第4回JSPSフィリピン同窓会(JAAP)シンポジウム及び同窓会総会の開催

2016年7月29日、SMXコンベンションセンター(フィリピン・パサイ市)で第4回JSPSフィリピン同窓会(JAAP)シンポジウム”Sustainable Food System Innovation in the Changing Global Environment”を開催しました。

参加者との記念撮影

参加者との記念撮影

同シンポジウムは昨年に続き、フィリピン科技省(Department of Science and Technology: DOST)主催の科学技術広報イベント「科学技術週間(National Science and Technology Week: NSTW)」の一環として開催され、別会場ではJAAPのブースも出展されました。

シンポジウムでは、JAAPのJaime C. Montoya 会長が、持続可能な農業を推進することを掲げた国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に触れながら開会の挨拶を述べられました。続いて、在フィリピン日本大使館 北川達生参事官、JSPSバンコク研究連絡センター山下センター長からの祝辞、DOSTのFortunato T. de la Peña大臣からの基調メッセージが述べられました。

また、JAAPはこのたびWEBサイトを立ち上げ、同サイトの紹介も行われました。

基調講演では、東京農業大学副学長の夏秋啓子教授に「Tomorrow’s Lunchbox by Safe Food Production」と題し、ご講演いただきました。夏秋教授は、熱帯地域での農業に関する研究を通して発展途上国へ貢献されておられるだけでなく、海外からの学生の受入れも積極的に行われています。
今回の講演では、「お弁当」という日本人にとってはとても身近なテーマを取り上げ、その魅力やメリットを紹介するとともに「食料自給率」、「害虫防除」、「食育」、「農産物の流通管理」、「食の安全」などについて幅広い内容でお話しいただきました。講演終了後には、参加者から農業に関する質問だけでなく、日本のお弁当についてユニークな質問もあり、和やかな雰囲気の中にも参加者らの関心の高さが伺えました。

質疑応答中の夏秋教授

質疑応答中の夏秋教授

また、午前最後のセッションでは、フィリピン大学農学部のDr. Susan May F. Calumpang が”Farmer Innovations Alternative Pest Management Strategies”というテーマで、害虫駆除剤を使用しない害虫制御システムについてご講演され、害虫駆除剤使用の問題点や化学薬品を使用しない害虫制御などを紹介されました。

Dr. Susan May F. Calumpangと会場風景

Dr. Susan May F. Calumpangと会場風景

また、午後の部では北海道大学大学院獣医学研究科の片桐成仁教授より「Livestock Breeding Innovations Toward Food Sufficiency – A Research on Uterine Receptivity as a Missing Piece of MOET Technology」というテーマでご講演頂きました。片桐教授は、家畜の胚移植や人工授精に関する研究をされており、今回は「過剰排卵‐胚移植(MOET)技術」をキーワードのひとつとして紹介されました。この技術を使用することで、通常の繁殖よりも良質な家畜を多く安定的に供給することができ、食料自給率の改善に寄与することもできるとのことでした。同技術には温度管理も一つの重要なファクターで、質疑応答ではフィリピンでの管理方法に関する質問がありるなど、具体的な質問が数多くあがりました。

片桐教授の質疑応答

片桐教授の質疑応答

最終セッションでは、山下センター長によるJSPS概要や国際事業について紹介があり、また、JSPSタイ同窓会(JAAT)事務局長のDr. Danai Tiwawechが挨拶を述べるとともにJAATの活動の紹介を行いました。

さらに、JSPS国際事業経験者のDr. Michael Angelo B. Promentilla、Dr. Shelah Mae B. Ursua、Ms. Sheryll Santander-Avanceña及びDr. Orlex B. Yllanoの4名が、それぞれ外国人研究員招へい事業、論文博士号取得希望者に対する支援事業(RONPAKU)、HOPEミーティング、外国人研究者再招へい事業での経験等について講演を行い、講演終了後にはDr. ShelahにRONPAKUのメダルが授与されました。

Dr. Shelah Mae B. Ursuaにメダルを授与する山下センター長とMontoya会長

Dr. Shelah Mae B. Ursuaにメダルを授与する山下センター長とMontoya会長

今回はJAAPメンバーをはじめ約50名の参加があり、終始活気のあるシンポジウムとなりました。最後はJAAPのSusan M. Gallardo副会長による閉会の挨拶によりシンポジウムが締めくくられました。

なお、同日に同窓会総会も開催され、2年に1度の理事会改選が行われました。投票の結果、新しく現副会長のDr. Susan M. Gallardoが会長となり、総会では理事会新メンバーによる宣誓式も行われました。

理事会新メンバーによる宣誓式

理事会新メンバーによる宣誓式

理事会現メンバー最後の記念撮影

理事会現メンバー最後の記念撮影

JAAPメンバーとの記念撮影

JAAPメンバーとの記念撮影