ですが、二国間・多国間での継続的なプロジェクト運営による、東南アジア地域での人材育成への貢献は、計り知れないものがあることを改めて感じました。当センターでは引き続き、当地域における事業運営に最大限の支援を行っていきたいと思います。

荒井教授、センター長

荒井教授、センター長

2012年1月19日(木)、バンコク市内エメラルドホテルにて、東京工業大学がタイのカセサート大学、フィリピンのフィリピン大学と実施するアジア研究教育拠点事業(A-core)「アジアにおける都市水環境の保全・再生のための研究教育拠点(Establishment of Core Institutions for Preservation and Restoration of Urban Water Environments in Asia)」の2011年度運営員会が実施されました。

吉村教授MCによる、来年度のセミナー開催地について議論

吉村教授MCによる、来年度のセミナー開催地について議論

当センターは、東京工業大学のコーディネターである吉村千様(よしむら・ちひろ)教授よりご招待をいただき、センター長および副センター長が参加して、活動紹介を行いました。
当課題は2010年度より実施され、初年度のセミナーおよび運営委員会をフィリピンで実施し、今回が2度目の開催です。3つに分かれているワーキンググループより研究発表を行った後、運営委員会の席で、それぞれの代表者から進捗状況が発表されました。

第1グループの状況報告をするSaavedra V. Oliver C.東工大准教授

第1グループの状況報告をするSaavedra V. Oliver C.東工大准教授

なお、この会場でフィリピンDe La Salle UniversityのProf. Dr. Susan M. Gallardoとの知遇を得ることができました。当センターでは3月23日に、同じくDe La Salle Universityへフィリピン論博同窓会(PRF: The Philippine Society of JSPS Ronpaku Fellows)のProf. Dr. Maricar S. Prudente会長を訪ねる予定でいるところ、彼女もPRFのメンバーとして参加可能であることや、JSPSの対応機関である科学技術省(DOST : Department of Science and Technology)の担当者も招いてはどうか、といった提案をいただきました。

当センターとしては、当日のフィリピン側アレンジについてはProf. Dr. Maricar S. Prudente会長にお任せしていることから、まずは現状の確認を行い、その上で要望を出す旨考えております。

活動紹介するセンター長

活動紹介するセンター長

2012年1月18日(水)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)バンコク駐在員事務所にて、タイJSPS同窓会(JSPS Alumni Forum of Thailand)の第7回理事会が開催され、9名の理事がセンター長を交えて議論を行いました。

2011年10月15日に社会科学の研究者を招いた開催したJSPS-NRCTセミナーの報告、2012年1月10日に国立がん研究所で行ったDr. Danai TiwawechのBRIDGE Fellowshipによる日本滞在報告会についての報告のほか、当センターの2011年度事業計画であった9か所の研究型大学の訪問が完結する見込みであることなどの報告をセンター長が行いました。

また、前回の理事会で結論持ち越しとなったJAFTロゴについて大胆なデザイン変更案が提案されたほか、タイ国内での正式な登録のためには“Association”という単語を用いる必要があることから同窓会名の変更などが議論され、2012年2月3日に開催予定の同窓会総会にかけられる見通しとなりました。なお、今回の総会では、同窓会長および理事会メンバーの改選も予定されています。

当センターでは今後ともJAFTと連携協力しながらタイでの事業展開を進めていく所存です。

参加者は以下の通り。
1. Dr. Busaba Yongsmith, President
2. Dr. Paritud Bhandhubanyong, Vice President
3. Dr. Boonchai Techaumnat,      Secretary
4. Dr. Malee Uabharadorn, Treasurer
5. Dr. Porphant Ouyyanont, Public Relation
6. Dr. Sunee Mallikamarl, Committee
7. Dr. Suvit Vibulsresth, Committee
8. Dr. Chalermkiat Songkram, Committee
9. Dr. Songsri Kulpreecha, Committee
10. Dr. Wataru Takeuchi, Director, JSPS Bangkok Office

議事録はこちらです。
議事録

2012年1月17日(火)、東京大学生産技術研究所に所属で、現在バンコク郊外のアジア工科大学(AIT)に派遣されている川崎昭如(かわさき・あきゆき)准教授が当センターを来訪されました。

10月の洪水で甚大な被害を受けたAITについて、センター長および関達治(せき・たつじ)大阪大学バンコク教育研究センター長に報告、雑談をされました。

日本より提供された重機によってキャンパスのあるパトゥンタニ(Pathumthani)の排水が思いのほか早く進んだことや、現在はフアヒン(Hua-Hin)にあるStamford International Universityの施設を借り受けて開講していることなどが伝えられました。フアヒンでは交通上の安全確保が難しく、AITとしても早い段階でのパトゥンタニへの復帰を目指しているということです。

当センターとしても、当初はAITへの表敬訪問を考えておりましたが洪水により断念したこともあり、4月から始まる来年度中には一度、足を運びたいと考えております。

関センター長、センター長、川崎准教授

関センター長、センター長、川崎准教授

2012年1月10日(火)、JASSOより駒場一永(こまば・かずなが) 財務部次長、鈴木昇(すずき・のぼる)財務部経理課長、糸川佳秀(いとかわ・よしひで)財務部経理課契約係長および堤逸郎(つつみ・いつろう)留学生事業部留学生事業計画課課長補佐が、萩原隆史 タイ事務所所長とともに当センターを訪問されました。

