第8回ASIA HORCs (アジア学術振興機関長会議)本会議及び第6回ASIA HORCsジョイントシンポジウム開催

第8回The Asian Heads of Research Councils (ASIAHORCs)(アジア学術振興機関長会議)本会議及び第6回ASIA HORCsジョイントシンポジウムがタイ学術研究会議(NRCT)のホストによりバンコクで開催されました。ASIA HORCsは、近年のアジア地域における研究者の国際的な流動と一国では対応できない地域や地球規模野の研究課題に取り組む必要性の高まりから、アジアにおける研究の推進を目的としたネットワーク強化のために、アジア10カ国の学術振興機関により形成されました。

本会議は2007年より毎年開催されており、各国の科学技術動向を報告し今後の課題を話し合います。2009年より本会議と並行してジョイントシンポジウムが開催されており、アジア各国の若手研究者の育成と研究者間のネットワーク構築を目的としています。今年は、本会議は「頭脳流出」、シンポジウムは「気候変動」をテーマに実施されました。

オープニングセッション
本会議参加者とジョイントシンポジウム参加者との合同オープニングセッションが行われ、来賓として在タイ日本国大使館佐藤重和大使が挨拶を述べられました。佐藤大使は、アジア地域が世界の成長センターとして存在感を高めておりASIA HORCsの重要性を認識しており、また、今回の本会合のテーマである「頭脳流出」及び「気候変動」はアジアが取り組むべき重要な課題であると述べました。

佐藤大使(中央)と各国の学術振興機関長

佐藤大使(中央)と各国の学術振興機関長

基調講演
これに続き、ジョイントシンポジウムのテーマである「気候変動」について、前世界保健機構(WHO)東南アジア事務局長、Dr. Samlee Plianbangchangが「気候変動の健康への影響」をテーマに、また国際連合食糧農業機関(FAO)小沼廣幸アジア太平洋地域代表兼事務所長が「気候変動の食糧生産と食料安全への影響」というテーマで基調講演を行いました。これらのテーマは、引き続き行われる二つのジョイントシンポジウムのテーマとしてそれぞれ設定されています。

講演される小沼アジア太平洋地域代表兼事務所長

講演される小沼アジア太平洋地域代表兼事務所長

本会合「頭脳流出」
参加8か国のうちベトナムを除いて7か国の代表が各国の「頭脳流出への対応と人材活用施策」について報告しました。各国ともに優秀な人材の国内での確保や支援策を実施しており、タイでは国費による支援を受けて海外で研究留学をした場合、帰国後は数年間元の職場での勤務を義務付ける、それができない場合は、留学に関わった費用を全額弁償する、という規定が設けられています。
次年度のASIA HORCsはJSPSがホストとして11月に日本で開催することに決定しました。本会議のテーマは「アジア各国の科学技術施策の傾向(Trend of Science and Technology Policy in Asian countries)」、シンポジウムは「ケミカルバイオロジー(chemical biology)」とすることをJSPSより提案しました。これらのテーマについては今後参加国間でさらに検討を進めていきます。

ジョイントシンポジウム
「気候変動」を大テーマとし、「気候変動の健康への影響」、「気候変動の食糧生産と食料安全への影響」という二つのサブテーマに基づきアジアの若手からシニアまで幅広い研究者が発表を行いました。

日本からは、「気候変動の健康への影響」部門で東京大学国際高等研究所、福士謙介教授、山形大学農学部、渡辺徹准教授、東京大学大学院医学系研究科、安本晋也特任助教が発表されました。また、「気候変動の食糧生産と食料安全への影響」部門では独立行政法人農業環境技術研究所、櫻井玄研究員が発表されました。福士教授は発表の最後に、気候変動対応を目的とした国際プラットフォームを紹介し、ASIA HORCsは各国がネットワークを形成する良い機会であり、同枠組みと他の国際プラットフォームが連携するとよいのではないかと提案されました。

講演される櫻井玄研究員

講演される櫻井玄研究員

講演される安本晋也特任助教

講演される安本晋也特任助教

講演される渡辺徹准教授

講演される渡辺徹准教授

会場からの質問に答える福士教授

会場からの質問に答える福士教授

また、ASIA HORCs においても、JSPSタイ同窓会メンバーが活躍されており、「気候変動の健康への影響」部門でJSPSタイ同窓会(JAAT)事務局長Dr. Danai Tiwawechがセッションチェアを務められ、8月にJAATが主催したThailand Research Expo 2014JAAT-JSPS-NRCTセミナーでも講演いただいたマヒドン大学薬学部Wichet Leelamanit助教(JAATメンバー)が発表されました。

左、Dr. Danai事務局長、右、Wichet 助教

左、Dr. Danai事務局長、右、Wichet 助教

ASIA HORCsにより、アジアの学術振興機関の連携促進、研究者ネットワークの構築につながり、頭脳循環が活発になる環境がアジアの中で整えられていくことが期待されます。

左より山下センター長、安西理事長、Dr. Danai  JAAT事務局長、加藤国際事業部長

左より山下センター長、安西理事長、Dr. Danai  JAAT事務局長、加藤国際事業部長