タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)でJSPS事業説明会実施・科学技術関連機関オフィス訪問

2014年10月16日、タイランドサイエンスパーク内にあるタイ国立科学技術開発庁(The National Science and Technology Development Agency、NSTDA)でJSPS事業説明会を実施しました。今回の事業説明会は、NSTDA内にオフィスを設置されている東京工業大学タイオフィスの森村浩明拠点長にサポートいただき、初めて事業説明会を開催することができました。

NSTDAは科学技術省所管の研究開発機関で、タイにおける科学技術の研究開発ハブとして研究ファンドや施設の提供から産学連携支援を行っています。その傘下には4つの国立研究所(タイ国立遺伝子生命工学研究センター(BIOTEC)、タイ国立金属材料技術研究センター(MTEC)、タイ国立電子コンピューター技術研究センター(NECTEC)、タイ国立ナノテクノロジー研究センター)があり、NSTDAと同じサイエンスパーク内に設置されています。NSTDAでは、これらの研究所を含めて博士号取得者500名を含む2,000名近くの研究者が活動しています。

事業説明会に先立ち、NSTDAのDr. Chadamas Thuvasethakul筆頭副理事長とDr. Patharaporn Suntharasaj国際事業部長及びNSTDA内の各組織を代表する研究者と意見交換を行いました。NSTDAではこれまでJSPS国際事業についてほとんど知られていなかったため、JSPSの機能やファンドの仕組みについて多くの質問が寄せられました。

左よりセンター長、Dr. Chadamas 筆頭副理事長、Dr. Patharaporn 国際事業部長、国際協力員、森村拠点長

左よりセンター長、Dr. Chadamas 筆頭副理事長、Dr. Patharaporn 国際事業部長、国際協力員、森村拠点長

事業説明会では、タイ人以外の研究者も含めて80名を越える参加者がありました。質疑応答では、申請手順に関する質問が熱心に寄せられました。これまで、JSPS国際事業の支援する共同研究プロジェクトにはNSTDAを含むものがほとんどなく、同組織のJSPS Fellowship経験者も過去3名ですが、今後、JSPS国際事業を活用して日本との学術交流がさらに進むことが期待されます。

山下センター長によるJSPSの概要説明

山下センター長によるJSPSの概要説明

参加した研究者から多くの質問が出ました。

参加した研究者から多くの質問が出ました。

事業説明会後に、NSTDA内にオフィスを設置する4つの科学技術関連機関の事務所を訪ね情報交換を行いました。

東京工業大学タイオフィス

同大学は、NSTDAとタイの4大学と連携し大学院(TAIST-TokyoTech)をNSTDA内に設立し、タイの大学から派遣された学生に対して東工大から教員の派遣し、ものづくり人材の育成を行っています。授業は英語で行われており、学生は国際的な環境の中で少人数クラスで授業を受けることができます。同大学院から日本の大学の博士課程へ進学する学生も輩出しています。

授業の様子

授業の様子

SATREPS「タイ・非食糧系バイオマスの輸送用燃料基盤技術プロジェクト」Director Office
JSTとJICAが共同で実施しているSATREPSの「タイ・非食糧系バイオマスの輸送用燃料基盤技術プロジェクト」オフィスを訪問し、ラッセル加恵業務調整専門家より同プロジェクトについてご説明いただきました。NSTDAも同プロジェクトに参加しています。
ラッセル業務調整専門家は、今後は、タイはODAで支援を受けるだけの国ではなく、日本からは技術を、タイからは人材を提供し、対等な共同研究パートナーとなっていくだろうと話されました。

ラッセル加恵業務調整専門家によるプロジェクトの説明

ラッセル加恵業務調整専門家によるプロジェクトの説明

情報通信研究機構アジア連携センター
大西祥浩センター長、池末成明副センター長にセンターの業務概要や機能を説明いただきました。日本の情報通信分野の技術が世界でイニシアチブをとるために、同機構はアジアを中心に、情報通信関連の国際会議出席や技術供与などを行っています。
また、2014年3月のバングラデシュJSPS同窓会シンポジウムにおいて基調講演を勤めていただいた九州大学Dr. Ashir Ahmed准教授の研究を技術的な面で同機構がサポートされていたというお話も伺い、学術ネットワークが国や分野を超えてあらゆるところで構築されていることを認識しました。

左から池末副センター長、センター長、国際協力員、大西センター長

左から池末副センター長、センター長、国際協力員、大西センター長

e-ASIA Joint Research Program (e-ASIA JRP)事務局
e-ASIA Joint Research Programとは東アジア地域の研究交流を促進し、地域の課題を解決するために、参加国がそれぞれの国の研究グループを支援する多国間共同研究プログラムです。タイではNSTDAが同プログラムの参加機関であり、事務局の場所を提供しています。
e-ASIA JRP 事務局には、科学技術振興機構(JST)から岸田絵里子プログラムコーディネーターが派遣されており、同プロジェクトの概要と今後の展望についてお話を伺いました。e-ASIA の活動は、JSPSの参加するASIA HORCs(アジア学術機関長会議)とつながる部分も多く、JSPS Bangkok Officeは今後もe-ASIA事務局と積極的にアジアの学術情報の共有を図っていきたいと思います。

岸田プログラムコーディネーター、センター長、国際協力員

岸田プログラムコーディネーター、センター長、国際協力員