今回のタイ出張は、今年度中を目標とする当センターとJASSOタイ事務所の事務所共用・移転についての現地視察ということです。

JSPS-NRCTセミナーの写真をお見せしながらの説明

JSPS-NRCTセミナーの写真をお見せしながらの説明


当センター事務所内を視察された後、当センター長より昨年10月15日に開催したJSPS-NRCTセミナー「Study and research opportunities in Japan and perspective of Thailand by Japanese social scientists(日本への留学・研究機会の紹介と日本の社会科学者から見たタイの将来展望)」にて、萩原所長にJASSO事業のプレゼンのしていただくなど、事務所というハードウェアだけではなく、ソフト面でも共用を図っていることなどを説明させていただきました。

なお今後の予定として、事務所の共用・移転については、2月初めに新しいスペースの賃貸契約を結び、約1ヵ月間の内装工事をへて、3月中に引越し作業を行う予定です。

左から萩原所長、鈴木課長、センター長、駒場部長、糸川係長、堤課長補佐

左から萩原所長、鈴木課長、センター長、駒場部長、糸川係長、堤課長補佐

2012年1月10日(火)、国立がん研究所(NCI: National Cancer Institute)にてJSPS事業説明会を兼ねたBRIDGE Fellowship(BF)報告会を開催し、約40名の参加者がありました。

これは、昨年6月21日にカセサート大学で開催した第一回のBF報告会にご参加いただき、研究計画を発表いただいた、NCIのDr. Danai Tiwawech, Senior Scientist Level 8, Chief of Cancer Biology Section, Research Divisionが、8月21日から9月30日までの日本再訪問を終えての報告会です。

JSPS事業説明会として、センター長による事業紹介のほか、論文博士号取得希望者に対する支援事業(論博事業)により2009年度に博士号を取得され、2011年2月のメダル授与式に出席いただいたDr. Archawin Rojanawiwat, Clinical Research Center, Department of Medical Sciences, Ministry of Public Healthにもご参加いただきました。

Dr. Danai Tiwawech

Dr. Danai Tiwawech

NCIからはDr. Thiravud Khuhaprema所長から開会のご挨拶をいただいたほか、Dr. Sukumal Sawangwaree研究部門長にモデレーションを務めていただきました。

Dr. Danaiからは、研究集会でたまたま知り合いになったことで東京大学理学研究科へ論博研究生として渡日したこと、今回のBFにおいても引き続き東京大学理学研究科の石田貴文 准教授のもとを訪ねたことなどが紹介されました。また、今回の再渡日をきっかけに今後数年のうちに20件にのぼる共同研究計画が持ち上がったということで、非常に有意義で前向きな研究活動、ネットワーキングが展開されていることをうかがい知ることができました。

Dr. Archawinからは、拠点大学交流事業への関与をきっかけに長崎大学への論博事業申請が行われたことが紹介されました。長崎での非常にフレッシュな研究生活が伝えられ、参加者達の興味を引きました。

当センター長からの事業紹介としては、一度の申請だけで終えるのではなく、採用されるまで何度でも何度でも挑戦し続ける重要性を訴えましたが、今回講演いただいたお二人ともが2度目の申請によって論博の採用を勝ち取っており、諦めない粘り強さの大切さが証明された格好となりました。

当センターとしては引き続き、JSPS事業経験者との連携を図りながら、粘り強い活動を行っていきたいと思います。
当日のプログラム
9:00-9:30 Registration
9:30-9:35 Opening remarks from National Cancer Institute
– Dr. Thiravud Khuhaprema, Director, National Cancer Institute
9:35-9:40 Welcome address from JSPS Bangkok office
-Dr. Wataru Takeuchi, Director, JSPS Bangkok Office
9:40-10:00 Introduction of JSPS activity in Asia (Q&A included)
-Dr. Wataru Takeuchi, Director, JSPS Bangkok Office
10:00-10:30 Research experience in Japan for Ph. D. and report from recent trip to Japan as a BRIDGE fellowship program awardee FY2011 from Thailand (Q&A included)
-Dr. Danai Tiwawech, Senior Scientist Level 8, Chief of Cancer Biology Section, Research Division, National Cancer Institute
10:30-11:00 Research experience in Japan for Ph. D. as a RONPAKU program awardee from Thailand (Q&A) included
-Dr. Archawin Rojanawiwat, Clinical Research Center, Department of Medical Sciences, Ministry of Public Health

11:00-11:30 Open discussion

2012年1月9日(月)、オフィス最寄りの日本食店「みつもり」にて、サーミットタワー10階情報交換会が開催され、センター長および副センター長が出席しました。
これは当センターが入居するサーミットタワー・ビル低層棟に隣接する高層棟の10階に、日本の学生支援機構(JASSO: Japan Student Service Organization)、国際交流基金(JF: Japan Foundation)、日本政府観光局(JNTO: Japan National Tourism Organization)がオフィスを構えており、その交流と情報交換を行うものとして、原則毎月第一水曜日にランチミーティングが開かれているものです。(今回は都合により日程変更)
当センターも今年度中にはJASSOとの事務所共用で高層棟10階へ移転することが決まっていることから、お誘いを受けての参加となりました。
情報交換会自体は今回が3回目で、参加者は以下の通りです。

