2017年11月9日、マレーシア・クアラルンプールにあるマレーシア工科大学(UTM)及びマレーシア・日本国際工科院(MJIIT)内で開催された「Japan Day」に、当センターから山下センター長と古屋副センター長が出席しました。
マレーシアでは、1980年代から「東にある国に学べ」という東方政策(LEP:Look East Policy)のもと、日本に多くの留学生を輩出してきました。MJIITは、LEPの集大成として、日本の科学技術や労働倫理をマレーシアにいながら身につけられるようにしようという理念のもとに、両国政府によりUTMの中に設置された高等教育機関です。2015年に最初の学部卒業生を出し、現在は学部3学科、大学院 4専攻、防災分野の研究および人材育成を行う防災センターに合計1000名強の学生が在籍しています。
毎年開催されている同イベントですが、今年は日・マレーシア外交関係樹立60周年を祝し、日本に留学した卒業生の同窓会組織「Alumni Look East Policy Society (ALEPS)」や高等教育の教授陣からなるシンクタンク「The National Council of Professors (Majlis Profesor Negara (MPN))」等高等教育関連機関、産業界、日・マレーシア両国政府機関も参加して、例年より大規模に開催されました。また、開会式には、60周年記念事業の一環として日本武道館より海外派遣日本武道代表団の参加もありました。
開会式はUTMのProf. Datuk Ir. Dr. Wahid Omar学長の挨拶及びマレーシア日本人商工会議所 外処(とどころ)敏彦会頭の挨拶で始まりました。引き続きMPN Deputy Chairmanで日本の大学からの招聘経験もあるProf. Ulung Datuk Dr. Shamsul Amri Baharuddinの基調講演があった後、宮川眞喜雄在マレーシア日本国大使及びマレーシア高等教育省のYB Dato’ Seri Idris Bin Jusoh大臣の挨拶で幕が閉じました。
開会式の前後には日本武道代表団による空手および相撲の実演や、産業界からの寄付等に対する感謝状進呈も行われ、非常に華やかかつ盛大な式典となっていました。別会場では日本の文化を習っている学生による折り紙製作の展示や日マレーシアの料理を食べられるブース出展、日本武道代表団の実演も行われ、学生達も日本の文化を楽しんでいました。
午後からはJapan Dayの特別シンポジウムとして、日本とマレーシアの研究教育分野における今後のあり方について考える「Japan Graduates Symposium(JGS)2017」が開催されました。
YBhg. Dato’ Kamel Mohamad高等教育省事務局次長からの基調講演で始まった同シンポジウムは、引き続き日本側の特別講演として在マレーシア日本大使館の黒沼一郎一等書記官、当センターから山下センター長、JSTから佐藤正喜シンガポールオフィス所長が各々登壇し、日本の科学技術政策及びJSPS・JSTの国際事業について説明しました。
その後以下2つのパネリストセッションが行われました。
Panelist Session 1
モデレータ:Prof. Dato’ Dr. Halimah Badioze Zaman, Institute of Visual Informatics, UKM
・ 梶田朗 日本貿易振興機構(JETRO)クアラルンプール事務所長
・ Dr. Raslan Ahmad, Senior Vice President, Malaysian Industry-Government Group for High Technology (MIGHT)
・ Mr. Zulfiqar Zinuddin, President, Alumni Look East Policy Society
Panelist Session 2
モデレータ:Prof. Datuk Dr. Khairuddin Ab Hamid, Vice-Chancellor of University Malaysia of Computer Science and Engineering(UniMy)
・ 山下邦明 日本学術振興会(JSPS) バンコク研究連絡センター長
・ 佐藤正樹 科学技術振興機構(JST)シンガポール事務所長
・ 中村浩 日本医療研究開発機構(AMED)シンガポール事務所長
・ Dr. Noor Afiza Mat Razali, Chair JGS 2017, Senior Lecturer, Fellow at Cyber Security Center, National Defence University of Malaysia(UPNM)
両セッションでは今後の日・マレーシアの連携強化の必要性が改めて認識されると共に、参加者からは日本のファンディングプログラムを使用する際の日・マレーシア双方の問題点や日本の大学で勉強した同窓生の問題提起があげられる等、会場全体を巻き込んでの活発な議論が繰り広げられました。