2018年8月9日(木)、バンコク・コンベンションセンターでNRCT-JSPS-JAATセミナー「タイと日本における科学技術・学術交流-過去、現在、そして未来へ」を開催しました。 当セミナーは毎年タイ学術研究会議(NRCT)が主催するThailand Research EXPOのプログラムの一つとして、NRCT、JSPS、そしてJSPSタイ同窓会(JAAT)の共催で実施されました。 今年はJSPSとNRCTの間で結ばれた二国間共同研究・研究者交流支援に関する覚書の締結40周年という節目の年で、両組織を代表し、NRCTのProf. Dr. Sirirurg Songsivilai (Secretary-General) とJSPSの里見 進 理事長が基調講演を行いました。“NRCT-JSPS 40 years collaboration – prospect for the next 40 years” という共通のテーマに基づき、これまでの協力関係の振り返りや、今後への期待などが述べられました。
今回のセミナーでは、前述の覚書により支援を行ってきた、「二国間交流事業(タイとの共同研究)」の中から以下4件の課題をピックアップし、それぞれの研究内容や日本・タイの交流についてご講演をいただきました。
課題名:熱帯地域(タイ国)における網羅的病原体検出法開発の共同研究推進
講演者:京都府立医科大学大学院医学研究科・中屋 隆明 教授
課題名:Notchシグナル制御を可能にする生体材料を用いたiPS細胞分化誘導技術の開発
講演者:東北大学大学院歯学研究科・江草 宏 教授
:チュラロンコン大学歯学部・Prof. Prasit PAVASANT
課題名:スピルリナの唯一の形質転換系を用いた耐熱性フィコシアニンの異種発現
講演者:筑波大学生命環境系・鈴木 石根 教授
:タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)・Dr. Kalyanee PAITHOONRANGSARID
課題名:タイ産薬用植物並びに内生菌由来生物活性成分の生産性向上と新規医薬資源の探索
講演者:九州大学薬学研究院・田中 宏幸 准教授
:コンケン大学薬学部・Prof. Waraporn PUTALUN
それぞれの講演の中で、日タイの共同研究チームが発足したきっかけから、現在の協力状況に至るまで説明がありました。さらに、この共同研究を契機とした当会の論博事業による研究者受け入れや、共同研究の規模を広げて科学技術振興機構(JST)等の事業に採択される等、好事例が多く聞かれました。 なお、各講演のモデレーターはJAATを代表してAssoc. Prof. Suraphong Lorsomradee(チェンマイ大学)とAssistant Prof. Wichet Leelamanit (マヒドン大学)に務めていただきました。
最後の山下センター長の閉会の辞では、ご講演いただいたスピーカーの先生方をはじめ、全ての関係者への感謝の言葉を述べられました。また、現在バンコクを中心に日本の大学事務所が数多く設置されていることにも触れ、JSPSバンコク研究連絡センターとして日本とタイの交流をさらにサポートしていくことについても語られました。