JASSO:萩原隆史 所長
JF:嘉数勝美(かかず・かつみ) 所長、内田裕(うちだ・ゆたか) 副所長、平林豊文(ひらばやし・とよふみ) 所員
JNTO:益田浩(まずだ・ひろし) 所長、高垣ひとみ(たかがき・ひとみ) 次長、天野泉(あまの・いずみ) 次長
JSPS:竹内渉 センター長、田辺寛明 副センター長

年始のあいさつをすると共に、4月からの新年度の事業予定などの情報交換を行いました。事務所が隣接していてもお互いに話したことはないという状況がえてして生じやすいものです。日本の情報を発信する機関として、できることから連携・協力を図っていく第一歩として顔の見える交流を行うことの大切さを実感した次第です。

左から天野、内田、益田、萩原、竹内、田辺、嘉数、平林、高垣(敬称略)

左から天野、内田、益田、萩原、竹内、田辺、嘉数、平林、高垣(敬称略)

2011年12月16日(金)、当センターメンバー全員で対応機関であるタイ国家学術評議会(National Research Council of Thailand(NRCT))を表敬訪問しました。我々の訪問は今年度2度目、通算で5度目になります。

今回の目的は11月1日に新たに国際部長(Director, Office of International Affairs)に就任されたMs. Pimpun Pongpidjayamaadへのご挨拶と、来年2月3日(金)に予定している論文博士号取得希望者に対する支援事業(論博)による博士号取得者へのメダル授与式へのご協力と出席の依頼です。

冒頭、Ms. Pimpunより自己紹介がありました。前職は同じくNRCT内の経済・平和構築部部長(Director, Economic and Peace Creation)であると同時に、NRCTの研究部門に病理学の研究スタッフ(Pan Pathologist)として20年以上勤務されていたということです。
国際部長への就任からまだ日が浅く、目下、精力的に勉強中とのことでした。

その後、当センター長よりJSPS事業及びNRCT-JSPS間の長年の協力関係について、特に論博や年に2-3回の共催セミナーの開催を中心に説明差し上げました。短い時間ながら、Asia Africa Sectionの課長であるMr. Sawaeng Jongsutjarithamの解説もはさみつつ、ご理解いただきました。

2月3日(金)のメダル授与式については、NRCTからの代表者によるご挨拶など、例年通りのご協力をいただけることで合意に至り、用意したプログラム案を土台に準備を進めていくことになりました。

当センターとしては今後ともNRCTとの緊密な連携をタイにおける第一義の課題として維持・強化していきたいと思います。

左からPimpun新部長、センター長

左からPimpun新部長、センター長

2011年12月14日(水)、当センターメンバー全員でタイ南部ハトヤイ(Hat Yaiハジャイともいう)のプリンス・オブ・ソンクラー大学(Prince of Songkla University)を表敬訪問にしました。当センターの2011年度(4月から翌年3月まで)計画の一つで、タイ国内で9つ認定されている研究型国立大学を表敬し、事業紹介をしようという一環です。これまでにバンコク市内のカセサート大学、チュラロンコン大学、タマサート大学、キングモンクット工科大学、マヒドン大学のほか、北部チェンマイ大学及び東北部コンケン大学を訪れており、これで8大学目です。

プリンス・オブ・ソンクラー大学(PSU)は1971年に設立された比較的若い大学で、大学病院のほかタイ南部に5つのキャンパスをもつ総合大学です。全30学部に37,000人の学生を抱え、このうち学部学生31,000人、博士課程学生が1,000人という、国内でも屈指の規模を誇ります。QS国際大学ランキングでは、マヒドン大学(Mahidol University)、チュラロンコン大学(Chulalongkorn University)、チェンマイ大学(Chiang Mai University)、タマサート大学(Thammasat University)に続いて国内5位。

今回は研究教育担当副学長(Vice President for Research and Graduate Studies)であるAssoc. Prof. Dr. Chusak Limsakulをはじめとする計5名のPSU幹部教員のほか、JSPS事業によりPSUと長く協力関係にある金沢大学理工研究域環境デザイン学系 古内正美 教授にも同席いただきました。

PSUの特徴として、800床の大型の大学病院のほか、歯学部のなかに歯科病院があるなど、教育研究だけでなく、南部における医療の拠点にもなっていることがうかがえます。また、金沢大学とは、2006年からJSPS二国間交流事業、その後はJENESYS東アジア首脳会議参加国からの招聘事業などで継続的に共同研究を行っていることが説明されました。

当センターから、そういった実績をベースとしてAA-Platform(アジア・アフリカ学術基盤形成事業)やCore-to-Core(研究拠点形成事業)への申請をお勧めしたところ、タイ側で用意するべきマッチングファンドについて、既存の課題がどういった資金を用意しているのか、という質問が寄せられました。

また、当センター長から若手研究者向けの事業紹介セミナーの開催を提案したところ同意が得られ、金沢大学との共同研究のカウンターパートであり、工学部准教授でもあるAssoc. Prof. Dr. Perapong Tekasakul研究開発オフィス室長(Director, Research and Development Office)と今後、調整を進めていくことが決まりました。

翌12月15日(木)、工学部にAssoc. Prof. Dr. Perapong Tekasakulを訪ね、2009年3月までの金沢大学との二国間交流事業について、その事業報告を受けました。事業期間中に修士3名、学士5名を輩出したほか、国際ジャーナルに論文を7本掲載したことなど伝えられ、当方からは再度、この実績を土台としてCore-to-CoreやAA-platform事業へ申請することを提案し、前向きな回答を得られました。

