タイ大学表敬訪問8 プリンス・オブ・ソンクラー大学

2011年12月14日(水)、当センターメンバー全員でタイ南部ハトヤイ(Hat Yaiハジャイともいう)のプリンス・オブ・ソンクラー大学(Prince of Songkla University)を表敬訪問にしました。当センターの2011年度(4月から翌年3月まで)計画の一つで、タイ国内で9つ認定されている研究型国立大学を表敬し、事業紹介をしようという一環です。これまでにバンコク市内のカセサート大学、チュラロンコン大学、タマサート大学、キングモンクット工科大学、マヒドン大学のほか、北部チェンマイ大学及び東北部コンケン大学を訪れており、これで8大学目です。

プリンス・オブ・ソンクラー大学(PSU)は1971年に設立された比較的若い大学で、大学病院のほかタイ南部に5つのキャンパスをもつ総合大学です。全30学部に37,000人の学生を抱え、このうち学部学生31,000人、博士課程学生が1,000人という、国内でも屈指の規模を誇ります。QS国際大学ランキングでは、マヒドン大学(Mahidol University)、チュラロンコン大学(Chulalongkorn University)、チェンマイ大学(Chiang Mai University)、タマサート大学(Thammasat University)に続いて国内5位。

今回は研究教育担当副学長(Vice President for Research and Graduate Studies)であるAssoc. Prof. Dr. Chusak Limsakulをはじめとする計5名のPSU幹部教員のほか、JSPS事業によりPSUと長く協力関係にある金沢大学理工研究域環境デザイン学系 古内正美 教授にも同席いただきました。

PSUの特徴として、800床の大型の大学病院のほか、歯学部のなかに歯科病院があるなど、教育研究だけでなく、南部における医療の拠点にもなっていることがうかがえます。また、金沢大学とは、2006年からJSPS二国間交流事業、その後はJENESYS東アジア首脳会議参加国からの招聘事業などで継続的に共同研究を行っていることが説明されました。

当センターから、そういった実績をベースとしてAA-Platform(アジア・アフリカ学術基盤形成事業)やCore-to-Core(研究拠点形成事業)への申請をお勧めしたところ、タイ側で用意するべきマッチングファンドについて、既存の課題がどういった資金を用意しているのか、という質問が寄せられました。

また、当センター長から若手研究者向けの事業紹介セミナーの開催を提案したところ同意が得られ、金沢大学との共同研究のカウンターパートであり、工学部准教授でもあるAssoc. Prof. Dr. Perapong Tekasakul研究開発オフィス室長(Director, Research and Development Office)と今後、調整を進めていくことが決まりました。

翌12月15日(木)、工学部にAssoc. Prof. Dr. Perapong Tekasakulを訪ね、2009年3月までの金沢大学との二国間交流事業について、その事業報告を受けました。事業期間中に修士3名、学士5名を輩出したほか、国際ジャーナルに論文を7本掲載したことなど伝えられ、当方からは再度、この実績を土台としてCore-to-CoreやAA-platform事業へ申請することを提案し、前向きな回答を得られました。

続けて、理学部に助教のAsst. Prof. Dr. Anchana Prathepを訪ねました。2002年から10年間実施された東京大学大気海洋研究の拠点大学交流事業について、その事業報告を受け、若手研究者を巻き込むことができるものとして他国のファンドと比較して高い評価を得ていることが伝えられました。
また、マングローブ林等とならんで海藻が生物多様性の評価基準となり得ることや、Blue Carbonという新しい概念について説明を受け、タイを中心とした東南アジア地域での更なる研究発展の可能性を感じることができました。

PSUには、JSPSタイ同窓会理事で、外国人特別研究員事業で日本に滞在したDr. Challermkiat Songkramがいるほか、上記のように小型・大型の交流事業参加者がいることから、来年度はじめを見込む事業紹介セミナーでは、これまでにない多彩な事業経験談を聞くことができそうで、今から楽しみです。

当センターでは今後も大学訪問及び事業紹介セミナーを継続していく所存です。