2012年5月16日(水)、タマサート大学商業会計学部(Faculty of Commerce and Accountancy, Thammasat University)より、Mr. Sopon Thitasajja講師が当センターを来訪されました。
所属される組織人材管理学科(Department of Human Resource and Organization Management)で実施されたコンサルト・ネットワーク・コーティング・センター人材育成開発及び組織戦略視察プログラムの一環である、5月7日から11日までの日本視察旅行について報告をしてくださいました。
これは、公共部門や一般企業での人材育成の在り方や方針について日本での取組み例を視察する目的で行われたもので、訪問先の一つとして、当センターに再々お越しいただいている福岡工業大学をご紹介したことによるものです。福岡工業大学では、下村学長をはじめ、麻生最高顧問、大谷常務理事、前田教務部長、にい国際交流委員長と懇談され、有意義な時間を過ごされたということです。
当センターとしても、タイの大学と日本の大学の橋渡しができたことを大変うれしく思います。
なお、ソーポン先生は日本語が読み書きお話しとも大変に堪能で、学部時代から計10年を京都大学経済学部で過ごされということです。博士課程を単位取得で満期退学されており、あとは博士論文をまとめるばかりとのことですが、すでに45歳を過ぎているため、論文博士号取得希望者に対する支援事業では対象外です。
タイにおいては45歳前後を境に博士号の取得状況が一変します。45歳未満の若手と呼ばれる大学教員のほとんどは、すでにタイが国家として裕福になるころに修学年齢を迎えており、王室支援の国費留学等を受けるなどして海外の大学で博士号を取得しています。逆に言うと、この世代では大学の雇用条件として博士号取得を求められています。一方で、45歳を超える世代、研究者としては第一世代や第二世代に当たる方々の中にこそ、博士号未取得のまま大学教員になられた方がおられます。
したがって、論文博士号取得希望者に対する支援事業の申請要件が45歳未満となったことで、タイにおいては事業そのものの有用性がかなり失われたことが考えられるのですが、今回ソーポン先生という実例に当たり、改めてその蓋然性の高まりを感じました。
さて、ソーポン先生の担当されている人材育成開発及び組織戦略プログラムは、4か月間にわたる主に社会人を対象としたコースで、学費は全額が受講者による負担です。20-30名程度の定員で、その多くは政府関係機関の管理職とのこと。担当教員は全部で14名。これはタマサート大学商業会計学部の中では新しく規模の小さなもので、同学部内では会計学科や、ファイナンス及びマーケティング学科の規模が大きいそうです。会計学科は学部創設時からの伝統学科であり、実に学部教員の半数がここに所属しているとのことです。
人材育成や組織管理といったテーマが時代の流れとともに重要になり、大学サイドでも柔軟に対応している姿が伺えます。同分野では、タマサート大学、チュラロンコン大学、NIDA(開発行政研究院)の3校によるジョイント・ディグリー・コースも開設されているということです。