続けて、理学部に助教のAsst. Prof. Dr. Anchana Prathepを訪ねました。2002年から10年間実施された東京大学大気海洋研究の拠点大学交流事業について、その事業報告を受け、若手研究者を巻き込むことができるものとして他国のファンドと比較して高い評価を得ていることが伝えられました。
また、マングローブ林等とならんで海藻が生物多様性の評価基準となり得ることや、Blue Carbonという新しい概念について説明を受け、タイを中心とした東南アジア地域での更なる研究発展の可能性を感じることができました。

PSUには、JSPSタイ同窓会理事で、外国人特別研究員事業で日本に滞在したDr. Challermkiat Songkramがいるほか、上記のように小型・大型の交流事業参加者がいることから、来年度はじめを見込む事業紹介セミナーでは、これまでにない多彩な事業経験談を聞くことができそうで、今から楽しみです。

当センターでは今後も大学訪問及び事業紹介セミナーを継続していく所存です。

2011年12月13日(火)、JASSOより金城太一 政策企画部総合計画課長および岩原禎彦同課企画係長が萩原隆史 タイ事務所所長とともに当センターを訪問されました。

今回のタイ出張は、今年度中を目標とする当センターとJASSOタイ事務所の事務所共用・移転についての現地視察ということです。

お話の中で、事務所共用後の事業の共用の一環として、タイJSPS同窓会(JAFT)メンバーの協力を仰いで、日本渡航の経験談を高校生や大学生を対象に語ってもらうといったことが提案されました。

その一つで、2012年3月10-11日には、在タイ日本大使館およびバンコク日本商工会議所の共催で就学・就職セミナーが開催されることから、まずはそこへの参加を検討されたい旨の依頼があり、当センターとして来年1月18日(水)に開催される第7回理事会のなかで諮ってみることをお伝えしました。

今後とも協力体制を深めていきたいと思います。

萩原所長、岩原係長、金城課長、センター長

萩原所長、岩原係長、金城課長、センター長

2011年12月5日(月)から11日(日)まで、センター長および副センター長がシンガポールに出張しました。12月6-9日にMarina Mandarin Singaporeホテルにて開催のAPRSAF-18(The 18th Session of the Asia-Pacific Regional Space Agency Forum)に参加し、各国から参加している宇宙開発研究機関に対し、日本発のファンドとしてアピールを行うことが目的です。

APRSAFはアジア太平洋地域宇宙機関会議と訳され、アジア太平洋地域における宇宙利用の促進を目的として1993年に設立されました。各国の宇宙機関や行政機関をはじめ、国連などの国際機関や民間企業、大学・研究所などが参加する、アジア太平洋地域で最大規模の宇宙関連会議です。1993年以来17回の国際会合を開いており今回が18回目、シンガポール宇宙技術協会(SSTA: Singapore Space and Technology Association)、シンガポール国立大学リモートセンシングセンター(CRISP: Center for Remote Imaging, Sensing and Processing, NUS: National University of Singapore)、が日本の文部科学省(MEXT)および JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共催しました。(MEXT、JAXAは毎年共催)

シンガポール及び日本のほか、オーストラリア(DIISR)、インド(ISRO)、カザフスタン(KAZCOSMOS)、マレーシア(ANGKASA)、韓国(KARI)、タイ(GISTDA)、ベトナム(VAST)、アメリカ(NASA)の各国代表機関のほか、国連機関(UNCOPUOS、UNESCAP)やASEANの関連部会(ASEAN SCOSA)、国際機関(IAF)が参加する大規模な会合となりました。

当センターがこの場でJSPSのアピールを行うには大きく分けて2つの理由があります。

1. 現在、JSPSのA-core(アジア研究教育拠点事業)に宇宙関連課題はなく、アジア地域においてJSPSのカバーする研究領域の多様性を広げる意味で重要であること。
2. 2012年(平成24年)度以降、アジアを専一的に対象としていたA-coreが全世界対象のCore-to-Core(研究拠点形成事業)に統合される中で、宇宙関連分野は比較的競争力が高いと考えられ、全世界競合のCore-to-Coreにおいても採択の見込みが考えられること。
2-2. この点は更に、本会議のアジア太平洋という枠組みを利用することで、アジアを超えた研究交流に発展する可能性も秘めていること。

そうした中で迎えた会議最終日、各分科会によるSummary報告にて、共同議長(Co-Chair)であるCRISPのMr. Kwoh Leong Keong所長(Director, Center for Remote Imaging, Sensing and Processing (CRISP), National University of Singapore (NUS))によって、今後利用可能な資金としてアジア開発銀行や国連機関とならんで、JSPSの名前が読みあげられました。

利用可能なファンドの一つとして国連機関等とならんでJSPSの名を読み上げる共同議長Mr. Kwoh Leong Keong, Director, CRISP, NUS

利用可能なファンドの一つとして国連機関等とならんでJSPSの名を読み上げる共同議長Mr. Kwoh Leong Keong, Director, CRISP, NUS

今後の申請に期待したいと思います。

なお、APRSAF-19は来年オーストラリアのパースで開催されることとなりました。

2011年12月5日(月)から11日(日)までの出張期間中、センター長および副センターでJST(Japan Science and Technology Agency科学技術振興機構)シンガポール事務所および理化学研究所シンガポール事務所を訪問しました。

JSTシンガポール事務所では、交換共有資料の補充をしたほか、山下篤也所長よりシンガポール及び東南アジアにおける研究事情の説明をいただきました。たとえば、アジア各国からJSPS事業に採択され、日本での滞在期間を終えた後にシンガポールに移られた研究者は多く、そういった方々の口コミによって、シンガポール在住またはシンガポールに訪問してくる各国研究者に対し、JSPS事業への申請が促されているという実態があるようです。

また、シンガポールおいては基礎研究離れが進んでおり、産業への移転や産業界とのマッチングが進められていることは以前にもお聞きしているとおりですが、周辺の各国においてもその兆候があるということです。たとえば、ヴェトナムやインドネシアにおいても、JSTシンガポール事務所がシンガポールで行っている、産業界を招いての研究発表会(マッチングを見込む)について、開催の引き合いがあるとのこと。
これには、国家として初等中等教育はカバーできたとしても高等教育にまで手が回らない中で、教育関係省庁にかわって商産業・通商系の省庁により進められるという、経済的な背景があるようです。

なお、JSTシンガポール事務所周辺では、すでにあるBiopolis、Fusionpolisに続いて、Mediapolisの建設が計画されているということです。

センター長、山下所長

センター長、山下所長


次に、理化学研究所シンガポール事務所では、柿原健一郎所長と東南アジア地域における科学技術動向について意見交換するとともに、2012年2月24-25日にバングラデシュのダッカにて開催するバングラデシュ同窓会セミナーへの、同窓会側からの要請である理研所属研究者の派遣について相談しました。
これについては年明け、早ければ年内にもお答えをいただける予定です。

当センターでは今後とも両シンガポール事務所を緊密な連携を取っていきたいと思います。

2011年11月14(月)日から16日(水)まで、センター長及び副センター長がバングラデシュへ出張しました。バングラデシュ出張は昨年12月に続いてこれで2度目。今回の目的は、来年2月に開催予定のバングラデシュJSPS同窓会(BJSPSAA: Bangladesh JSPS Alumni Association)の第3回科学シンポジウム(仮)に向けた打合せです。

1. 前列左からセンター長、Prof. M. Tofazzal Islam事務局長、Dr. Imamul Huq筆頭副会長、福井主任、大村書記官

1. 前列左からセンター長、Prof. M. Tofazzal Islam事務局長、Dr. Imamul Huq筆頭副会長、福井主任、大村書記官

バングラデシュにおけるJSPS同窓会活動については、従来JSPS東京本部が直接に関与・管轄しておりましたが、同窓会業務を担当する里見昭彦(さとみ・あきひこ)人物交流課長と当センター長の間で話合いが持たれ、今年9月以降、当センターが間に入ってコーディネートすることが決定されました。これに伴い、毎年開催されるBJSPSAAシンポジムについても、その運営部分を当センターが担当することになった次第です。

11月14日、BJSPSAA理事メンバーとの打合せを夕方に控え、研究者国際交流センター(JSPS Fellow Plaza)の福井育夫(ふくい・いくお)主任及び小島昌夫(こじま・まさお)現地コーディネーターとともに、在バングラデシュ日本大使館に大村浩(おおむら・ひろし)一等書記官を訪ねました。大村書記官はBJSPSAAの立上げ以来、大変にご尽力いただいている方で、今回のシンポジウム開催についても種々のご協力を賜っています。

BJSPSAAとしては、シンポジウムの日本側主賓としてノーベル賞受賞者を要望していますが、これは日程の調整等の関係で非常に難しい課題です。そこで、大村書記官の働きかけにより木村孟(きむら・つとむ)文部科学省顧問、元大学評価・学位授与機構理事長、元東京工業大学学長の出席への同意が取れたことを説明いただきました。このほか、来年が日本-バングラデシュ国交樹立40周年に当たることから、今回のシンポジウムもその関連行事の一つとして開催したい旨の説明をいただきました。

その後、ダッカ市内BRAC Centerを訪れ、BJSPSAA理事との打ち合わせに臨みました。
BJSPSAAからはDr. Imamul Huq筆頭副会長(Senior Vice President)、Prof. M. Tofazzal Islam事務局長(General Secretary)のほか7名の理事が参加し、シンポジムのテーマ、日程、会場、ゲスト、参加者、予算といった内容について議論が交わされました。

打合せの様子

打合せの様子

ここでの決定は概要以下の通りです。
・テーマ:Science for Society
・開催日:2月24日(金)25日(土)
・会場:バングラデシュ国立博物館オーディトリウム
・主賓:(日本)木村孟文部科学省顧問、(バングラデシュ)ハシナ首相(交渉中)
・参加者:300人、事前登録の実施
・講演者:日本より2名。BJSPSAAにて候補者リストを作成し、JSPSバンコクにて照会。
・バングラデシュにおける経理管理は小島コーディネーターに一任

翌日、会場となるバングラデシュ国立博物館を訪れ、講堂の設備等を確認し、レセプション会場の候補地として挙げられたレストランを視察しました。両会場とも問題がないことが確認され、シンポジウム開催に向けて大まかな概要が決定したことになります。

博物館の外観

博物館の外観

今後、2月24日の開催に向けて詳細部分の詰めの作業を行っていきたいと思います。

首都ダッカの様子

首都ダッカの様子

2011年11月30日(水)から12月3日(土)まで、センター長および副センター長がミャンマーに出張しました。目的は、ヤンゴン市内セドナホテルで12月1-2日に開催されるICSE 2011 (The 3rd International Conference on Science and Technology)に参加し、JSPSの事業紹介を行うことです。

ICSEは2009年よりミャンマーの科学技術省(MOST: Ministry of Science and Technology)が開催しており、ミャンマー全土及び海外からも主に工学関係の研究者を招へいして行われる国際シンポジウムです。ミャンマーにおいてはほぼ唯一と言っていい国際的な科学研究集会で今回が3回目となります。

招待講演者による記念撮影

招待講演者による記念撮影

ミャンマーのほか、中国、オーストラリア、シンガポール、ドイツ、アメリカ、マレーシア、イスラエル、タイ、アラブ首長国連邦、日本の10カ国から約150人の研究者が参加し、分科会形式でそれぞれに研究発表を行いました。その分野は機械工学、電気、電力、電子機械、情報、物理、化学、土木、生物工学、リモート・センシング、数学の多岐にわたり、ミャンマーの科学技術動向を観察する上ではまたとない機会です。

開会式では科学技術副大臣H. E. Dr. Ko Ko Ooが登壇して挨拶を述べるなど、ミャンマーが国を挙げて科学技術振興に踏み出している熱気が伝わりました。

H. E. Dr. Ko Ko Oo副大臣

H. E. Dr. Ko Ko Oo副大臣

当センター長が自身の研究発表と兼ねてJSPS事業紹介を行ったところ持参したブローシャー300部がすべて配布されるなど、外国資金による人材育成に対する関心も非常に高いものがあります。事業紹介後には、スウェーデン王立工科大学で学位を取得され、MOSTの科学技術研究部門の元長官でありスウェーデン名誉領事でもあるDr. Myint Hanがコメントを述べられ、長期間にわたって孤立した状況にあった当国における、海外で研鑽を積む機会を得ることの重要性を確認されました。

事業紹介をするセンター長

事業紹介をするセンター長

なお、シンポジウム期間中、急きょMOST傘下の科学技術系大学の幹部職員と当センターとの会談の席が設けられました。ミャンマー側の参加者は科学技術副大臣H. E. Dr. Ko Ko Ooを筆頭に、国内における工学系大学の最高峰にあたるヤンゴン工科大学及びマンダレー工科大学の両校の学長であるProf. Dr. Mya Mya Oo、学生数で最大を誇る西ヤンゴン工科大学の学長補Prof. Dr. Thingi 及びマウビン工科大学の学長補Prof. Dr. Zaw Min Naingの4名です。

会談では、ミャンマー国内の高等教育事情について概要以下のことが伝えられたほか、国内のインターネット環境をかんがみて、全世界に向けて開かれているJSPS事業について、JSPSから直接に募集案内をもらえないか、といった要望がありました。
-全国に170大学あり、すべて国立大学。学費は年間1ドル程度。
-大学は、主に教育省(MOE: Ministry of education)と科学技術省(MOST)が管轄しており、後者が科技系大学を、前者がそれ以外を担当している。この他に、林業省と鉱物省がそれぞれ一つ専門の大学を持っている。
-MOST傘下には、32の工学系、25のコンピューター科学、1つの宇宙科学系の大学があり、約10万人の学生を抱えている。
-博士号を持つ教員の80パーセント以上はミャンマー国内で取得しており、大学間、教員間でのコミュニケーションは円滑である。
-特に力点を置いているのは、生物化学、ICT、工業・生産科学、宇宙科学の4分野である。
-ヤンゴン工科大学とマンダレー工科大学は大学院大学で、教員数がそれぞれ250と140、学生数は600と100である。

当センターとしては、今後の連携への期待を抱きつつ、当該会談内容についてJSPS本部に委細もれなく報告する旨お約束しました。

会談の様子

会談の様子

12月3日はヤンゴン工科大学を訪ねて出張講義を行いました。Dr. Mya Mya Oo学長を初めとする教員陣と話をする中で、JSPS-JICA科学技術研究員派遣事業による研究者派遣の可能性が見出され、土木工学を中心とした工学一般分野での協力について具体的な検討を行っていく予定です。

今回の出張は、折しもアメリカのクリントン国務長官のミャンマー初訪問と時期が重なりました。当センターとしては今後も、今まさに門戸が開かれつつあるミャンマーを注視し、連携の可能性を探っていきたいと思います。

左からDr. Kyaw Sann Oo, 副センター長, センター長, H. E. Dr. Ko Ko Oo, Prof. Dr. Mya Mya Oo, Prof. Dr. Thingi, Prof. Dr. Zaw Min Naing

左からDr. Kyaw Sann Oo, 副センター長, センター長, H. E. Dr. Ko Ko Oo, Prof. Dr. Mya Mya Oo, Prof. Dr. Thingi, Prof. Dr. Zaw Min Naing

2011年11月8日(火)及び9日(水)、コンケン大学及び同大学人文社会学部にてJSPS事業説明会を実施し、若手研究者を中心に2日間で約100名の参加がありました(8日80名、9日20名)。

これは、コンケン大学教員でタイJSPS同窓会(JAFT)メンバーでもあるAssoc. Prof. Dr. Sukanya Aimimtham人文社会学部計画・情報担当副学部長(Associate Dean for Planning and Information, Faculty of Humanities and Social Sciences)に、6月15日にカセサート大学で実施したJSPS事業説明会兼BRIDGE Fellowship報告会に講演者として参加していただいたほか、10月15日に開催したJSPS-NRCTセミナー「Study and research opportunities in Japan and perspective of Thailand by Japanese social scientists(日本への留学・研究機会の紹介と日本の社会科学者から見たタイの将来展望)」にもご参加いただいたことで話がまとまり、実現したものです。

1. 左からDr. Kittisak、Dr. Sukanya、センター長、Prof. Dr. Suthipun副学長、医学部Dr. Bawornsin Chaochuen、Dr. Sineenat Siri

1. 左からDr. Kittisak、Dr. Sukanya、センター長、Prof. Dr. Suthipun副学長、医学部Dr. Bawornsin Chaochuen、Dr. Sineenat Siri

11月8日、JSPSの事業説明に加え、JSPS事業経験者の体験談等を披露することで若手研究者の意欲を高めることを目的に、ともにコンケン大学教員でJAFTメンバーでもあり、過去、論文博士号取得希望者に対する支援事業により日本で学位を取得されたDr. SukanyaとDr. Kittisak Sawanyawisuth医学部准教授にご参加、ご講演いただきました。

講演するDr. Kittisak

講演するDr. Kittisak

講演するDr. Sukanya

講演するDr. Sukanya

コンケン大学からは研究・技術移転担当副学長(Vice President for Research and Technology Transferring)であるProf. Dr. Suthipun Jitpimolmardより開催の挨拶をいただいたほか、理学部助教であるDr. Sineenat Siriに司会進行を務めていただきました。

今回の説明会で特徴的だったことは、Dr. SykanyaとDr. Kittisakともに論博事業の手続きや日本での体験談を話されると同時に、研究をしていくための心構えや姿勢といったものに多く言及されていた点です。日本では教授が出勤するよりも前に研究室に入っておくこと、長期的な目標をしっかりと掲げながらも今現在の取組みにこそ全力を注ぐこと、といった研究者としての覚悟が語られました。

質疑応答では、事業応募にあたって自分に適した研究者をJSPSに紹介してほしい、という発言が出たところ(どの会場でも同様の要望が出されます)、JSPS側が答える前に、自分に適した研究者・自分を受入れてくれる研究者を見つけコンタクトを取ること自体が応募プロセスの一環、引いては研究そのもの一部であるという回答が講演者側から出され、これには発言した側も納得せざるを得ない様子でした。

会場の様子

会場の様子

翌11月9日はDr. Sukanyaが所属する人文社会学部で同様の説明会を行い、研究教育担当副学部長(Research affairs and academic Services)であるDr. Maneemai Thongyouにご挨拶をいただきました。

ここでの参加者は博士課程学生が多く、直接の応募には結びつかないものの熱心な様子で説明に聞き入り、質問も多く出されました。同学部では外国語教育にも熱心で、日本語やスペイン語といった諸外国語講座の開設もさることながら、英語の発音がとてもきれいなことが印象的です。

バンコクでは多くの場合、タイ語母語者独特のイントネーションがありますが、ここではネイティブ教員の出身国であるアメリカ風の流暢な英語が聞かれ、ここにも首都と地方都市との環境の違いが表れているのか、それはハングリー精神でもあるのか、といったこと考え次第です。

当センターでは今後とも、バンコク外の大学訪問も積極的に続けていきたいと思います。

当日のプログラムは以下の通りです。
Nov 8, 2011 (Tue.)
Venue: Conference room Sirikunakorn 3, 2nd Floor, Sirikunakorn Building, Khon Kaen University
Moderator: Assist. Prof. Dr. Sineenat Siri, Faculty of Science, KKU

13:30-14:00 Registration
14:00-14:05 Opening remarks from JSPS Bangkok office
-Dr. Wataru Takeuchi, Director, JSPS Bangkok Office
14:05-14:10 Welcome address from Khon Kaen University (KKU)
– Prof. Dr. Suthipun Jitpimolmard, Vice President for Research and Technology Transferring, KKU
14:10-14:30 Introduction of JSPS activity in Asia (Q&A included)
-Dr. Wataru Takeuchi, Director, JSPS Bangkok Office
14:30-14:50 Research experience in Japan for Ph. D. as a RONPAKU program awardee from Thailand (Q&A) included
-Assoc. Prof. Dr. Sukanya Aimimtham, Associate Dean for Planning and Information, Faculty of Humanities and Social Sciences, KKU
14:50-15:10 Research experience in Japan for Ph. D. as a RONPAKU program awardee from Thailand (Q&A) included
– Assoc. Prof. Dr. Kittisak Sawanyawisuth, Department of Medicine, KKU
15:10 Open discussion

Nov 9, 2011 (Wed.)
Venue: Rm01, HS05, Faculty of Humanities and Social Sciences, Khon Kaen University

10:00-10:20 Registration
10:20-10:30 Welcome Address from Faculty of Humanities and Social Sciences, KKU
– Dr. Maneemai Thongyou, Associate Dean for Research affairs and academic Services, Faculty of Humanities and Social Sciences, KKU
10:30-11:00 Introduction of JSPS activity in Asia (Q&A included)
-Dr. Wataru Takeuchi, Director, JSPS Bangkok Office
11:00-11:20 Research experience in Japan for Ph. D. as a RONPAKU program awardee from Thailand (Q&A) included
-Assoc. Prof. Dr. Sukanya Aimimtham, Associate Dean for Planning and Information, Faculty of Humanities and Social Sciences, KKU
11:20 Open discussion

6. 人文社会学部での参加者たち。中央女性がDr. Maneemai副学部長、前列右から3番目 はAsst. Prof.Uthaivan Danvivath教育計画担当副学部長

6. 人文社会学部での参加者たち。中央女性がDr. Maneemai副学部長、前列右から3番目 はAsst. Prof.Uthaivan Danvivath教育計画担当副学部長

2011年11月8日(火)、当センターメンバー全員でコンケン大学(Khon Kaen)を表敬訪問にしました。当センターの2011年度(4月から翌年3月まで)計画の一つで、タイ国内で9つ認定されている研究型国立大学を表敬し、事業紹介をしようという一環です。これまでにバンコク市内のカセサート大学、チュラロンコン大学、タマサート大学、キングモンクット工科大学、マヒドン大学のほか、地方ではチェンマイ大学を訪問しており、これで7大学目です。

コンケン大学は1964年にタイ東北部(イサーン地方)で最初に設立され、現在では18部局に3万人の学部学生、1.2万人の大学院生、2,000人の教員を抱えるという、タイ国内でも有数の規模を誇る大学です。タイ国内でも特に貧しい地域といわれる東北部における一大教育・研究機関ということができるでしょう。現在、JSPSのアジア研究教育拠点事業とアジア・アフリカ学術基盤形成事業でも、それぞれ一課題が選定されています。

研究・技術移転担当副学長(Vice President for Research and Technology Transferring)であるProf. Dr. Suthipun Jitpimolmardにお話を伺ったところ、特に、医療、健康、食糧、エネルギー、天然資源、環境、物流、教育、先端技術、社会科学といった分野で25の研究施設と30の研究グループを形成しており、研究型大学への移行を進めている状況とのことです。今後は段階的に学生数を絞っていきながら、より研究重視の体制を作っていくとのこと。

Prof. Dr. Suthipun副学長、センター長

Prof. Dr. Suthipun副学長、センター長

前回のチェンマイ大学訪問の際もそうですが、バンコクと地方都市とでは大学の役割・位置づけが多少異なることが感じられます。多くの大学が林立するバンコクでは、大学間での役割分担が成立し、一つの大学は得意分野に絞った戦略で存在感を高めることができます。一方で、地方都市においては、チェンマイやコンケンといった拠点となる大学では求められる分野・役割が広く、その分特色を出しづらくなっている現状です。タイ国内でも大学間の競争は激しく、今後はASEAN域内での競争にもさらされることになります。地方の各大学の危機感は非常に高まっていることがうかがえます。

コンケン周辺では近年、私立大学が設立されてきており、現在進めている研究型大学への移行は地域におけるそういったバランスをみながらの果断であるものと理解されました。

なお、今回のコンケン大学表敬訪問は、事業説明会の実施と合わせて、JSPSタイ同窓会(JAFT)のメンバーでもあるAssoc. Prof. Dr. Sukanya Aimimthamコンケン大学人文社会学部計画・情報担当副学部長(Associate Dean for Planning and Information, Faculty of Humanities and Social Sciences)に全面的にコーディネートしていただきました。副学長表敬のほかに、Dr. Sukanaya自身が臨時講師を務めているという僧侶専用の公立仏教大学Mahachulalongkornrajavidyalaya Universityのコンケンキャンパスを訪問させていただき、飛び入りで「日本講座」を行いました。当大学には国際コースや修士課程、さらに博士課程もあり、お坊さんたちの日本への関心は非常に高く、出される質問にはうならされることもしばしばでした。

Mahachulalongkornrajavidyalaya Universityにて

Mahachulalongkornrajavidyalaya Universityにて

タイ全土のお寺の中でも一、二を争う美しさといわれるワット・ノンウェン(Wat Nong Wan)にも案内いただき、9層構造の最上部から市内を望むことができました。美しい湖を囲むように造成された一等地の新興住宅地はバンコクからの投機的な買いにより値段が上昇し、地元の人の購入は難しくなっているということです。

Wat Nong Wan

Wat Nong Wan

当センターとしては、特に優遇等ができるわけではありませんが、首都外の大学のあり方を念頭に置いていきたいと思います。

2011年11月7日(月)、千葉大学工学研究科より山崎文雄 教授、丸山喜久 准教授、産業技術総合研究所より松岡昌志(まつおか・まさし) 地質調査情報センター地質・衛星情報統合室室長が当センターを来訪されました。

現在バンコクでも被害の広がりを見せている洪水の現地調査ということです。救命胴衣や長靴を持参され、バンコクの北部パトゥンタニにあるナワナコン工業団地や、チャオプラヤ川西岸地域などを視察されたということです。都市の安全工学がご専門とはいえ、この時期にこの場所で水に濡れることも覚悟の研究意欲には頭が下がる思いです。

また、山崎教授はJICA-JSTの枠組みであるSATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力)でも「ペルーにおける地震・津波減災技術の向上に関する研究」を主宰しておられ、この中でもリモート・センシングを用いた地震被害予測を行われるなど、センター長の研究分野への造詣・関心も高くおられます。

なお、山崎教授と丸山准教授は、副センター長が京都大学で勤務していた際に担当していた研究プロジェクトに参加しておられ、直接ではないものの何度も連絡を取り合っていたことがわかりました。不思議なご縁を感じた次第です。

当センターでは今後とも研究と研究、人と人とを結びつける、縁の下の仕事に努めていく所存です。

丸山准教授、山崎教授、センター長、松岡室長

丸山准教授、山崎教授、センター長、松岡室長